2024年11月15日、名古屋整形外科セミナーを開催しました。
まず、豊橋市民病院脊椎外科 副部長 宮入祐一先生から、講演「骨粗鬆症と隠れ椎体骨折 ~住民検診と地域医療機関の観点からの考察~」がありました。
50歳以降では、骨粗鬆症の可能性を考慮する必要がある。特に既存椎体骨折は骨密度によらずリスクを示している。地域住民検診において、隠れ椎体骨折と関連する独立因子は肥満であり、肥満による負荷や骨質への影響が推察される結果であった。筋力や骨密度には差がなかった。骨粗鬆症による病院通院者での調査では、隠れ椎体骨折をもつ患者は体重が軽く、骨密度が低値であった。地域住民の特徴を理解し、骨粗鬆症治療のタイミングを逃さないことが必要である。
特別講演講師に宮崎大学医学部整形外科 教授 亀井直輔先生をお招きし、ご講演「腰痛関連疾患と神経障害性疼痛」を賜りました。
世界には6億人を超える腰痛患者がいる。腰痛の原因は多岐にわたる。椎間板変性の定量評価は現在でも難しいが、脊髄組織の信号強度を基準としたsignal ratioで検討することが可能で、年齢やPfirrmann gradeとも相関する。Modic change type 1でも知られるT2高信号所見は、腰痛がある変性側弯患者に多く、圧痛部位とも概ね一致する。しかし、contrast ratioで確認した信号強度と腰痛との相関は乏しい。椎体間vacuumに骨セメントを注入する治療法では、経過に応じT2高信号も消失し、限局するT2高信号・腰痛の患者では限局した固定術が効果がある可能性がある。また、ゾレドロン酸やカルシトニンが腰痛の軽減とともにModic type 1を縮小するという報告もあり、骨代謝との関わりが示唆される。脊髄終糸症候群はまだ診断が難しく、電気生理学的検査も追加して検討。終糸症候群ではCMCTは延長せず、末梢潜時は延長する(係留症候群ではCMCT延長)。
今回も多数の先生方のご参加に深謝申し上げます。