2025年7月10日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。名古屋大学の酒井智久先生の司会により、専攻医による3例の症例提示と大同病院よりご講演がありました。
合同カンファレンス記録 (文責:成瀬啓太・長田直祥)
日時:2025年7月10日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 酒井智久 先生
下腿切断を施行したが救命困難であったVibrio vulnificusによる壊死性筋膜炎の一例
刈谷豊田総合病院 葛西剛史 先生
症例はADL全自立の70代男性。肺癌、食道癌、胃癌の既往はあるが全て寛解しており肝機能障害を認めなかった。X-1日家族で夕食中から左下肢の疼痛の訴えがあった。翌朝より左下肢の色調変化と発熱を認め近医を受診。血圧低下や腎機能の低下を認め手術目的に当院搬送となった。
ネコ咬傷後に生じたPasteurella multocida感染症による手背の重症軟部組織感染症・皮膚潰瘍に対して前外側大腿遊離皮弁術を行い治療した一例
東農厚生病院 宮川昂己 先生
症例は66歳男性。自宅で飼育していたネコに右母指を咬まれ、受傷15時間後に発熱と手背腫脹を主訴に救急搬送された。蜂窩織炎の診断で救急科に入院となり、入院時よりSBT/ABPCにて抗菌薬治療を開始した。入院2日目にはショックバイタルを呈し、敗血症性ショックと診断されICU管理となった。
上前腸骨棘裂離骨折に対し観血的治療を行った一例
名古屋大学医学部付属病院 若山貴洋 先生
上前腸骨棘裂離骨折は股関節骨盤外傷の中で思春期に好発する比較的稀な外傷である。従来は保存療法が行われることが多いが、早期スポーツ復帰を目指し、観血的治療を行い、良好な転機を得た一例を経験したので報告する。
講演1 当院医おける大腿骨近位部骨折に対する治療と骨粗鬆症治療への取り組み
大同病院 佐野敦郎 先生
大腿骨近位部骨折の治療には手術療法と保存療法がある。手術療法としてはTHA(人工股関節全置換術)を含む手術が選択されることが多く、特に活動性の高い大腿骨頸部骨折で麻酔リスクが低い患者には、ガイドライン上でも手術が推奨されている。近年は骨粗鬆症(OP)による大腿骨近位部骨折も年々増加している。
講演2 橈骨遠位端骨折の治療選択
大同病院 篠原孝明 先生
大同病院の橈骨遠位端骨折(DRF)治療に関して紹介する。XpでDRFと診断した場合、まず伝達麻酔を行い、透視下で骨折の徒手整復を実施する。その後、骨折およびDRUJ(遠位橈尺関節)の不安定性を評価し、健側のXpも撮影する。整復後は必ずCT撮影を行い、その結果をもとに治療方針(ギプス固定、ピンニング、プレート固定、創外固定など)を検討する。