2月の合同カンファレンスの報告

 

2019年2月21日、研究棟1号館地下1階会議室において、名古屋大学整形外科合同カンファレンスが開催されました。若手整形外科医による症例提示、名城病院からの講演がありました。【文責:井上太郎、富田浩之】


症例1 TKA後に生じた大腿骨骨折に対して順行性髄内釘による骨接合術を施行した一例

豊田厚生病院 杉本 遼介 先生

TKA周囲骨折患に対し、順行性髄内釘による骨接合術を施行し良好な結果を得た。逆行性髄内釘やプレートが選択されることが多いが、近年の順行性髄内釘は遠位骨片を強固に固定することが可能であるため選択肢となる。

 

症例2 Chance骨折にIVC損傷を合併した一例

中東遠総合医療センター 坂東 皓介 先生

DISHに伴うL4リバースチャンス骨折に合併したIVC損傷を経験した。高齢であることから手術希望はなく輸血による保存加療を施行したが、バイタルが安定し救命することができた稀な症例を経験した。

 

症例3 フィギュアスケートで受傷した小児大腿骨転子下骨折の一例

中京病院 松山 沙織 先生

フィギュアスケートにて受傷した小児大腿骨転子下骨折に対し、PHILOSプレートを用いて骨接合施行し、良好な結果を得た。小児の大腿骨骨折は保存加療や創外固定を用いた手術が行われることが多いが、PHILOSプレートは選択肢となる。

 

症例4 梅毒感染を伴う骨病変の一例

中東遠総合医療センター 山路 哲史 先生

骨盤に多発骨破壊性病変を伴う神経梅毒の症例を経験した。神経梅毒は、荷重による仙骨破壊が進行する可能性があることを考慮した治療を要する。

 

演題1 神経線維腫症に伴う早期発症側弯症に対する10歳以下での脊椎固定術

名城病院 田内 亮吏 先生

神経線維腫症(NF-1)に伴う早期側弯症の手術加療について検討した。術後脊柱アライメント、呼吸機能は有意な改善を見た。NF-1による早期側弯症の手術は椎体の菲薄化などに伴うスクリュー刺入、移植骨母床の確保が難しいなどの問題点がある。基本的に保存加療の適応は少なく、手術のタイミングの決定が重要である。

 

講演2 胸腰椎・腰椎側弯に対する治療戦略:腰仙椎corrective PLIF 

名城病院 小原 徹哉 先生

胸腰椎・腰椎側弯に対して腰仙椎の水平化を行い腰椎カーブの間接的矯正を狙うcorrective PILFについて講演された。L3、4tiltが矯正されることで、胸腰椎のカーブが間接的に矯正され、腰椎カーブは矯正され、冠状面バランスも改善した。Oblique take-offを伴う腰椎カーブに対する手術方法として、従来のlong fusionに代わるshort fusion surgeryとして一つのoptionとなり得る。