2024年3月14日、Tsurumai Orthopaedics Expert Seminarを開催しました。
名城病院 整形外科・脊椎脊髄センター長 町野正明先生から、ご講演「胸腰椎・腰椎思春期特発性側弯症に対する選択的腰椎固定術の適応と限界」がありました。
特発性脊柱側弯症は成人になり進行する症例があり、思春期に外科的治療を適切に検討し手術をする際にはmotion segmentを残すことが重要。カーブの頂椎が低い症例、側屈X線検査でL4/5tiltが10度以上残る症例や側方辷りのある症例では本術式適応の限界がある。
講師には金沢大学医薬保健研究域医学系 整形外科学 教授 出村諭先生をお招きし、ご講演「脊柱変形・脊椎腫瘍に対する治療と疼痛コントロール」を賜りました。
原発性脊椎腫瘍は頻度は低いがときどき出会う疾患である。脊椎腫瘍と骨粗鬆症性椎体骨折の判断は難しいときもある。脊椎転移は多い。癌治療の著しい進歩によって生命予後は延長しており、従来のスコアリングでは対応が難しくなってきている。TESは良好な局所コントロールが可能だが、放射線治療の既往と、髄液漏や感染といった合併症の関連がある。局所冷凍焼灼などの新たな手法の研究を行っている。
側弯症は健診による早期発見を目指したい。レントゲンでは重金属フィルタを用いると被曝線量を減少できる。CT撮影でも線量を減らす工夫ができるようになってきた。
成人脊柱変形の治療では投薬も重要。広範囲固定ではインストゥルメントの緩みや偽関節は大きな問題で、骨粗鬆症治療もきちんと行うことが重要である。
多数の先生方にご参加いただきましたことに深謝申し上げます。