2024年12月13日、名古屋整形外科セミナーを開催しました。
まず、江南厚生病院 整形外科 大山博己先生先生から、講演「骨粗鬆症性椎体骨折に対する治療戦略とその長期成績」がありました。
経皮的椎体形成が適応できない症例では前後合併手術を考慮しているが、手術侵襲が問題になる場合は椎体形成と後方固定を組み合わせた手術を行っている。前後合併手術では、間接除圧も可能である。骨セメント補強スクリューは粗鬆骨でも固定性の向上が期待できるが、セメント漏出が問題となることがある。
そして特別講演講師に福島県立医科大学医学部 整形外科学講座 准教授 二階堂琢也先生をお招きし、ご講演「腰部脊柱管狭窄症の診断と治療―新たなエビデンス:MiroTAS試験も含めて―」を賜りました。
日本の腰部脊柱管狭窄(症)の有病割合は5.7%以上である。治療アウトカムの向上のためには、入院による歩行負荷試験、立位伸展負荷試験と、精神医学的評価が重要。歩行負荷試験は10分くらい一緒に歩き、症状の変化を観察する。歩行によってより上位の症状が出現することが確認できる症例や、腱反射が変化する症例もある。精神医学的評価はBS-POP(特に治療者用)を活用し、特に神経根型では手術適応も含め検討する。BS-POPの結果は患者満足度にも影響する。また、脊椎疾患に特化したSpine PainDETECTを開発。膝関節内側部の痛みのうち腰部神経根症は6%存在し、殿部痛のうち股関節障害が含まれていることもあり、これらの弁別にSpine PainDETECTが有用である。心理社会的疼痛は修飾子で、近年痛覚変調性疼痛が注目されている。現行ガイドラインではガバペンチンのエビデンスは少ないが、腰部脊柱管狭窄に対しNSAIDsにミロガバリンを上乗せする効果をRCTで実証した。
多数の先生方にご参加いただきましたことに深謝申し上げます。