2020年5月14日、新型コロナウイルス感染症対策のために名古屋大学整形外科合同カンファレンスはWeb会議形式で開催されました。若手整形外科医による症例提示が行われました。（文責：水野 隆文）
症例1 上腕骨顆上骨折に橈骨神経断裂を合併した一例
名古屋第一赤十字病院 伊藤 里奈 先生
小児上腕骨顆上骨折に橈骨神経断裂を合併した症例に対して一期的に観血的骨接合術と神経縫合術を行い、順調な回復を得ている。この骨折に伴う神経麻痺は自然回復するものも多いが、転位の大きい骨折や完全麻痺の場合には神経展開を考える必要がある。
症例2 後脛骨筋腱脱臼に対して観血的脱臼制動術を施行した一例
名古屋第一赤十字病院 杉本 拓也 先生
足関節捻挫後に生じた反復性後脛骨筋腱脱臼に対してDAS De法に準じて治療を行い良好な結果を得た。脛骨筋腱脱臼は受傷早期ならば保存的治療が有効だが、症状残存の場合には手術が有用な選択肢である。
症例3 大腿四頭筋腱断裂に対する治療経験
津島市民病院 河邉 貴 先生
大腿四頭筋腱断裂に対してKrackow suture techniqueを用いたPull-out法とRelaxing sutureを併用し治療を行い、術後6カ月で正座可能、ランニング可能となった。四頭筋腱の修復は人工靱帯を用いた方法などいくつか存在するが、本法も有用な方法である。
症例4 鎖骨遠位端骨折に対してZip Tightを使用し、骨癒合後に骨折を起こした一例
津島市民病院 朝本 学宗 先生
鎖骨遠位端骨折に対してZip Tightとロッキングプレートを用いた骨接合術を行い、骨癒合後にプレートのみの抜釘を行ったが、16か月後にZip Tight刺入部での骨折を生じた。Zip Tightのような固定方法は骨癒合後でも骨孔拡大を来す可能性があり注意が必要である。