12月の合同カンファレンスの報告

2018年12月20日、研究棟1号館地下1階会議室において、名古屋大学整形外科合同カンファレンスが開催されました。若手整形外科医による4例の症例提示、名古屋医療センターからの講演が2演題ありました。【文責:澤田英良、徳武克浩】


症例1 右上腕骨外科頚骨折術後6年で骨頭壊死を生じRSA(リバース型肩人工関節置換術)を施行した一例

トヨタ記念病院 川崎 成美 先生

上腕骨脱臼骨折骨接合後の骨頭壊死に対するサルベージ手術を施行された症例が提示された。腋窩神経麻痺によりMMT3レベルの三角筋萎縮を認めていたがRSAを選択することで除痛と可動性が得られた。3-4part脱臼骨折の初期治療は、骨接合よりも人工骨頭が望ましいことがある。

 

症例2 強直性脊椎炎に対して両人工股関節置換術を行った一例

JA愛知厚生連 江南厚生病院 横井 寛之 先生

AS患者に対してDA approachを用いて両THAを施行し、可動域およびJOA scoreとも良好な改善が得られたが、疾患活動性は改善しなかった。脱臼やインプラント破損などの術後合併症予防として姿勢変化などで過度に負担がかからないように生活指導が必要である。

 

症例3 小児脛骨近位骨端線損傷の一例  

市立四日市病院 田中 真矢 先生

まれな脛骨近位骨端線損傷の1例を経験し、徒手整復と経皮pinningで良好な成績が得られた。徒手整復が困難で観血的整復を要する症例もある。骨折型によってコンパートメント症候群や血管損傷の合併に注意が必要である。

 

症例4 上下前腸骨棘骨折を伴った股関節前方脱臼の一例

名古屋医療センター 山田 彬子 先生

比較的珍しい軽微な外傷で起こった高齢者の股関節前方脱臼の1例を経験した。上下腸骨棘裂離骨折の合併に対しては、保存的加療も選択肢として挙がるが、除痛と早期離床目的に骨接合は有用である。


名古屋医療センター

演題1 特発性膝関節骨壊死に対する人工膝関節単置換術(UKA)について

金子 敦史 先生

名古屋医療センターでの過去1年の人工膝関節症例の内訳を提示された後、大腿骨内顆骨壊死に対してOxford型UKAを施行した手術ビデオを供覧した。特発性大腿骨壊死はOAとして漫然と治療されていることが多い点に注意喚起され、その治療法について講演された。

 

演題2 3D手術計画システムを用いた人工股関節置換術の取り組み

服部 陽介 先生

名古屋医療センターにおけるTHAのインプラント変遷・アプローチの変遷を紹介され、OCMアプローチ、ALSアプローチについて解説された。その後、3D手術計画システムとして現在用いているZedHipを紹介され、本システムを用いて治療された症例が提示された。