9月の合同カンファレンスの報告

2020年9月17日、名古屋大学整形外科合同カンファレンスがWebで開催されました。若手整形外科医による4例の症例提示と中東遠総合医療センターの講演がありました。

(文責:紀平 大介、小杉山 裕亘)


症例1 外傷性気胸を伴う肋骨骨折に対し胸腔鏡補助下観血的骨接合術を行った一例

市立四日市病院 登 達哉 先生

肺損傷を伴う左第4-11肋骨骨折を受傷し、転位の大きい左第10肋骨に対し、胸腔鏡下肺縫縮術と同時にロッキングプレートによる観血的骨接合術を行った。術後20週で癒合し、経過良好である。

 

症例2 橈骨遠位端骨折に合併した尺骨神経麻痺の2例

名古屋掖済会病院 石原 典子 先生

環指および小指の感覚障害を伴う橈骨遠位端骨折を受傷した症例を2例経験した。骨接合術後に尺骨神経麻痺が残存し、後日神経剥離を行い良好な成績を得た。

 

症例3 新生児化膿性肩関節炎後に上腕長差をきたした一例

名古屋大学 渡部 拓 先生

新生児期に、熱発および左上肢の自動運動がないことよりMRI精査した。関節液の貯留は認めなかったため、抗生剤投与による保存加療を行った。10年後、肩関節の可動域制限は認めていないものの上腕骨短縮を認めた。

 

症例4 井戸水による下肢高圧注入損傷の一例

中東遠総合医療センター 横井 寛之 先生

井戸水を使用した工業用ウォータージェット(200Mpa)が左足関節に接触、貫通し受傷した。足関節前方にピンホール大の貫通創があり皮下への気腫を認めた。Debridement、抗生剤投与を施行し、良好な経過を得た。

 

演題1 腰部脊柱管狭窄症に対する顕微鏡視下除圧術

中東遠総合医療センター 浦崎 哲哉 先生

顕微鏡診下片側侵入棘突起分離式両側除圧術(micro-LSPO)を施行した症例の治療成績を報告された。本術式は、左右対称に確実に神経根の除圧が可能であるが、後方支持要素が減弱する可能性がある。

 

演題2 大失敗しない橈骨遠位端骨折治療

中東遠総合医療センター 石井 久雄 先生

橈骨遠位端骨折は、整形外科医にとって基本的な治療である。手術成績の向上のためには基本的な手技を覚えることが必要である。プレート選択、展開方法、整復方法、プレート設置、方形回内筋修復、術後後療法について講演された。