1月の合同カンファレンスの報告

2020年1月16日、研究棟1号館地下1階会議室において、名古屋大学整形外科合同カンファレンスが開催されました。若手整形外科医による4例の症例提示、名古屋記念病院からの講演がありました。(文責:井戸田大、羽賀貴博)

また、専攻医研修プログラムについて、現在プログラム進行中の若手の先生方に症例登録のお願いをしています。


症例1 変形性膝関節症を有する大腿骨顆上骨折に対して、一期的に骨接合術と人工膝関節置換術を施行した一例 

トヨタ記念病院 大塚 陽平 先生

変形性膝関節症を有する大腿骨顆上骨折に対して髄内釘を用い一期的に骨接合術と人工膝関節置換術を施行した症例を経験した。髄内釘を大腿骨遠位骨切りアライメントガイド設置用の髄内ロッドとして使用できる利点がある。

 

症例2 骨端核出現前に受傷し診断に難渋した右上腕骨内上顆骨折の一例

半田市立半田病院  柘植 峻 先生

骨端核出現前の上腕骨内上顆骨折はレントゲン単独では診断に難渋することがあり、関節造影やMRIでの診断を要する。骨端核出現前の上腕骨内上顆骨折に対し観血的骨接合術を行い良好な短期成績を得た。

 

症例3 下腿の挫滅に対し膝関節離断術を施行した一例

名古屋医療センター 風間 悠介 先生

下腿挫滅に対して下腿切断術を行うも切断部の創治癒が得られず、二期的に膝関節離断術および植皮術を施行した。非虚血肢であることから大腿切断よりも膝関節離断を選択し、最終的に良好なADLを獲得できた。

 

症例4 大腿骨遠位端開放骨折に大腿四頭筋腱断裂を合併した一例

トヨタ記念病院 吉田 和樹 先生

大腿骨遠位端開放骨折に伴う大腿四頭筋腱断裂に対し骨接合術および膝伸展機構の再建を行った。膝蓋腱にアンカー2本を刺入し大腿四頭筋腱を逢着した後に人工靭帯を8字に締結し補強した。術後可動域制限を認めず経過良好であった。

 

演題1 小児の化膿性リンパ節炎

名古屋記念病院 金子 怜奈 先生

小児のリンパ節炎について、外科的治療を要した化膿性リンパ節炎の症例を提示しながら講演された。抗生剤治療にて効果が乏しく膿瘍が形成されたため、外科的に切開排膿を行った。再発例や1回の切開で完全に排膿できず難渋した症例があるが、最終的に治癒した。抗生剤投与で経過が不良な症例は膿瘍形成を疑い切開排膿を検討する必要があると考える。

 

演題2 手の軟部腫瘍

名古屋記念病院 小澤 英史 先生

名古屋記念病院の手部腫瘍の症例を提示されながら手部腫瘍について講演された。診断には問診、視診、触診が重要であり、発生時期、拡大速度を考慮するべき。頻度としてはガングリオンや巨細胞腫、神経鞘腫などが多かった。腫瘍径が小さい為、画像検査の際には読影に注意が必要である。