プレスリリース:「可溶型Siglec-9は、M1マクロファージ活性抑制を介してマウスコラーゲン誘発性関節炎を抑制する」を配信

名古屋大学医学部附属病院(病院長・石黒直樹)整形外科・高橋伸典(たかはしのぶのり)病院講師、松本拓也(まつもとたくや)医員は、同大学大学院医学系研究科(研究科長・髙橋雅英)咀嚼障害制御学・山本朗仁(やまもとあきひと)准教授、同大学環境医学研究所・澤田誠(さわだまこと)教授、中部大学生命健康学部・古川鋼一(ふるかわこういち)教授等との共同研究により、関節リウマチの動物モデルに対して可溶型Siglec-9というシアル酸認識蛋白を投与することにより、関節炎の発症を予防し、関節炎の重症度を軽減させることが出来ることを明らかにしました。

関節リウマチ(RA)は羅患率が1%に及ぶ自己免疫疾患であり、慢性的な破壊性関節炎や多臓器へ障害を起こすことが知られています。RAの薬物治療は近年飛躍的に進歩していますが、それでもなお既存薬への多剤無効症例が存在することから、新規作用機序のRA治療薬を開発することは極めて重要です。既存薬と異なる新しい作用機序をもつRA治療薬探索の一環として、RAの動物モデルであるコラーゲン誘発性関節炎(CIA)マウスに対し可溶型Siglec-9を投与したところ、関節炎の発症率や関節炎スコアを著明に抑制し、血液中の炎症性サイトカインTNFαの濃度を抑制しました。また、薬物動態の確認のための生体イメージング実験により、可溶型Siglec-9は関節炎部位へ強く集積することがわかりました。作用機序を細胞モデルで検証したところ、炎症型マクロファージによるサイトカイン(TNFα、IL-6など)の産生が、可溶型Siglec-9により抑制されることが分かりました。

この発見は、可溶型Siglec-9が既存のRA治療薬とはまったく異なるメカニズムのRA治療薬となる可能性を示唆するものです。今後は、臨床応用のため安全性の確認や、他のRA治療薬との併用効果の検証など更なる研究を行っていく予定です。

本研究成果は、英国科学誌「Arthritis Research & Therapy」(2016年6月7日の電子版)に掲載されました。

※こちらもご覧ください。
「名大整形トピックス:研究成果」-「可溶型Siglec-9は、M1マクロファージ活性抑制を介してマウスコラーゲン誘発性関節炎を抑制する。」