名大整形外科教室の理念は、世界に発信できる整形外科学基礎・臨床研究の実践、患者さんに還元できる研究や診療の実践、地域医療を支える人材の育成です。
名古屋大学整形外科学教室は1927年(昭和2年)5月1日に開設され、以来90年以上におよぶ歴史と伝統があります。第7代今釜史郎現教授に至るまで、整形外科基礎科学・臨床医学に優れた業績を残し、数多くの学会を主催し、海外に留学する人材を輩出し、我が国の整形外科学において重要な責務と役割を果たしてきました。教室内は古くから脊椎・股関節・膝肩・手・リウマチ・腫瘍・小児の臨床グループに分かれ、それぞれが偉大な諸先輩方の業績を引き継ぎながら新しい研究や診療を実践しています。
教室は整形外科講座と手外科講座に分かれていますが、合計70名以上が大学に在籍し、グループのほとんどが10名以上で構成されています。そのため活発な基礎・臨床研究や診療教育による人材の育成が可能となっています。
教室の理念は、世界に発信できる整形外科学基礎・臨床研究の実践、患者さんに還元できる研究や診療の実践、地域医療を支える人材の育成です。名古屋大学医学部附属病院は現在、橋渡し研究・臨床研究の中心となる病院としての役割を担っていますので、当教室でもその好循環に合わせて患者さんに貢献できる医学研究を実践しています。
整形外科医は明朗快活がモットーです。当教室では最先端の医療を目指す強いマインドを持ちながらも、日々楽しくコミュニケーションをとりながら笑顔で過ごしています。各グループの垣根がないため、高度な技術を持った各グループの横断的診療が可能です。当教室で研究マインドを持ちながら、整形外科のspecialty, subspecialtyを効率的かつ楽しく学び、社会に貢献できる熟練した整形外科医になろうではありませんか。
整形外科教室沿革
初代教授として整形外科講座を開設しました。骨端症の発生病理や先天性股関節脱臼の成因について臨床研究を行いました。1950年(昭和25年)には「所謂骨端症の研究」で日本学士院賞を受賞し、後年は東京厚生年金病院(現JCHO東京新宿メディカルセンター)の初代院長を歴任しました。現在の先天性股関節脱臼の予防対策は氏の発生理論に基づいています。
初代 名倉重雄 教授
(1927年4月(昭和2年)~1952年(昭和27年))
第2代教授として臨床、研究の新体制の整備に努めました。先天性股関節脱臼の臨床研究を継続し、難治性先天性股関節脱臼に対する観血的治療法を導入しました。
第2代 松丸寛 教授
(1953年(昭和28年)~1960年(昭和35年))
第3代教授として先天性股関節脱臼に機能的治療法を導入しました。オーバーヘッドトラクション法による保存的整復を徹底し、遺残した亜脱臼はソルター骨盤骨切り術や大腿骨減捻内反骨切り術で補正する治療体系を確立しました。骨軟骨の結合組織の基質成分に注目した基礎研究を行い、関節軟骨由来の培養軟骨細胞から軟骨組織の再形成に成功しました。
第3代 中川正 教授
((昭和39年)~1983年(昭和58年))
第4代教授として手の外科の臨床に力を注ぎました。手の外傷や手の先天奇形に対する治療法の確立に貢献し、複合組織移植や切断肢再接着の基礎研究を推進しました。臨床研究の集大成として和文著書「手の外傷」や「手の先天奇形」、英文著書“Atlas of Congenital Hand Anomalies”を著しました。
第4代 三浦隆行 教授
(1983年(昭和58年)~1993年(平成5年))
第5代教授として人工関節置換術、骨切り術、血管柄付き腸骨移植術などの股関節外科手術を積極的に行いました。現在の日本整形外科学会基礎学術集会の礎となった「骨・関節の基礎を語る会」を主催し、日本の整形外科基礎研究の広がりに貢献しました。骨形成因子を含んだ同種骨脱灰凍結乾燥骨を骨移植術に応用しました。
第5代 岩田久 教授
(1994年(平成6年)~2001年(平成13年))
第6代教授として、基礎研究と臨床研究や実地臨床の融合をはかりました。培養自家細胞移植術、ドラッグリポジショニングによる薬剤の新規効能の発見、ヒアルロン酸の基礎研究において功績を残しました。臨床分野では関連病院を中心としたレジストリーの構築に尽力されました。また教育分野においても関節鏡フォーラム、鶴門骨折治療研究会、鶴舞整形外科症例検討会を立ち上げ、若手整形外科医の育成に尽力しました。
第6代 石黒直樹 教授
(2001年(平成13年)~2020年(令和2年))
第7代 今釜史郎 教授
(2020年(令和2年)~)
手の外科教室沿革
全国で唯一の手の外科を専門とする大学院講座の開設に尽力され、初代教授に就任しました。手関節外科の発展に大きく貢献されました。国際手外科学会のパイオニア賞を受賞されました。
初代 中村蓼吾 教授
(2001年(平成13年)~2005年(平成17年))
第2代教授として、多数の企業との共同研究を実施。基礎から臨床まで多大な功績を残されました。人間拡張・手の外科学として人工知能、現実拡張などの研究にも積極的に取り組みました。
第2代 平田仁 教授
(2005年(平成17年)~)
2023年から人間拡張・手の外科学第3代教授に就任。AR/VR、遠隔触診およびbrain machine interfaceなどの医工連携研究を推し進めている。他にも老化細胞、末梢神経再生、脳機能解析などの基礎研究に加え、関連施設内外との多施設共同研究などの臨床研究およびシンガポール国立大学やヘルシンキ大学との多国間カンファレンスを介して診療の質を高めることに尽力しています。
第3代 山本美知郎 教授
(2023年(令和5年)~)