2019年11月21日、研究棟1号館地下1階会議室において、名古屋大学整形外科合同カンファレンスが開催されました。若手整形外科医による4例の症例提示、名古屋第二赤十字病院からの講演がありました。(文責:富田浩之、世木直喜)
症例1 頚椎前方固定後、遅発性に感染した一例
中部ろうさい病院 森 悠祐 先生
口腔内常在菌による遅発性深部感染のため、術後9年時に洗浄および抜釘を施行した症例を経験した。食道とのわずかな交通路などが発生して,感染が成立したことが疑われた。感染は沈静化し経過は良好だった。
症例2 大腿骨骨幹部骨折を来たした多発性外骨腫の一例
豊田厚生病院 等々力 一徳 先生
多発性外骨腫に嚢胞性病変を伴う非常に稀なLanger-Giedion症候群の、嚢胞性病変の部位で大腿骨骨幹部骨折を受傷し、プレート固定を施行した。患肢免荷としたところ、対側脛骨骨幹部骨折を合併したが保存治療を行い、受傷後12週で骨癒合を認めた。
症例3 撓骨遠位端骨折に合併した橈側手根屈筋腱断裂の一例
一宮市民病院 大野 公寛 先生
内固定時にFCR筋腱移行部引き抜き損傷が判明した症例を経験した。非常にまれと考えられる合併損傷であり、受傷時に背屈強制されたことが原因と考えられた。縫合修復を行い経過は良好であった。
症例4 尺骨茎状突起偽関節に対して手術治療を行った一例
刈谷豊田総合病院 土橋 皓展 先生
3か月前受傷、保存加療後、手関節尺側部痛の残存、可動域制限あり紹介受診。DRUJは安定、尺骨茎状突起の掌側への転位にともない、橈尺靭帯浅層の緊張が上昇し、回内制限が生じていると考えられた。偽関節手術を施行、症状改善傾向にある。
演題1 サルコペニアと骨粗鬆症
名古屋第二赤十字病院 飛田 哲郎 先生
サルコペニアとは、加齢性筋減少症で身体機能の低下を伴い、バランスの低下、易転倒性の原因となる。前向き研究で血清亜鉛値と骨密度に有意な相関を認めた。骨密度と筋量に有意な相関を認めた。骨折予防には、骨粗鬆症だけでなくサルコペニアの治療も必要と考える。
演題2 脊椎疾患の落とし穴 ~診断からsalvage手術まで~ 若手の先生方へ
名古屋第二赤十字病院 鈴木 喜貴 先生
脊椎疾患を疑う中に、癌の胸壁浸潤,指関節拘縮,手根管症候群,大腿骨頭壊死,骨盤脆弱性骨折,慢性硬膜下血腫,SpAなど,多岐にわたる症例が含まれる。確実な診断のためには、理学初見,画像診断,知識の総合力が必要である。