頚椎、胸椎、腰椎

脊柱変形(側弯症)

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脊柱側弯症は大きく小児から思春期のものと成人のものに分かれます。小児から思春期には特発性側弯症と先天性側弯症、そして様々な症候群に伴う症候群性側弯症があります。いずれも脊椎が弯曲し3次元的に捻じれます。高度になると呼吸器や消化器などにも症状を生じ成長発達の障害となります。成人期に生じる脊柱変形(変性側弯)は主に背骨が全体に曲がってくることによる腰や背中の痛み、脚のしびれが出現し、日常生活にも支障を来すことが多く、様々な治療を行っても症状が改善しない場合には、手術治療が必要となることがあります。当院ではより安全に手術を行うため術中モバイルCTを撮影し、ナビゲーションシステムを用いています。また側弯矯正の際に生じうる脊髄損傷に対しても術中モニタリングを駆使して未然に防ぎます。これらにより高度な変形に対する骨切り術、3次元的矯正が可能です。

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脊椎腫瘍(せきついしゅよう)

脊椎腫瘍の多くは癌の転移によるものが多く、原発性脊椎腫瘍は比較的稀とされています。当院では原発性脊椎腫瘍(癌の転移ではない腫瘍)に対しても積極的に治療をしております。良性腫瘍(血管腫、類骨骨腫、骨芽細胞腫、骨軟骨腫、Pigmented villonodular synovitis(PVNS)、線維腫、線維性骨異形成)に対しては、必要であれば金属を使用した固定術を併用した摘出術を行っており、悪性腫瘍(軟骨肉腫、骨肉腫、MFH、脊索腫、Ewing肉腫、胞巣状軟部肉腫、類上皮血管内皮腫、血管肉腫、線維肉腫)であれば、当院腫瘍グループと共同で化学治療、放射線治療、粒子線治療(陽子線、重粒子線)を併用した手術治療を行っております。胸腰椎における原発性脊椎腫瘍は全摘出が可能であれば成績は良好ですが、複雑な解剖学的特徴をもつ頚椎における悪性腫瘍に対しては全摘が困難な症例が多く、化学治療、放射線治療、粒子線治療(陽子線、重粒子線)などを併用した集学的治療が必要です。また、中間型といわれる巨細胞腫は、以前は手術を行っても再発率の高い腫瘍日本でも認可されたデノスマブ(商品名ランマーク)により腫瘍の縮小を待つことで、待機的に手術を行い、より再発率を少なくすることができるようになってきました。

<腰椎ダンベル型腫瘍>
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脊髄腫瘍(せきずいしゅよう)

脊髄実質内に発生した腫瘍で、発生部位により症状は異なり、ゆっくり進行する首・背中・腰の痛み、腕や脚の運動麻痺や感覚障害(しびれ)、歩きにくさ、膀胱直腸障害などが出現します。腫瘍またはその周辺から出血を起こして、症状が急に悪化することがあります。組織学的には、上衣腫、神経膠腫が最も多くみられ、そのほか血管芽腫、脂肪腫、髄内神経鞘腫、海綿状血管腫、脊髄内転移性腫瘍などがあります。国際的にも最も詳しい32ch脊髄モニタリングを行いながら安全に手術を行っていますが、より良い手術結果を得るためには症状が悪化しすぎる前に手術を行う方が有利です。良性腫瘍では手術で全て摘出しますが、悪性度の高い腫瘍では化学療法が必要になることもあります。また手術所見だけではなく、術中病理診断も行い、腫瘍の摘出範囲などを適切に判断しています。

<脊髄腫瘍(髄内腫瘍)>
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後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)

