10月の合同カンファレンスの報告

 

2018年10月25日、研究棟1号館地下1階会議室において、名古屋大学整形外科合同カンファレンスが開催されました。若手整形外科医による4例の症例提示、名古屋第一赤十字病院からの講演が2演題ありました。【文責:世木直喜、小清水宏行】


症例1 胸椎硬膜内に発生したhemangiopericytomaの一例

県立多治見病院 藤田 友樹 先生

画像検査にて髄膜腫との鑑別が問題となる血管周皮腫の症例を経験した。術後短期経過は良好だったが、再発・転移が比較的多い腫瘍であり、今後注意深い経過観察を要する。

 

症例2 尿閉が初発症状であった馬尾神経腫瘍の一例  

中部労災病院 浅井 寛之 先生

下位腰椎から仙骨部に発生する腫瘍は馬尾神経の可動性が良いため、神経症状が発生しにくいことが考えられ、尿閉のみを主訴とする場合がある。

 

症例3 12歳男児の脛骨遠位部骨折後に生じた早期骨端線閉鎖の一例

安城更生病院 竹市 陽介先生

外傷後骨端線早期閉鎖に対する治療方針について検討を行った。将来内反変形や脚長差が予想されるが、現在はアライメント良好である。治療の選択肢としてLangenskiold法や骨端線抑制が挙げられた。

 

症例4  化膿性内閉鎖筋炎の一例

市立四日市病院 藤井 整 先生

小児で発熱、股関節痛を認め、激しい運動歴がある場合には鑑別診断として化膿性内閉鎖筋炎を考慮し股関節MRIを行うことが重要である。


名古屋第一赤十字病院

演題1 幼児化膿性股関節炎に対する関節鏡下滑膜切除術の経験

田中 祐樹 先生

幼児化膿性股関節炎は一般的には前方アプローチ等で切開排膿が行われるが、関節鏡下にデブリドマンを行い経過良好な症例を提示され、関節鏡下滑膜切除術の有用性を講演された。

 

演題2 DRUJOAの臨床像 

洪 淑貴 先生

DRUJOAの病態、鑑別、治療法などの説明に加え、治療成績について講演された。DRUJOAを診察したら小指独立伸展を確認し、伸展不全がある場合には早期に手外科医に紹介をすることが重要である。