6月の合同カンファレンスの報告

2020年6月18日、名古屋大学整形外科合同カンファレンスがWebで開催されました。若手整形外科医による6例の症例提示がありました。(文責:大内田 隼)


症例1  Surgical dislocation法にて摘出した股関節滑膜性骨軟骨腫症の報告

名古屋記念病院 金子 怜奈 先生

10年以上前から左股関節痛を自覚し受診した。直視下手術で関節内の小結節を摘出し、術後1年で股関節可動域は改善し再発なく経過している。

 

症例2 壊死性軟部組織感染症との鑑別に苦慮した壊疽性膿皮症の一例

名古屋大学 佐藤 駿文 先生

左足の蜂窩織炎として洗浄処置と抗生剤投与にて加療していたが足底部の皮膚壊死の急速な進行を認め下腿切断に至った症例を経験した。壊疽性膿皮症は軟部組織感染症との鑑別に難渋するため、治療反応に乏しい皮膚潰瘍を診た場合は皮膚科依頼を検討する必要がある。

 

症例3 上腕二頭筋腱遠位断裂の一例

名古屋第二赤十字病院 小野 裕太郎 先生

重量物を荷台より下ろそうとした際に発症し、MRIで診断された。手術加療としてスーチャーアンカーを用いて橈骨粗面に縫着した。術後6か月時で健側と同等の可動域を獲得しており経過良好である。

 

症例4 転倒後に多発筋肉内膿瘍を生じた一例

一宮市民病院 山本 浩登 先生

木の剪定中に転倒し左股関節痛が出現、発熱と高CRP血症にて入院となりCTで左梨状筋、左腸腰筋、左脊柱起立筋に多発筋肉内膿瘍が確認された。挫傷を契機とした多発化膿性筋炎と診断し抗生剤加療を行った。

 

症例5 鎖骨遠位端骨折に烏口突起骨折を合併した一例

名古屋大学 上見 亮太 先生

自転車走行中に転倒し受傷した。左鎖骨遠位端骨折、烏口突起骨折の合併を認め、それぞれ観血的整復固定術を施行することで良好な経過を得ることができた。

 

症例6 経カテーテル動脈塞栓術(TAE)後に血腫感染を合併した2

岡崎市民病院 小嶋 秀明 先生

外傷に伴う活動性の動脈性出血に対して経カテーテル動脈塞栓術を施行し、後日血腫にMSSA感染を合併した2例を経験した。経カテーテル動脈塞栓術は血腫感染など合併症のリスクを考慮し、適応を検討することが重要である。