4月の合同カンファレンスの報告

2022年4月14日、名古屋大学整形外科合同カンファレンスがWebで開催されました。若手整形外科医による4例の症例提示とあいち小児保健医療総合センターから2題の講演がありました。

(文責:小杉山裕亘、宮入祐一)


日時:2022年4月14日(木)18:30~

場所:Web開催

司会:名古屋大学 三島 健一 先生

 

症例1 骨腫瘍との鑑別を要した足部結核性骨髄炎の2

岡崎市民病院 北出 怜司 先生

画像検査で中足骨や足根骨に広範囲な骨破壊像を認めた2症例を経験した。悪性骨腫瘍を念頭に組織検査と培養検査施行し、組織は慢性骨髄炎の所見だったが培養で結核菌が同定され結核性骨髄炎と診断された。日本は結核蔓延国であり、非典型的な骨破壊像を呈する骨病変の診断に際しては結核性骨髄炎の可能性を考慮に入れる必要がある。

 

症例2 脊椎術中に深部静脈血栓症を発症した一例

刈谷豊田総合病院 大島 和馬 先生

頸椎弓形成術および胸椎椎弓切除術を施行し、術直後に左総腸骨静脈より遠位の静脈血栓を認めた。IVCフィルター留置、抗凝固薬で良好な転帰となった。脊椎手術における抗凝固薬の使用は硬膜外血腫などのリスクを伴うが、本症例では発生しなかった。出血コントロールがついていれば抗血栓薬の投与を検討してもよい。

 

症例3 肘頭骨折に対するTension band wiring法において鋼線の設置位置が臨床成績に与える影響

名古屋大学 金子 怜奈 先生

Tension band and wiring(TBW)法を施行した肘頭骨折のwire positionが臨床成績に与える影響を検討した。肘頭から刺入したwireが遠位前方の対側皮質を貫いている症例をT群、尺骨髄内に留置した症例をI群として検討した結果、I群で有意に偽関節が多かった。Wireのpositionが骨癒合に影響する可能性がある。

 

症例4 インプラント周囲非定型骨折の一例

安城更生病院 桑原 悠太郎 先生

好酸球性肺炎に対してPSL、アレンドロン酸を使用中に転倒しTHA周囲骨折を受傷した症例を経験した。インプラント遠位部での横骨折、外側皮質に肥厚を伴う” Beak sign” を認めた。非定型骨折のため骨接合術後、LIPUSおよびロモソズマブを使用し良好な成績を得た。

 

演題1 年齢別小児健診異常の診かた

北村 暁子 先生

出生時検診により内反足や多合指などの疾患が紹介される多い。3-4ヶ月検診によりDDH、1歳6ヶ月検診では内反膝、歩容異常、歩行開始後のDDHがよく紹介される。また、3歳児検診では外反膝m学校検診では、側弯、こどもロコモ、オーバーユース、神経筋疾患が紹介されることが多く、年齢ごとに検診で指摘されやすい疾患を知っておくことが大切である。

 

演題2 びまん性の疼痛を訴える小児-症例報告-

鬼頭 浩史 先生

小児のびまん性疼痛を主訴に受診された症例についてご講演された。壊血病は易出血性、歯肉出血、下肢痛が特徴で、ビタミンC補充療法によって改善した。里吉病は有痛性筋痙攣、脱毛、下痢が特徴で、小児期発症は成長障害を認める。治療はステロイドやジアゼパムなどの対象療法である。低ホスフォファターゼ症の確定診断はALPL遺伝子診断で、ALP補充療法を行う。一般的には成長痛、関節痛、繊維筋痛症、JIA、SLE、白血病などが鑑別に挙がる。