1月の合同カンファレンスの報告

2022年1月20日、名古屋大学整形外科合同カンファレンスがWebで開催されました。若手整形外科医による3例の症例提示と静岡済生会総合病院から2題の講演がありました。

(文責:紀平大介、佐藤良)


日時:2022年1月20日(木)18:30~

場所:Web開催

司会:名古屋大学 栗本 秀 先生

 

症例提示

症例1 腸骨骨髄炎と腸腰筋膿瘍を合併した化膿性仙腸関節炎の一例

日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院 伊藤 文宙 先生

3週間前から左腰部痛を自覚し症状改善しなかった。CRP 高値で精査したところ仙腸関節に骨びらんを伴い液体貯留、骨髄炎、腸骨筋膿瘍を認め緊急ドレナージ術を施行した。若年女性の仙腸関節部痛と発熱を認めた場合には本疾患が鑑別に挙げられる。

 

症例2 上肢に生じた壊死性筋膜炎5例の治療経験

豊橋市民病院 松野 優司 先生

上肢壊死性筋膜炎5例を経験した。Vibrio vulnificus 感染で上肢切断した1例は髄膜炎で死亡し、1例で高度な運動機能障害が残存したが、3例では患肢温存し運動機能は改善した。LRINEC scoreは迅速な外科的治療の判断に有用な指標となった。

 

症例3 受傷後早期に脂肪塞栓症を合併した大腿骨骨幹部骨折の一例

西尾市民病院 伊藤 里奈 先生

右大腿骨骨幹部骨折受傷後に脂肪塞栓症と診断した症例を経験した。受傷後5日目にプレート固定による骨接合を行い全身状態は改善した。脂肪塞栓自体に対しての根本治療はなく、可及的早期に骨折部の安定化を図ることが推奨されている。

 

演題1 骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)治療の変遷 ~専門外の先生方に向けて~

静岡済生会総合病院  伊藤 英人 先生

OVFに3割に背部痛が残存し、3%が遅発性神経障害を有するため手術適応の検討は重要である。最近は、早期BKPを行う方針で自宅退院率、入院日数の減少、形態的にも楔状化率の改善が期待できる。画像評価で圧壊リスクを評価して手術適応を検討する必要がある。

 

演題2  関節リウマチにおける伸筋腱断裂の治療

静岡済生会総合病院 矢崎 尚哉 先生

関節リウマチの伸筋腱断裂を認めた症例を対象とし、良好な術後成績を報告された。RAにおける伸筋腱断裂の手術方法はEIP腱を併用した腱移行と隣接した腱への腱移行があるがどちらの有用性が高いかはまだ定かではない。断裂した腱本数が多いほど治療成績が低下する。後療法は作業療法士と連携が重要である。