肘関節(変更日2018年12月1日 文責 手の外科 医師  岩月克之

骨折・脱臼

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terrible triad

肘は上腕骨と尺骨(しゃっこつ)と橈骨(とうこつ)の三つからなる関節で、内側と外側に靭帯が存在します。肘の脱臼については外側側副靭帯(外側の靭帯)の修復を基本とし、解剖学的修復(損傷前の状態に戻すこと)を目指して治療しています。

肘関節脱臼でも最も重篤な状態をterrible triad (肘関節後方脱臼+橈骨頭骨折+尺骨鉤状突起骨折)と呼ばれており、治療に難渋します。解剖学的修復と、必要に応じてヒンジ付きの創外固定器(皮膚の外から骨折・脱臼部位を固定し、装着したままでも肘の運動が可能)も使用しています。

骨折変形癒合・偽関節(ぎかんせつ)

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内反肘
正常

骨折した後、骨が曲がったまま癒合すると内反肘(肘が内側に曲がる)や外反肘(肘が外側に曲がる)といった変形や橈骨頭(橈骨の肘側)の脱臼を生じることがあります。これらの障害に対しては、骨切り術を行っています。矯正骨切り術ではコンピュータシミュレーションを用いています。創外固定器を適宜用いて傷を小さくするなど体への負担を減らす工夫をしています。

野球肘(やきゅうひじ)

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上腕骨小頭離断性骨軟骨炎

投球動作による障害で、野球肘と呼ばれる疾患があります。投げ過ぎや無理のある投球フォームが原因となります。野球肘は関節軟骨の障害や靭帯の緩みを生じます。軟骨障害に対する骨軟骨移植や、靭帯再建を行っています。

変形性肘関節症(へんけいせいひじかんせつしょう)

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軟骨がすり減って様々な関節の障害を起こすことが全身の関節で生じますが、肘においてもみられます。これに対して、関節形成術や関節鏡視下の骨棘切除や滑膜切除を行っています。

肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)

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肘部管症候群による手の変形

肘で起こる絞扼性神経障害(こうやくせいしんけいしょうがい)です。肘の内側には手の小指側を支配する尺骨神経(しゃっこつしんけい)が走行しますが、肘関節で骨と周囲の軟部組織で囲まれているトンネル(肘部管といいます)を通るところで神経がしめつけられる(絞扼といいます)ことによって起こります。小指のしびれ、痛みが起き、進行すると指の変形が生じて、細かい動作がやりづらくなってきます。神経の障害が生じている部分を解除(神経剥離術)し、圧迫を受けないように移動させる手術を行っています。

腫瘍および類似疾患

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ガングリオン

肘関節周囲には様々な腫瘍および類似疾患が生じますが、特徴的なものはガングリオンです。関節周囲に生じるゼリー状の内容物を入れた袋のような構造をしています。上記の尺骨神経をはじめ肘関節周囲で神経を圧迫し運動障害やしびれなどの症状を生じることがあり、ガングリオン切除術などを行っています。