2025年5月 合同カンファレンス報告

2025年5月15日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。名古屋大学の大内田隼先生の司会により、専攻医による4例の症例提示と中津川市民病院よりご講演がありました。

合同カンファレンス記録 (文責:清水景太・長谷康弘)
日時:2025年5月15日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 大内田隼 先生

症例1 脊椎手術中の頭蓋骨骨折を契機に診断された多発性骨髄腫の1例

総合上飯田第一病院 岩永康介 先生

症例は77歳男性。歩行障害と巧緻運動障害を主訴に頚椎症性脊髄症と診断され、椎弓形成術を予定された。手術時、クランプ式頭蓋固定器による固定時に愛護的操作にもかかわらずヘッドピンの過剰な刺入と固定力低下があり、マスク型固定へ変更し手術を施行した。

症例2 肺癌の転移性脊椎腫瘍を疑ったが結核性脊椎炎だった1例

豊田厚生病院 田島美咲 先生

結核性脊椎炎は全結核患者の約5%に発症すると言われている。結核菌は椎体終板に血行性感染し、前方の骨皮質に浸潤する為、初期の椎間板腔は保たれると報告されている。今回、肺癌の転移性脊椎腫瘍を疑い、胸椎後方徐圧固定術を施工したが、結核性脊椎炎であった一例を経験したので報告する。

症例3 当院のCarpenter法の治療経験ー従来のサークラージコンプレッションワイヤリングとCarpenter法との比較ー

岐阜県立多治見病院 富田剛之將 先生

膝蓋骨骨折は全骨折の約1%を占め、その多くは立位からの転倒により発生する。従来はKirschner鋼線を用いたサークラージコンプレッションワイヤリング(CCW)が標準術式であったが、近年当院ではCCS固定をもちいたCarpenter法による骨接合をおこなっている。本研究では、当院におけるCCWとCCS(カニューレスクリュー)2本にワイヤーを通す“Carpenter法”との臨床成績を後ろ向きに検討した。

症例4 大腿骨骨幹部骨折に対する鋼線牽引の際のピン刺入が原因となったHeat necrosisの1例

名古屋大学病院 加藤健太郎 先生

症例は16歳男性で特記すべき既往歴認めない。ハンドボール中のジャンプ着地動作にて、右大腿骨骨幹部骨折を受傷した。同日中に近位脛骨に鋼線牽引を施行したが、皮質骨が硬く、Kワイヤーの刺入に1分以上を要した。

講演 中津川市民病院の現状

中津川市民病院 丸山浩司 先生

中津川市は、人口74532人(2024年1月1日)で65歳以上の高齢者率が33.5%(全国平均29.3%)。平成17年に合併し岐阜県で6番目の面積となった。周辺に大病院がない環境であり、3次救急は県立多治見病院に搬送しているが、中津川市民病院から救急車で45分程度かかる。病床数は316床だが、看護師不足のため、実稼働266床である。整形外科常勤は5人ではあるが、非常勤の先生にも来ていただいており手術申込数は近年増加中で1年1000件程度である。