10月の合同カンファレンスの報告

2021年10月28日、名古屋大学整形外科合同カンファレンスがWebで開催されました。若手整形外科医による4例の症例提示と市立四日市病院から2題の講演がありました。(文責:前田真崇、小杉山裕亘)


日時:2021年10月28日(木)18:30~

場所:Web開催

司会:名古屋大学 関 泰輔 先生

 

症例1 Th12-L1化膿性脊椎炎に対する椎間板生検、ドレナージの安全性及び有効性の検討

中部労災病院 城 宏彰 先生

Th12-L1化膿性脊椎炎を後ろ向きに調査し、透視下経皮的生検及びドレナージの安全性を解剖学的に検討した。生検及びドレナージの際のSafety angleで穿刺を行えばTh12-L1椎間板生検及びドレナージは安全に施行できることが示唆された。

 

症例2 脛骨近位骨端線損傷の一例

大同病院 森崎 栄紀 先生

脛骨近位骨端線損傷Watson-Jones分類Ⅳ型Salter-HarrisⅡ型と診断し観血的整復および内固定を施行した。治療法としてギプス固定、経皮鋼線固定、スクリュー固定の報告がある。本症例は高度の不安定性を認めたためスクリュー固定を行った。

 

症例3 Guyon管外のガングリオンにより尺骨神経深枝麻痺を来した一例

大同病院 成瀬 啓太 先生

数カ月前からの左手脱力を主訴に受診。尺骨神経はGuyon管以遠で浅枝と深枝に分岐するため、障害部位により様々な臨床症状を呈する。詳細な理学的所見をとることにより診断でき、顕微鏡下に神経剥離およびガングリオン摘出を行い症状は改善した。

 

症例4 砕石位術後に生じたWell-leg compartment syndromeの一例

名古屋第一赤十字病院 藤田 友樹 先生

5時間以上の砕石位での手術後に両下腿痛発症しcompartmentと診断された。発症から4時間後に両下腿減張切開を施行した。手術時間が4時間以上・砕石位等が危険因子であり早期の診断と対応が必要である。

 

演題1 Wide awake surgeryによる手外科手術

市立四日市病院 川本 祐也 先生

Wide awake surgeryは覚醒下に知覚神経のみに局所麻酔を作用させて行う手術である。局所麻酔中毒を予防できるという利点がある一方で深部操作の麻酔効果は不確実、長時間効きにくいといったデメリットもある。筋腱断裂、ばね指、腱剥離、外傷等にWide awake surgeryは有用と考える。

 

演題2 医原性神経損傷 -トラブルにならないために-

市立四日市病院 奥井 伸幸 先生

末梢神経障害は様々な医療行為によって生じる。トラブルにならないためには、起きやすい場所に手技を行わない、しなければならない場合は他の選択肢を考慮したができなかった理由を記載する必要がある。神経損傷が起こりうる可能性を説明し、放散痛などの異常があれば中止し、しっかり説明しfollowすることが重要である。