9月の合同カンファレンスの報告

2019年9月12日、研究棟1号館地下1階会議室において、名古屋大学整形外科合同カンファレンスが開催されました。若手整形外科医による症例提示、安生更生病院からの講演がありました。(文責:田中宏昌、藤田明子)


症例1 セルトリズマブペゴルを使用中に妊娠・出産した関節リウマチの一例

江南厚生病院 中島 良 先生

早期RA患者に対してセルトリズマブペゴル使用し加療中、妊娠した。妊娠中は継続し、帝王切開の為1か月間のみ休薬を行い、出産後に再開した。妊娠経過中、明らかな疾患活動性の増悪を認めず、母子ともに妊娠出産の経過に異常を認めなかった。

 

症例2 人工肩関節−人工肘関節間で上腕骨骨幹部骨折を来した一例

江南厚生病院 平松 泰 先生

TSA-TAE間の上腕骨骨幹部骨折に対して、プレート、自家骨、同種骨プレートで骨接合を行い良好な臨床成績であった。確立された骨折予防法はないが、セメントを長く入れない、術後テリパラチドを使用するなどの対策が報告されている。

 

症例3 後天性血友病患者の大腿骨転子部骨折の一例

東濃厚生病院 柏原 学 先生

後天性血友病(第ⅩⅢ因子活性低下)がある高齢女性が転倒し、右大腿骨転子部骨折を受傷し、髄内釘を施行した。術後転位をきたし、人工骨頭置換術を施行した際、血液凝固第ⅩⅢ因子製剤(フィブロガミンP)、RCC,FFPで対応し手術を行った。

 

症例4 ビスフォスフォネート長期内服患者に生じた非定型尺骨骨幹部骨折の一例

市立四日市病院 田中 真矢 先生

比較的まれな非定型尺骨骨幹部骨折に対して、骨接合を行い、ビスフォスホネートの投与中断、LIPUS使用などを行い、良好な治療成績を得た。非定型大腿骨骨折と同様に、骨癒合が遷延する可能性があり注意が必要と考えられた。

 

演題1 当院における切断指再接着術の現状

安城更生病院  原 龍哉 先生

当院では愛知県内でのテレトリアージを年30件ほど行っている。当院での2003.4-2018.3に施行した18例65指の多数指の切断で生着率95.4%で平均手術時間が15.1時間であった。

 

講演2 腰椎椎間板ヘルニアに対するコンドリアーゼでの治療経験

安城更生病院  新城 龍一 先生

コンドリアーゼの椎間板注射を行い、59例中51例86.4%に下肢痛軽減の効果を認めた。効果発現期間は平均22.4日で、50%の症例は2週以内に効果を認めた。高齢者、外側ヘルニアに対しても効果があった。