2025年9月 合同カンファレンス報告

2025年9月18日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。
名古屋大学の伊藤定之先生の司会により、専攻医による4例の症例提示と西尾市民病院よりご講演がありました。

合同カンファレンス記録 (文責:藤田友樹・岡田裕也)
日時:2025年月9月18日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 伊藤定之 先生

変形癒合した陳旧性上腕骨近位端骨折に生じた再骨折に対し骨接合術を行った一例

トヨタ記念病院 田上智大先生

症例は54歳男性。20年以上前にバイク事故で左上腕骨近位端骨折を受傷し保存加療歴あり。その他特記すべき既往歴を認めない。バイク走行中に左を下にして転倒し、左上肢を打撲した。左肩痛を主訴に近医受診し、左上腕骨近位端骨折の診断で当院紹介受診。レントゲン・CTで上腕骨頭から頸部にかけて高度に変形した陳旧骨折を認めた。

胸背部への高圧注入損傷の1例

名古屋掖済会病院 服部大士先生

特に既往のない24歳男性、ウォーターカッターでの作業中に、左背部から上腕にかけて水道水が高圧注入された。一度近隣の総合医療機関に救急搬送されたが胸腔ドレン留置された状態で当院へ搬送。軟部の損傷が激しく、当院へ紹介となった。

間質性呼吸器疾患を合併または先行発症した関節リウマチ患者に対し、バリシチニブを使用した2例

刈谷豊田総合病院 小谷涼太先生

バリシチニブ(BARI)は関節リウマチに伴う間質性肺疾患(RA-ILD)患者において、関節炎と肺病変の両面において効果が期待できると報告されている。ILDを合併または先行発症したRA患者に対し、BARIを使用して関節症状の改善を得た症例を2例経験した。

診断まで時間を要した類骨骨腫の2例

JA久美愛厚生病院 箕浦侑吾先生

症例1は70歳女性で2年前から誘因なく左前腕の安静時夜間痛が出現、近医にて左上腕骨外側上顆炎や関節リウマチと診断されていた。
症例2は32歳女性で2年前に誘因なく左大腿部痛が出現、近医にて左大腿外側皮神経痛と診断され、ブロック注射や神経剥離術を施行したが症状は改善しなかった。

講演1 Dual EnergyCTの活用について

西尾市民病院 鈴木崇弘先生

当院では2020年にデュアルエナジーCT(以下DECT)、2024年にトモシンセシスを導入した。DECTは二つの管電圧を用いて撮影し、異なるエネルギー情報を比較することで物質の組成を識別可能である。撮影方法には3種類が存在し、当院ではスウィッチング法を採用している。DECTの利点としては、物質識別能力の向上、仮想単色画像・仮想非造影画像の作成、金属アーチファクト低減などが挙げられる。

講演2 当院でのTomosynthesisの導入について

西尾市民病院 犬飼規夫先生

Tomosynthesisは断層撮影とデジタル画像処理を融合させたデジタル断層技術である。厚みのある被写体に対して様々なX線の入射角で撮影することで単純X線方向に奥行きの情報を与える装置となっている。画像処理の方法としてFBP法とRI法の二つがある。