2019年4月18日、研究棟1号館地下1階会議室において、名古屋大学整形外科合同カンファレンスが開催されました。若手整形外科医による症例提示、東濃厚生病院からの講演がありました。【文責:井戸田大、坂口健史】
症例1 Methotrexate投与中に多発性のリンパ性増殖性疾患を呈した2例
刈谷豊田総合病院 牧原 康一朗 先生
MTX投与中の関節リウマチ患者に認められたMTX関連リンパ性増殖性疾患と考えられた2例を経験した。MTX投与者によるLPDの可能性に対する事前の説明と他科とのReal timeな連携が重要であると考えられた。
症例2 大腿骨ステム周囲骨折に対してインパクションボーングラフトとロッキングプレートによる再建術を行った一例
長野赤十字病院 山田 梨紗 先生
大腿骨ステム周囲骨折Vancouver Type B2に対し、ロッキングプレートによる骨接合とIBGを併用し、ロングステムではなくレギュラーステムで再置換した。狭髄腔のため、ロングステムが使用できない症例に対し、有用な方法であると考えられた。
症例3 両側膝蓋骨脱臼の一例
トヨタ記念病院 吉田 和樹 先生
両側の複合靱帯損傷に対して、一次修復と二期的手術を行い、良好な結果を得た。急性期手術と二期的手術に関して一定のコンセンサスはないが、日本では同種腱移植が使えないので、可能な範囲で一次修復を行うことが望ましい。
症例4 開放性骨盤輪骨折の一例
一宮市立市民病院 森田 荘太 先生
開放性不安定型骨盤輪骨折を経験した。開放性骨盤輪骨折は15-25%が骨折により死亡するとされているが、創外固定や輸血などの処置を行い救命した。その後、骨接合を施行し、機能的にも杖歩行が可能なレベルに回復した。
演題1 TKA感染に対して自家製鋳型で作成したALACSの使用経験
東濃厚生病院 大間知 孝顕 先生
TKA感染に対して抗菌薬含有可動式セメントスペーサー(ALACS) を、自家製の鋳型を用いて作成することで、適合した形状のALACSを作成できた。ALACS留置期間中の歩行機能はある程度の確保が可能だった。
ショートレクチャー 「リウマチ班初診」受診患者について
リウマチ班 祖父江 康司 先生
リウマチ班初診にはRAと診断された患者以外に、診断未確定関節炎、変形性関節症、リウマチ性多発筋痛症、外反母趾などの患者がいた。診断未確定関節炎とリウマチ性多発筋痛症の診断と治療について文献を引用して説明され、外反母趾に対しては当院で行っている足趾関節形成術の結果を提示された。