2023年6月9日 Nagoya Orthopaedics Expert Seminarを開催しました

2023年6月9日Nagoya Orthopaedics Expert SeminarをMIDLAND HALLとWebのハイブリッドで開催しました。

同門の大内田隼先生から「全身アライメントと疼痛、生活動作 ~単純レントゲンからわかること、わからないこと~」として講演がありました。
Cone of economy、全脊椎アライメント、代償などヒトの立位バランスを理解するために重要ないくつかの概念がある。加齢性変化と代償、人種間の差、性差など、さまざまなパラメータが立位バランスに関わっている。骨盤後傾が脊椎アライメントにもっとも影響力を持つ代償機構であるが、下肢アライメント変化も影響を及ぼしている。胸椎、腰椎、腰仙椎と臨床症状との関連。ADLの改善、悪化との関連。レントゲンのアライメントだけではわからないこともまだまだあり、今後の研究課題である。

講師には東北医科薬科大学医学部整形外科学 教授 小澤浩司先生をお招きし、ご講演「外傷性頚部症候群・脳脊髄液減少症と神経障害性疼痛」を賜りました。
第一次交通戦争時代、鞭打ち損傷はマスコミにより加重し社会問題となり、頚椎捻挫、頚部挫傷などの病名への変更がされ、めまい、耳鳴り、嘔気などの多彩な症状のために外傷性頚部症候群と呼ばれるようになった。翌日の方が症状が明らかになりやすいだけでなく、自律神経症状は2週間程度後に発症してくることが多い。様々な説がある。初診に時間をかけて、医療面接・身体診察。積極的に他科にも相談。患者の意識は痛みよりもできること・できないことに目を向けさせるようにし、ゴールは除痛ではなく社会復帰。
脳脊髄液減少症の症状は外傷性頚部症候群の自律神経症状と類似しているが、起立性頭痛を特徴とする。日本では軽微な外傷によって生じるというマスコミの取り上げがあり社会問題となった。このように、外傷性頚部症候群と一部オーバーラップして議論されているので注意。

現地、Webともに沢山の参加者の方にご参加いただき誠にありがとうございました。