2023年9月22日、鶴舞整形外科エキスパートセミナーを開催しました。
同門の安城更生病院 脊椎脊髄外科センター長 新城龍一先生から講演「3Dプリンティングによる患者適合型ガイドを使用した脊椎固定術」がありました。
PMDAによって認可された患者適合型ガイドが使用できるようになった。患者適合型ガイドは術中取得画像を用いたナビゲーションと同等か上回る正確性がある。頚椎後方固定術ではCPSをより正確に挿入できる可能性があり、C1外側塊スクリューにも使用できる。S2AI挿入のためのガイドも作成可能で、骨粗鬆症性椎体骨折に対するcross-trajectry screw法にも有用。高額の初期投資が不要で有用な方法である。
講師には鳥取大学医学部 整形外科学 教授 永島英樹先生をお招きし、ご講演「脊椎感染症と慢性疼痛診療のポイント」を賜りました。
脊椎感染症の起因菌検出率は高くない。高齢者の増加、易感染性宿主の増加で化膿性脊椎炎は増加している。起因菌が多種にわたるようになり、耐性菌が増加(特に高齢者)していることが問題。血液培養の結果は時間がかかることがあるので、生検も早期に行った方がよい。培養検査法も改良され、検出率の向上が期待できるが、ガイドラインでは起因菌同定まで抗菌薬投与を待つべきであり、1回の生検で出なかった場合2回目を行うことがすすめられている。患者状態が重篤な場合はエンピリックに抗菌薬を開始するが、血液培養の検出率も高いので期待。抗菌薬選定は感受性と組織移行性が重要。6週間の投与が推奨されているが、これは6週と12週を比較して治癒率が変わらなかったという文献に由来しており症例によって検討。このように過去の文献は極めて限られた種類の抗菌薬、低い起因菌同定率に基づいているので解釈に注意を要する。エビデンスの高い文献がないことも問題である。
現地、Webともに沢山の参加者の方にご参加いただき誠にありがとうございました。