靱帯骨化症とは国の指定する難治性疾患ですが、比較的頻度の高い頚椎靱帯骨化症に加え、さらに難治性とされる胸椎後縦靱帯骨化症に対する手術治療に積極的に取り組んでおります。元々脊髄障害(麻痺)の出現しやすい胸椎レベルでの靱帯骨化症に対する手術は、手術後の麻痺悪化の危険性が全国調査では約30%の発生とされています。しかしながらそのままにしておくと麻痺の発生は必発であり、今後いかに手術成績が改善するか(術後麻痺が少なくなるか)が焦点とされています。当院では頚椎後縦靱帯骨化症に対しては、通常後方より脊柱管を拡大する椎弓形成術、または必要に応じて金属を併用した後方除圧固定術を行っております。胸椎レベルの靱帯骨化症に対しては、後方からの除圧のみでは麻痺発生の危険性が高くなるため金属を使用し、胸椎の後弯(後ろへのカーブ)を減じることによる脊髄への間接的除圧を目的にした後方除圧矯正固定術をおこなっております。また、後方からの手術後、麻痺の回復がおもわしくない場合、後方から脊髄の前方に位置する骨化した後縦靱帯を切除することもあります。現在、厚生労働省「脊柱靭帯骨化症に関する調査研究」胸椎OPLL手術前向き研究を、当大学病院を中心に調査・研究しており、この結果がさらなる成績向上の一助となることを期待されております。

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頚椎症性脊髄症(けいついしょうせいせきずいしょう)

頚椎症性脊髄症
頚椎症性脊髄症

頚椎の加齢的変化によって脊髄が圧迫され、進行性に四肢の運動麻痺やしびれを起こす疾患です。中・高齢者に多く発症するため「加齢のため」と勘違いして、症状が進行してから受診する場合が多く、また首の痛みがほとんどないため、さらに発見が遅れやすい疾患です。

肩や腕の脱力・手作業ができないなど腕から手にかけての症状と、歩きにくい・つまずきやすいなど脚の症状がでます。また、腕や脚のしびれ・冷感を感じて、進行すると体中がしびれるようになります

頚部の負担を減らすことが大事です。治療はまず薬物治療を行いますが、症状が進行するときには手術治療を行います。手術によって脊髄の圧迫を解除します。変形が強い場合などに脊椎固定術を追加して行う場合があります。

腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんへるにあ)

腰椎椎間板ヘルニア
手術前
手術後

腰は上半身を支える要で、最も大きな荷重を受けもち、同時に動きも大きいため、椎間板の障害を起こしやすい場所です。椎間板ヘルニアは、椎間板(線維輪)に亀裂が入り内部(髄核)が脱出して神経を圧迫した状態です。有病率は人口の約1%とされ、好発年齢は20~40代で比較的若い人に多い病気です。

激しい腰痛と脚(多くは片脚)の痛みやしびれ感が出現します。圧迫された神経が支配する筋肉に運動麻痺を生じることもあります(完全な運動麻痺の回復は困難なため注意を要します)。

進行性の麻痺症状がある場合を除き、まず薬物治療・コルセットの装着・腰の安静を勧めます。痛みが激しい場合は、神経ブロック(硬膜外ブロック・神経根ブロック)を行うことがあります。

運動麻痺が進行する場合、膀胱直腸障害が出現した場合、薬物治療などで痛みが軽快しない場合に手術治療を行います。 手術は椎間板ヘルニアの切除のみで対応しますが、同じ椎間板での複数回手術例や巨大ヘルニアなどの場合は、脊椎固定術を併用して行うこともあります。手術治療での問題点として5~10%の再発があります。

腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)

腰部脊柱管狭窄症
正常な脊柱管
(中央の白い部分)
脊柱管狭窄症

腰椎内部の神経の通路である脊柱管が狭くなることにより、神経が圧迫されて症状が出現する病気です。主な原因は加齢による変化(変形性脊椎症、変性すべり症など)ですが、生まれつき脊柱管が狭い人もいます。

しばらく歩くと、脚の痛み・しびれ・こわばりが強くなり歩くことができなくなります。前にかがんだり、しゃがんだり、座ったりすると楽になる(神経の圧迫が解除される)のが特徴です。重症の場合は50m歩けなくなったり、5分立っていられなくなります。運動麻痺や膀胱直腸障害が加わることもあります。神経の圧迫を避けるために、少し前かがみになって歩く、症状が出る前に休憩をとる、杖や手押し車を使うなど日常生活を少し工夫することで症状を軽減できます。また、腰椎の伸展位(神経を圧迫する姿勢)を防ぐコルセットを装着する方法もあります。

症状に合わせて、薬物治療(消炎鎮痛薬、血流改善薬)、リハビリテーション、神経ブロック(硬膜外ブロック・神経根ブロック)を行いますが、改善しない場合は、手術治療を考慮します。 手術によって狭くなっている脊柱管を広くして神経の圧迫を取り除きます。必要に応じて脊椎固定術を併用する場合もあります。