2024年9月11日(水)に名古屋整形外科セミナーを開催しました。
まず、名古屋大学 整形外科 鏡味佑志朗先生から、講演「腰椎椎間板ヘルニアに対する椎間板内酵素注入療法の適応と使用実績」がありました。
腰椎椎間板ヘルニアは有病率1%前後と一般的な疾患。本邦で開発されたコンドリアーゼ椎間板内注入療法は安全性が高く、ブロックとは異なり根治治療となる。腰椎椎間板ヘルニアの7~12%を占める外側ヘルニアにも効果を認めた。Nagoya Spine Groupでは年々ヘルニコア使用が増加。ただし早期社会復帰を目指す若年男性は手術を選択することも多い。患者ニーズに合った治療法を提案するのがよい。
特別講演講師に東京大学大学院医学系研究科 整形外科学 准教授 大島寧先生をお招きし、ご講演「脊椎手術でどの程度痛み・しびれが改善するか? ~神経障害性疼痛の関与~」を賜りました。
頚椎症性脊髄症術後の手の痛みやしびれについて。軽症の頚髄症は必ずしも手術を必要としないが、保存治療が効果的であるエビデンスはない。手術成績のRCTも存在するが、痛みやしびれに関する言及はない。患者は痛みの改善を求めていることに注意が必要。現在、しびれも広義の疼痛と捉えられている側面がある。約半数いた術前painDETECTがpossible以上の患者は、術前も術後も疼痛がより強かった。術後の手のしびれがNRS 4以下に抑えられると患者満足度は比較的高かったので、症状が悪化する前の手術が勧められると考えられる。中枢性の神経障害性疼痛は改善が難しい可能性がある。臨床も研究もチームワークが大切。
多数の先生方にご参加いただきましたことに深謝申し上げます。