2月の合同カンファレンスの報告

2022年2月17日、名古屋大学整形外科合同カンファレンスがWebで開催されました。若手整形外科医による4例の症例提示とトヨタ記念病院から2題の講演がありました。

(文責:川島至、福井順)


日時:2022年2月17日(木)18:30~

場所:Web開催

司会:名古屋大学 安藤 圭 先生

 

症例1 電撃傷による肩関節脱臼骨折の一例

碧南市民病院 矢野 心平 先生

電撃傷による左肩前方脱臼・大結節骨折・腱板損傷に対し、鏡視下全周性関節唇縫合、開創し大結節骨接合および腱板縫合を行った。電撃傷性肩関節損傷には熱傷による骨軟部組織脆弱性を伴い、受傷後早期の組織整復が必要とされる。本症例でも早期の観血的整復を実施し、良好な短期予後を得た。

 

症例2 頚椎人工椎間板置換術後血腫により気道閉塞を来した一例

中部ろうさい病院 小倉 啓介 先生

頸椎人工椎間板置換術後、術後ドレーン抜去後に血腫による起動閉塞をきたし手術による血腫除去を行った。ドレーン抜去後の血腫の報告はなく、当院では術後定期的に頚周囲径を測定しており早期発見の一助となると考えられる。

 

症例3 脛骨遠位骨端線損傷後に長母趾伸筋の拘縮を発症した一例

名古屋大学 岩瀬 賢哉 先生

脛骨遠位骨端線損傷を認め、受傷後3日目に経皮的鋼線刺入術を施行した。術後足関節底屈位で母趾が伸展し、底屈制限が見られ、MRIより前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋腱の癒着が原因と考えられた。ハイドロリリースとリハビリテーションにより改善を認めた。

 

症例4 当院で経験したMorel-Lavallee病変の7例

津島市民病院 等々力 一徳 先生

Morel-Lavallee病変(以下MLL)は急性期では血腫との鑑別を要する。MLLは外傷に伴い比較的遭遇する疾患であるが、創部感染や皮膚壊死等にて治療に難渋することが多々あるため適切な処置を行う必要があると考える。

 

演題1 足部・足関節の鏡視下手術

トヨタ記念病院 高橋 達也 先生

前方アプローチ手術として、変形性足関節症に対する鏡視下足関節固定術、距骨骨軟骨損傷に対する経内果的骨釘固定術(+逆行性ドリリング)など、脛腓関節損傷に対する鏡視下での評価を行いながらのSuture button固定などを行っている。後方アプローチ手術として後方インピンジメントなどに対して手術を行っているが、脂肪体を傷つけない、PTFLを可及的温存、FHLの腱鞘切開の実施、PIMLに対して必要時滑膜切除の実施などに留意している。

 

演題2 関節鏡視下バンカート修復術-コンタクトスポーツへの対処も含め-

トヨタ記念病院 酒井 忠博 先生

肩関節脱臼の保存治療効果は限定的である。手術では主に関節鏡下Bankart repairを行うが、Rotator Interval Closure 、HAGL Lesion repair、Remplissage法など追加処置もある。Glenoidの骨欠損が多きい場合やコンタクトスポーツ選手は骨移植の考慮も必要。鏡視下Bristow Bankart(ASBB)を行っており現在のところラグビー選手の再脱臼はなく、鏡視下Bankart repairを行うにあたりいろいろな追加手技を習得する必要ある。