7月の合同カンファレンスの報告

2020年7月16日、名古屋大学整形外科合同カンファレンスがWebで開催されました。若手整形外科医による6例の症例提示がありました。

(文責:浅見 雄太)


症例1 ビスホスホネート製剤長期内服により尺骨に非定型骨折を生じた一例

トヨタ記念病院 岩瀬 賢哉 先生

50歳男性、サルコイドーシスに対し、ステロイドとリセドロン酸ナトリウムを長期間内服していた。軽微な受傷機転で尺骨近位骨幹部骨折を受傷し、観血的骨接合術を施行した。術後偽関節となり、腸骨移植を併用したプレートによる再手術を予定している。ビスホスホネート製剤の長期間内服患者は大腿骨以外でも非定型骨折を念頭におく必要がある。

 

症例2 移動型術中イメージングシステムO-armを用いた骨盤骨折骨接合の一例

江南厚生病院 横山 弘樹 先生

76歳女性、転倒受傷し脆弱性骨盤輪骨折を受傷した。O-armを用いて3Dイメージを作成し、下前腸骨棘よりLC2 screwを2本挿入した。3Dイメージを用いることでインプラントを安全に刺入でき、良好な術後経過を得た。

 

症例3 徒手整復不能であった母趾趾節間関節脱臼の一例

JCHO東京新宿メディカルセンター 高橋 博司 先生

20歳男性、柔道中に母趾趾節間関節脱臼を受傷した。手術時、IP関節の底外側にFHLの一部が嵌頓しており外側側副靭帯をアンカーと人工靭帯を用いて再建した。術後は再脱臼や関節の不安定性もなく経過良好である。

 

症例4 幼児指尖部切断に対しBrent変法を施行した3

安城更生病院 狩野 智洋 先生

1歳女児、3歳女児、3歳男児の示指指尖部損傷に対しBrent変法を施行した。全例で良好な経過が得られた。

 

症例5 上腕骨遠位骨幹部骨折に対し順行性髄内釘を使用し骨癒合を得た一例

名古屋医療センター 風間 悠介 先生

26歳男性、スノーボード中に転倒し左上腕骨遠位骨幹部骨折を受傷。順行性髄内釘により骨接合術を施行した。遠位骨片の肘頭窩を8㎜径のリーマーで穿孔し、髄内釘先端を肘頭窩に挿入、多軸方向から計3本の遠位横止めスクリューを挿入した。術後経過は良好であった。

 

症例6 尺側手根伸筋腱が脱臼整復阻害因子となり治療に難渋したGaleazzi脱臼骨折の一例 愛知県厚生連 渥美病院 松本 祐輔 先生

19歳、男性。自転車走行中に転倒しGaleazzi骨折を受傷。観血的骨接合術を実施したが術後CTにて尺骨頭脱臼の残存を認めたため遠位橈尺関節観血的脱臼整復術を施行した。ECUが茎状突起と尺骨頭の間に介在しており、整復阻害因子となっていた。