2019年6月20日、研究棟1号館地下1階会議室において、名古屋大学整形外科合同カンファレンスが開催されました。若手整形外科医による症例提示、豊橋市民病院からの講演がありました。(文責:服部恭典、岸本賢治)
症例1 指尖部感染術後に膠原病の診断に至った2例
刈谷豊田総合病院 柴田 隆太郎 先生
指尖部壊死・潰瘍を契機に診断された強皮症を経験した。強皮症は皮膚および諸臓器の線維化、末梢循環障害を病態とし、進行すると可逆性に乏しく、早期発見早期介入が望まれる。
症例2 学齢期に発症した化膿性股関節炎の一例
一宮市立市民病院 大野 公寛 先生
学齢期発症の化膿性股関節炎を経験した。好発年齢は2歳未満とされるが、学童期や青年期には定まった報告はない。関節破壊や大腿骨頭壊死を合併した際には、長期的治療計画の検討を要す。
症例3 脊損後、褥瘡感染から骨盤部骨髄炎に至り難治化した症例
豊田厚生病院 長田 直祥 先生
脊損後の褥瘡感染から難治性骨盤骨髄炎となった症例を経験した。脊損患者では坐骨部や仙骨部の褥瘡形成を生じたり、骨髄炎を伴ったりすることがあるが、多くの場合は局所のデブリードマンや抗生剤で感染コントロールが可能とされる。一方、本症例では保存治療やデブリードマンを経ても感染コントロールがついておらず、今後退院しても再燃する可能性がある。
演題1 骨盤骨折の手術療法UPDATE
豊橋市民病院 三矢 聡 先生
骨盤骨折の手術療法のアプローチや内固定法は進歩してきており、より低侵襲で骨盤深部に到達できる方法や、プレート固定、ケーブル固定、スクリュー固定での治療が報告されている。適切な手技を知ることで治療成績の向上が可能である。
演題2 当科における乾癬性関節炎診療の実際
豊橋市民病院 平野 裕司 先生
乾癬性関節炎は脊椎関節炎症候群の一つであり、関節リウマチとの鑑別が重要となる。症状は多彩で末梢関節炎、付着部炎、軸性病変、皮膚病変に分けて治療方針を決めることが推奨される。治療はNSAIDsのほか、MTXや生物製剤が用いられる。
講演 整形外科インプラントに関係した取り組み
メディカルITセンター 山下 暁士 先生
ICTを活用し院内の効率的で安心,安全な医療を提供する『スマートホスピタル構想』をすすめている。将来的に名古屋大学病院が中心となって,地域と家庭がつながる新しい医療を提供することを目標としている。現在、ICTを用いて名古屋大学病院の手術室の効率化をすすめている。