股関節

臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)

小児期に発育性股関節形成不全症の治療歴がある方またはその家族・親類に多く、成長が終了した後も骨盤側の「骨の生育が不良」なため骨頭の被覆が十分ではない状態です。寛骨臼の被覆が不良だと関節軟骨の摩耗が進行しやすく、変形性股関節症になることが予測されます。臼蓋形成不全の指標としてレントゲン写真で計測できるCE角が重要です。股関節外転位での適合性が良好であれば、骨切り術(偏心性寛骨臼回転骨切り術)を選択して行っています。

臼蓋形成不全
CE角
偏心性寛骨臼回転骨切り術
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変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)

原因疾患は臼蓋形成不全が80%以上です。股関節のケガ、炎症および骨壊死でも関節軟骨が減少して変形性股関節症となります。関節軟骨の摩耗が進行して関節裂隙の狭小化や骨嚢腫・骨棘の形成が進行します。杖の使用や鎮痛剤で痛みが軽減し、股関節周囲の筋肉を鍛えることで痛みは緩和します。 手術治療は、関節軟骨が保たれている初期までは偏心性寛骨臼回転骨切り術を、進行して軟骨がない状態では人工関節置換術を選択します。現在、人工股関節の耐用年数は約20年と良好ですが、早期に異常を発見するために1年に1回の定期検診が必要です。

変形性股関節症
手術前
人工股関節置換術

特発性大腿骨頭壊死症(とくはつせいだいたいこっとうえししょう)

大腿骨の付け根にある大腿骨頭の血流障害によって壊死を起こす稀な疾患です。原因はステロイド治療によるものとアルコール多飲によるもので80%以上を占めます。全身性エリテマトーデスや特発性血小板減少症、神経疾患などで大量にステロイドを使用していると発症する可能性が高くなります。 レントゲン写真で帯状硬化像・骨頭の圧潰やMRIで帯状低信号、骨シンチグラムで取り込みの低下があれば確定診断できます。手術治療は骨頭を90度回転させる骨頭回転骨切り術、弯曲内反骨切り術、人工関節置換術(人工骨頭)があります。骨頭の状態で治療方針を決定します。

特発性大腿骨頭壊死症
大腿骨頭前方の圧潰
帯状低信号(MRI)
骨頭回転骨切り術
特発性大腿骨頭壊死症
大腿骨頭内側の壊死
弯曲内反骨切り術
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インピンジメント症候群

大腿骨頭と臼蓋の外側縁が衝突(インピンジメント)することで関節唇に傷ができて、痛みを生ずる症候群です。小児期に発症する大腿骨頭すべり症ペルテス病の後に生じることもあります。MRIで関節唇の断裂を診断します。

人工股関節再置換術について

人工股関節の素材として使われているポリエチレンという物質の摩耗などによって生じた摩耗粉が、股関節周囲に炎症を起こして骨を破壊してしまいます。これを骨融解といいます。症状が全くないことが多いので、人工股関節置換術を受けた方は定期検診が必須です。早い時期に診断を受ければ再置換手術が容易にでき、成績も良好です。

人工股関節再置換術
人工股関節置換術後
術後14年、○の位置が上にずれている
術後14年後、人工関節周囲の骨融解(CT)
術後14年後、人工関節周囲の骨融解(CT)
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