10月の合同カンファレンスの報告

2020年10月29日、名古屋大学整形外科合同カンファレンスがWebで開催されました。若手整形外科医による4例の症例提示と大同病院の講演がありました。(文責 加藤大策、竹本元大)


日時:2020年10月29日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 関 泰輔 先生

症例提示

症例1 第5CM関節掌尺側脱臼骨折の一例

名古屋第一赤十字病院 島本 祐哉 先生

非常に稀な第5CM関節掌尺側脱臼骨折の一例を経験し、観血的整復術を用った。術後、整復位は維持され、疼痛はなく、可動域制限や握力低下も日常生活に支障はなく、良好な経過を得た。

 

症例2 殿筋内脱臼股(Crowe type Ⅳ)に大腿骨転子下骨折をきたした症例

久美愛厚生病院 田中 耕平 先生

殿筋内脱臼(Crowe type Ⅳ)に伴う大腿骨転子下骨折に対し、Plateを用いた骨接合術を施行した。術後1年時点で骨癒合は得られ、経過良好である。

 

症例3 脊椎骨折入院後にCOVID-19と診断された一例

名古屋第二赤十字病院 斎藤 祐樹 先生

腰椎圧迫骨折にて入院後に発覚したCOVID-19感染の症例を経験した。トリアージ機能をもつ検温や発熱者外来の設置、予定手術や緊急手術への対応策、病棟のみならず手術室における標準予防策の見直しを行った。県内の感染状況等を踏まえ院内感染対策の改訂を繰り返し行うことが必要である。

 

症例4 アトピー性皮膚炎を背景とした多発化膿性椎間板炎の一例

岡崎市民病院 浅井 寛之 先生

アトピー性皮膚炎の皮膚防御機構の破綻に伴うMSSA血行性感染を強く疑う症例を経験した。アトピー性皮膚炎と化膿性椎間板炎の関連に関する報告は散見されるが,多発化膿性椎間板炎との関連は報告されていない。

 

演題1 小指MP関節掌側脱臼の治療経験

大同病院 能登 公俊 先生

ロードバイクで転倒し受傷した、小指MP関節の掌側脱臼症例を経験した。手術加療を施行し、良好な成績を得ることができた。脱臼の原因は多岐にわたり、術前の関節造影が手術方法等の決定に有用と考えられた。

 

演題2:舟状骨偽関節・遷延癒合に対する関節鏡視下手術

大同病院 篠原 孝明 先生

舟状骨偽関節・遷延癒合に対する関節鏡視下手術について講演された。手技としては、鏡視下骨折部掻把・骨移植・小切開スクリューを施行している。偽関節6例中5例、遷延癒合11例中全例で骨癒合を認めた。手術侵襲が少なく、骨癒合期間の短縮、早期関節可動域訓練などが期待できる。