1月の合同カンファレンスの報告

2019年1月24日、研究棟1号館地下1階会議室において、名古屋大学整形外科合同カンファレンスが開催されました。若手整形外科医による4例の症例提示、愛知県がんセンター中央病院からの講演が2演題ありました。【文責:小池 宏、清水 光樹】


症例1 交通事故後左肩関節垂直脱臼骨折を来した一例

トヨタ記念病院 片山 雄二郎 先生

大結節骨折を伴う左肩関節垂直脱臼の症例が提示された。鎮静下に整復し保存加療をおこなったが腋窩神経麻痺を合併した。整復方法の注意点や腋窩神経麻痺を高率に合併することが示された。

 

症例2 成人脊柱変形(後側弯)に対して矯正固定を行なった一例

中部労災病院 杉野 貴之 先生

数年来の腰痛を主訴として高度のアライメント不良を伴う後側弯変形に対し、矯正固定術を行った症例が提示された。Pedicle Subtraction Osteotomy(経椎弓根的楔状骨切り術)にLLIFおよびPLIFを併用し後弯矯正と側弯矯正ができた。術後のアライメントやJOAの改善を認めた。

 

症例3 複数回の滑膜切除術で治癒しえなかったPVSの一例

愛知厚生連渥美病院 松本 祐輔 先生

40歳男性に発症した膝関節PVNSの症例に対し、前方は関節鏡下、後方は関節切開により滑膜切除を行ったが、5回再発した。最終的にはOA変化をきたし、TKAになった症例が提示された。最適な治療法についてコンセンサスはないが、良性病変であることや複数回手術により変形性関節症を誘発する可能性があり、治療法は慎重に検討する必要がある。

 

症例4 膀胱内BCG注入療法後に左鼠経部皮下腫瘤を呈したMycobacterium bovis感染症の一例

大同病院 増田 高将 先生

膀胱癌治療のためBCG膀胱内注入後、左鼠径部に軟部腫瘤を自覚した症例が提示された。QFT、Tspotは陰性であったが、針生検の結果、結核の診断となった。BCGはウシ由来であり検査結果に注意が必要である。

 

演題1 転移性骨腫瘍に対するリハビリテーションの有効性と課題 

愛知県がんセンター中央病院 吉田 雅博 先生

がんリハに関する取り組みと課題に関して講演がされた。リハビリを行うためには状態を適切にスコア化して病的骨折のリスクや不安定性、予後を評価することが重要である。骨転移のリハビリテーションは病的骨折に注意しながら廃用症候群を予防し、リハビリ開始時に適切なゴール設定が必要である。

 

演題2 転移性骨腫瘍の初期診断

愛知県がんセンター中央病院 筑紫 聡先生

原発不明癌の骨転移の診断について講演された。転移性骨腫瘍の画像的な特徴や発見後にするべき検査が示された。全身CTや腫瘍マーカーなどでも原発巣が不明な場合は早期に生検することの重要性を説明された。