2019年7月18日、研究棟1号館地下1階会議室において、名古屋大学整形外科合同カンファレンスが開催されました。若手整形外科医による症例提示、一宮市立市民病院からの講演がありました。(文責:羽賀貴博、水野隆文)
症例1 仙腸関節脱臼の一例 岡崎市民病院 山田 陽太郎 先生
仙腸関節前方脱臼骨折を含む不安定型骨盤骨折に対しプレート、スクリューにて骨接合術を行った。受傷時よりL5神経麻痺を認め、術後の改善も乏しい。L5神経障害は仙腸関節前方脱臼には合併しやすいため注意が必要である。
症例2 肩峰単独骨折の一例 半田市立半田病院 荒川 卓也 先生
肩峰骨折に対して健側用の鎖骨遠位端プレートを用いて骨接合を行った。術前に3Dボーンモデルを作成しプレートの適合性を確認している。術後経過は良好である。
症例3 ライブサージェリーを用い整形外傷医の監督下のもと手術を行った肩上方懸垂複合体(SSSC)損傷の一例 蒲郡市民病院 佐藤 洋一 先生
ウェアラブルカメラ、iPadを使用して蒲郡と名古屋をリアルタイムにつなぎ、整形外傷医の指導の下、SSSCの骨接合術を行った。有用な方法ではあるが、倫理的な問題、指導医への対価、通信技術の問題が挙げられる。
症例4 Paget-Schroetter 症候群の一例 名古屋セントラル病院 渡邉 雅之 先生
若年健常者に突発的に発生する原発性静脈化血栓症(Paget-Schroetter 症候群)を経験した。エコーで本疾患の可能性を念頭に置いたために造影CTで容易に診断できた。治療は血栓溶解療法、抗血栓療法、手術療法が挙げられ、アピキサバンで加療した。
講演1 鎖骨骨幹部骨折に対する前下方プレートを用いたMIPO法の治療成績 一宮市民病院 岸本 烈純 先生
鎖骨骨幹部骨折に対してMIPO法(+創外固定)と前下方プレートを用いて手術を行っている。プレートの皮膚への突出が減る、長いスクリューを挿入できる、創が小さい、血管損傷リスクが低減などのメリットがある。本法により手術時間が短縮された。
講演2 一宮市における骨粗鬆症治療の医歯薬連携 花林 雅裕 先生(20分)
顎骨壊死の発生にはビスフォスフォネート製剤よりも口腔衛生の影響が大きい。抜歯にあたりBP製剤休薬は必ずしも必要ではなく、適切な口腔ケアが重要である。一宮市では医師会・歯科医師会・薬剤師会の三師会により医歯薬連携を行い、骨粗鬆症治療を進めている。