2025年6月 合同カンファレンス報告

2025年6月19日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。名古屋大学の船橋洋人先生の司会により、専攻医による3例の症例提示と名城病院よりご講演がありました。

合同カンファレンス記録 (文責:鏡味佑志朗・斎藤雄馬)
日時:2025年6月19日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 船橋洋人 先生

外傷後の遅発性血胸の2例

豊橋市民病院 西野入賢 先生

胸部外傷における受傷早期の血胸は一般的だが、受傷後24時間以降に起きる遅発性血胸の頻度は稀であり、致死的になりうる。今回我々は、胸部外傷後に遅発性血胸を生じた2例を経験したため報告する。

中足部骨欠損を伴ったMangled Footの1例

長野赤十字病院 児玉敏宏 先生

Mangled Footの治療原則はAcceptable Foot(歩行時に疼痛のない)を目標とした解剖学的骨再建と軟部組織再建である。症例は50代男性、仕事中に左足部へ約1トンの荷物が落下し受傷。足背動脈損傷,前脛骨筋腱断裂,中間楔状骨を中心としたLisfranc関節開放性脱臼骨折と舟状骨の体外脱転を認めた。

壊死性筋膜炎の抗菌薬治療中に発症した紫斑性皮疹に対し薬疹とIgA血管炎との鑑別を要した1例

知多半島総合医療センター 大口陽平 先生

壊死性筋膜炎に対して抗菌薬治療を行っていた患者に、薬疹と鑑別を要する全身性の皮疹を認めた1例を経験した。

講演1 胸腰椎・腰椎思春期特発性側弯症に対する選択的腰椎固定術の適応と限界

名城病院 町野正明 先生

特発性側弯症の治療においては早期発見が極めて重要であり、学校検診などで用いられる前屈テストが広く知られている。特にrib hump(肋骨隆起)は主弯曲の部位によって出現が異なるため、ウエストラインの左右差を評価することも有用である。

講演2 私の失敗100選

名城病院 小原徹哉 先生

2003年に名城病院へ赴任し22年経過したが、印象に残っているのは、成功した症例ではなく、うまくいかなかった症例であった。今後の脊椎外科を目指す医師のためにも失敗例を共有することが大切であり、今後同様の落とし穴にはまらないようしてもらえたらと考える。失敗を防ぐために、術前の十分な準備期間、そのためのトータルの仕事量の調整、術者、患者、コメディカルのコミュニケーションの問題、各外科医の基本ペースがそれぞれ異なることを理解する。緊張と弛緩のバランスや手術のペース配分といった点が大切である。