12月合同カンファレンスの報告

2019年12月12日、研究棟1号館地下1階会議室において、名古屋大学整形外科合同カンファレンスが開催されました。若手整形外科医による4例の症例提示、中京病院からの講演がありました。(文責:澤田英良、三竹辰徳)

また、専攻医研修プログラムについての説明が行われています。


症例1 膝蓋腱剥離を伴う脛骨粗面骨折を受傷した一例

大同病院 成瀬 啓太 先生

脛骨粗面骨折と膝蓋腱断裂(脛骨粗面部)を同時に認めた1例を経験した。骨片が180度反転している場合は、同時受傷の可能性を念頭におく必要ある。

 

症例2 Methotrexate(MTX)投薬中に妊娠に至った関節リウマチの一例

豊橋市民病院 桑原 悠太郎 先生

妊娠可能年齢の女性に対するRA治療においては非計画性妊娠の可能性も考慮し治療薬の選択をするとともに、治療薬に対する正しい知識を提供する必要がある。

 

症例3 骨硬化病変が全身におよぶ一例

中京病院 上田 哲太郎 先生

レントゲンで骨硬化性病変を全身に認め、骨硬化部位に一致して強い集積を認めた症例を経験した。過去に行われた骨生検では確定診断に至らなかったが、骨硬化病変はsclerotomeに一致していることからMelorheostosisと診断した。

 

症例4 一期的距踵関節固定と骨移植を要した両側踵骨開放骨折の一例

中京病院 松山 沙織 先生

両側踵骨開放骨折に対して一期的距踵関節固定と骨移植を要した一例を経験した。独歩可能、職場復帰も果たしており、良好な結果が得られた。関節面に高度な破壊をきたした踵骨骨折には距踵関節固定は有用な治療法と考えられた。

 

演題1 リウマチ手関節における伸筋腱断裂の危険因子

中京病院 浅野 研一 先生

リウマチ手関節の滑膜炎や変形の特徴、伸筋腱皮下断裂の診断や手術について、自験例を含めて講演された。断裂群は非断裂群に比べて有意に伸筋腱区画の腫脹、Scallop sign陽性とDSR高値を示した。その他の危険因子としてMRIでECU腱の掌側への脱臼、3DCTで尺骨頭の背側亜脱臼と手根骨の回外変形などが報告されている。

 

演題2 2020年からの初期臨床研修について

中京病院 馬渕 まりえ先生

2020年からの初期臨床研修についての変更点について中心に講演された。医師のシームレスな養成を目指すことに加え、初期臨床研修がアウトカム基盤型となりアウトカムが知識や経験を問うものから医師として在り方(観察能力や学習能力等)に変わる。