2025年1月22日、名古屋整形外科セミナーを開催しました。
まず、中東遠総合医療センター 整形外科 医長 大島和馬先生から、講演「地域住民におけるびまん性特発性脊椎骨増殖症(DISH)の特徴」がありました。
DISHは1976年に定義された脊椎の強直をきたす病態で、軽微な転倒でも偽関節や脊髄損傷のリスクとなるほか、粗鬆骨であることも問題である。地域住民検診でDISHの特徴を調査した。DISHは高齢、男性、BMI高値が関連し、QOLの低下との関連があったほか、男性ではDISHとロコモの関連も認められた。
特別講演講師に大阪公立大学大学院医学研究科 整形外科学 教授 寺井秀富先生をお招きし、ご講演「脊椎疾患に伴う疼痛と手術治療戦略」を賜りました。
脊椎疾患の治療対象は、痛み、機能、形状である。痛みに着目すると、疾患によっては侵害受容性、神経障害性、痛覚変調性疼痛にまたがっている。骨粗鬆症性椎体骨折では、様々な病態があるためそれぞれに対する手術治療も様々存在する。まずは椎体形成術単独の適応を考え、順に検討する。前方固定は開創器の改良などによって近年手術侵襲が低減した。Revisionにimpaction bone graftingを応用する工夫も行っている。頚椎症性神経根症は典型的な神経障害性疼痛で、投薬はガイドラインを参考に行う。頚椎は腰椎と異なって椎間孔部に黄色靱帯が存在せず、手術時は注意が必要である。腰部脊柱管狭窄症では、静的圧迫×動的圧迫+炎症の結果が神経障害となると考えるとわかりやすく、静的圧迫または動的圧迫ゼロを目指す。BESS/UBEは視野がよく、また椎間関節温存に優れ、良好な成績が得られる。疼痛の原因を知って、必要最小限の手術を行うことが重要である。
多数の先生方にご参加いただきましたことに深謝申し上げます。