2024年9月25日 名古屋整形外科セミナーを開催しました

2024年9月25日(水)、名古屋整形外科セミナーを開催しました。

まず、国立長寿医療研究センター 整形外科部 脊椎外科医長 松井寛樹先生から、講演「脊椎変性疾患とサルコペニア」がありました。
サルコペニアは高齢社会にともない注目されているが、脊椎疾患への影響も大きい。腰部脊柱管狭窄症の成績には術後経過における骨格筋減少の有無が影響していた。また、変性辷り症の患者は辷りを認めない患者に比較して骨格筋量が少ない。圧迫性頚髄症でも関与が考えられた。脊椎脊髄疾患のサルコペニアに対するリハビリテーション治療をすすめている。

特別講演講師に北里大学医学部 整形外科学 診療教授 井上玄先生をお招きし、ご講演「脊椎疾患に対する疼痛治療 ~薬物療法から手術まで~」を賜りました。
疼痛は国際疼痛学会で定義されており、近年は痛覚変調性疼痛が注目されている。痛みに関するガイドラインは徐々に増加しているが、例えば脊椎疾患に対する各種鎮痛薬のエビデンスはまちまちであるのが現状。2014年の脊椎脊髄病学会の慢性腰痛に対する研究では、治療の費用対効果はよい。薬物療法の成績を上げる因子は運動習慣である。投薬内容による治療成績の差は見いだしにくい。痛みに対し、歩行運動、日常生活で行う運動が推奨される。手術では側方アプローチ手術の進歩により成人脊柱変形手術のパラダイムシフトがあった。
仙腸関節障害は腰痛の原因になる。本邦でも仙腸関節固定デバイスが検討中。正しい診断が重要である。診断のためのブロックはガイド下で行うべきだが、治療のためのブロックはフリーハンドで行ってよい。今後のエビデンス構築が期待される。

多数の先生方にご参加いただきましたことに深謝申し上げます。