2024年2月 合同カンファレンス報告

2024年2月15日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。名古屋大学の浅井秀司先生の司会により、専攻医による4例の症例提示と稲沢市民病院よりご講演がありました。

合同カンファレンス記録 (文責:吉田和樹、山本浩登)
日時:2024年2月15日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 浅井秀司 先生

症例1 上腕骨近位端骨折術後に肩関節後方脱臼を生じた一例

名古屋掖済会病院  吉本裕哉 先生

症例は34歳男性でロードバイク走行中に単独事故で受傷した。受傷1日目に近医より当院紹介受診となり、左上腕骨近位端骨折4part、左肩甲骨骨折の診断にて前者に対し、受傷後7日目に小結節、大結節骨片を整復した上で、骨接合(プレート固定)を施行した。

症例2 コンパートメント症候群疑いで紹介となったカルシフィラキシスの一例

トヨタ記念病院 根東竜 先生

症例は既往に糖尿病と慢性腎不全で血液透析をしている78歳の男性。当院受診8日前に転倒し、徐々に下腿部の腫脹と疼痛が増悪。足関節部の水疱や末梢のチアノーゼを疑う所見があり、コンパートメント症候群の疑いで紹介受診となった。

症例3 小児大腿骨骨病変の2症例

岡崎市民病院 北出怜司 先生

小児大腿骨に浮腫像を認めた2症例を経験したので報告する。症例1:10歳女児で特記すべき既往歴認めない。受診2か月前より誘因なく左大腿骨遠位内側部に疼痛出現した。

症例4 スポーツ中に生じた膝蓋腱断裂の一例

西尾市民病院 鈴木崇弘 先生

症例は45歳男性、バスケットボールの試合中にジャンプし着地した際に左膝痛を認め歩行困難となった。当院初診時の身体所見は左膝関節軽度屈曲位で伸展時に膝蓋骨周囲に疼痛を認め、左膝蓋腱は触知できず膝蓋腱部に陥凹を認めた。

講演 転倒骨折センター開設について

稲沢市民病院 須田光 先生

骨折を起こした高齢者が入院した際に退院まで他職種で介入するためにR4/10/3に転倒骨折センターを開設したのでその概要について述べる。高齢化が問題になっているが、稲沢市も65歳以上30%、75歳以上13%と高齢化が進んでおり、当院入院患者も7割以上が65歳以上、半分以上が75歳以上である。患者の7割が半径3km以内であり、今後近隣住民の骨折も増えると予想され、それらを受け入れるプロジェクトとして、骨粗鬆症性骨折治療を中心として。骨折予防指導や地域連携の強化も目指して開設された。年間500件弱の手術件数のうち下肢の骨折の半数以上が大腿骨近位部骨折、上肢の骨折の半数弱が橈骨遠位端骨折である。既存病棟を改修し、病棟内にリハビリや栄養相談、レクリエーションを行えるスペースなどを確保し、ワンフロアで完結できるようにした。循環器、内分泌、老年内科などとこれまで以上に連携を強化している。入院前の生活に戻れるよう入院時からサポートし、治療・アフターケア・予防の三位一体の治療を目指して他職種連携を行なっている。スマートベッドなどを導入し、ナースステーションで患者さんがどんな状態かモニター上にて一覧で確認できるようになっている。眠りスキャンで睡眠の状態なども確認できる。ベッドサイドのモニターでもバイタルなどのデータが入力できる。画面を切り替えると安静度や転倒リスクなども表示できるようになっており看護師サイドからの評価は高い。転倒の減少などの効果ついてはこれから検討が必要と考える。中規模病院であり整形外科常勤2人、看護師・PT・OTが不足、呼吸器内科常勤医不在、心エコーがなかなかできない、平日夜間は1人全科当直など大変な体制ではあるが、地域住民の治療が市民病院で完結できるよう今後も取り組んでいく。