2023年9月1日、名古屋整形外科セミナーを開催しました。
同門の刈谷豊田総合病院整形外科 両角正義先生から講演「BKP術後合併症とその後の対処法」がありました。
BKPの適応が改訂される予定となった。原発性骨粗鬆症に限らず、より骨折リスクが高いとも考えられる続発性骨粗鬆症への拡大、早期介入によるBKPの利点がいわれてきており、十分な保存加療後に限らず保存治療でのハイリスク症例への拡大、一回の全麻で3椎体までへの拡大、骨粗鬆性骨折では厳密な所見での後壁骨折は約半数に認めており実情と乖離があったが、後壁の著しい不安定性を認める症例以外への拡大。ただし「予防的BKP」はやめるべき。
BKP後の隣接椎体骨折と対処法。骨密度、後弯、矯正角度、セメントの漏出が隣接椎体骨折のリスクとなる。骨粗鬆症治療を行っても隣接椎体骨折は防ぎにくい。2nd BKPは1st BKPと同様に有効だが、約30%にさらに隣接椎体骨折が発生するため注意する。
講師には琉球大学大学院医学研究科 整形外科学講座 主任教授 西田康太郎先生をお招きし、ご講演「骨粗鬆性椎体骨折患者の疼痛管理と、手術における合併症最小化のための心得」を賜りました。
沖縄県は健康寿命が悪化しており、最も骨粗鬆症が多い県も沖縄である。骨粗鬆性椎体骨折は骨折の連鎖の観点からも重要で、二次骨折は3か月以内がハイリスクである。3椎体以上の椎体骨折は生命予後とも関連しており、BKP等によって死亡率の低減が得られるというデータも出てきている。骨粗鬆性椎体骨折の保存治療は、痛みの範囲内での安静が保たれれば比較的良い。強力な鎮痛を行って動くことはだめである。外科的治療の問題点は骨の脆弱性でさまざまな問題が発生する。入院期間、コスト、3か月以内および2年以内の再手術率などいずれも大きい。4椎間固定がもっとも合併症が発生していたため、middle fusionは避ける。ロッドは我々の印象よりしなる。腰仙椎間の固定は難しい。Ala screwの追加はS1 screw引き抜き強度を増加できる。Fenestrated screwは固定範囲縮小の可能性を持っているかもしれない。近位側の問題も多く、PJKは約半数に発生し、再手術を要する例も多い。骨粗鬆症は全身疾患であり、様々な患者背景、状況を適切に判断して術式を検討する。
現地、Webともに沢山の参加者の方にご参加いただき誠にありがとうございました。