2023年9月6日 Tsurumai Orthopaedics Expert Seminarを開催しました

2023年9月6日、Tsurumai Orthopaedics Expert Seminarを開催しました。

名古屋大学整形外科小澤悠人先生から『変形性股関節症における骨盤側方傾斜』についてのご講演をいただきました。人工股関節全置換術前後での骨盤側方傾斜についてご自身の研究を含めお話いただきました。

大分大学整形外科加来信広先生から『高齢者関節痛へのアプローチ』としてお話をいただきました。円靭帯の微細解剖から、高齢者の人工関節術後の詳細な成績まで幅広くお話を賜ることができました。

現地、Webともに沢山の参加者の方にご参加いただき誠にありがとうございました。

2023年9月1日 名古屋整形外科セミナーを開催しました

2023年9月1日、名古屋整形外科セミナーを開催しました。

同門の刈谷豊田総合病院整形外科 両角正義先生から講演「BKP術後合併症とその後の対処法」がありました。
BKPの適応が改訂される予定となった。原発性骨粗鬆症に限らず、より骨折リスクが高いとも考えられる続発性骨粗鬆症への拡大、早期介入によるBKPの利点がいわれてきており、十分な保存加療後に限らず保存治療でのハイリスク症例への拡大、一回の全麻で3椎体までへの拡大、骨粗鬆性骨折では厳密な所見での後壁骨折は約半数に認めており実情と乖離があったが、後壁の著しい不安定性を認める症例以外への拡大。ただし「予防的BKP」はやめるべき。
BKP後の隣接椎体骨折と対処法。骨密度、後弯、矯正角度、セメントの漏出が隣接椎体骨折のリスクとなる。骨粗鬆症治療を行っても隣接椎体骨折は防ぎにくい。2nd BKPは1st BKPと同様に有効だが、約30%にさらに隣接椎体骨折が発生するため注意する。

講師には琉球大学大学院医学研究科 整形外科学講座 主任教授 西田康太郎先生をお招きし、ご講演「骨粗鬆性椎体骨折患者の疼痛管理と、手術における合併症最小化のための心得」を賜りました。
沖縄県は健康寿命が悪化しており、最も骨粗鬆症が多い県も沖縄である。骨粗鬆性椎体骨折は骨折の連鎖の観点からも重要で、二次骨折は3か月以内がハイリスクである。3椎体以上の椎体骨折は生命予後とも関連しており、BKP等によって死亡率の低減が得られるというデータも出てきている。骨粗鬆性椎体骨折の保存治療は、痛みの範囲内での安静が保たれれば比較的良い。強力な鎮痛を行って動くことはだめである。外科的治療の問題点は骨の脆弱性でさまざまな問題が発生する。入院期間、コスト、3か月以内および2年以内の再手術率などいずれも大きい。4椎間固定がもっとも合併症が発生していたため、middle fusionは避ける。ロッドは我々の印象よりしなる。腰仙椎間の固定は難しい。Ala screwの追加はS1 screw引き抜き強度を増加できる。Fenestrated screwは固定範囲縮小の可能性を持っているかもしれない。近位側の問題も多く、PJKは約半数に発生し、再手術を要する例も多い。骨粗鬆症は全身疾患であり、様々な患者背景、状況を適切に判断して術式を検討する。

現地、Webともに沢山の参加者の方にご参加いただき誠にありがとうございました。

2023年8月31日 疼痛セミナーNagoyaを開催しました

2023年8月31日、疼痛セミナーNagoyaを開催しました。

同門の中島宏彰先生から講演「脊椎脊髄由来の痛みとその対策」がありました。
形態と痛み:画像所見と痛み症状は一致しないことも多い。痛みの評価に見た目は影響するのか? 相手の性質によって、痛みの共感が起こるかどうかは影響を受ける。胸椎靱帯骨化症の痛みの改善:術後の痛みやしびれに関する研究は少ない。治療満足度と最も相関するのは治療後の痛みやしびれであった。薬物治療の表と裏:ガイドラインをみると、例えばガバペンチンに対する評価は日本とフランスでは異なる。神経障害性疼痛に対する治療は発展途上である。

講師には浜松医科大学 整形外科学講座 教授 松山幸弘先生をお招きし、ご講演「整形外科における慢性疼痛を再考する」を賜りました。
慢性疼痛は主に運動器の痛みが多く、最多は腰痛である。必ずしも多くが整形外科を受診するわけではないことに注意が必要。また、脊椎脊髄領域における神経障害性疼痛の有病率は53.3%で、頚椎(頚椎症性神経根症)が最多だった。疼痛の分類からみた主な治療薬では、急性疼痛はNSAIDsがよい。急性期以降は症状、時間軸などを検討する。オピオイドは便秘などの頑固な副作用があり、時間経過後にもNSAIDsの利点がある。慢性疼痛では抑制系の作用が減弱する中枢性感作に注意。一般住民ではCSI 40点以上は1.6%であったが、総合病院初診の慢性疼痛患者では13%と大きく異なっていた。また、慢性疼痛は治療ゴールの設定が重要。痛みをゼロにすることをゴールにせず、患者と一緒に治療ゴールを探す。

現地、Webともに沢山の参加者の方にご参加いただき誠にありがとうございました。

2023年8月30日 Nagoya Orthopaedics Expert Seminarを開催しました

2023年8月30日にNagoya Orthopaedics Expert Seminarを名古屋マリオットアソシアホテルでWebとのハイブリッド形式で開催しました。

当院の小池宏先生から「骨軟部腫瘍に対する画像による良悪性評価の取り組み」について講演がありました。主にMRIにおけるADC画像の評価、判断について有用なレクチャーをしていただきました。

講師には帝京大学医学部 整形外科学講座 主任教授 河野博隆先生をお招きし、「がんロコモと神経障害性疼痛 ーOnco-orthopaedicsという新たな領域」と題してご講演を賜りました。転移性骨腫瘍患者さんにとって運動器診療がいかに重要で整形外科医の果たす役割が大きいことを文献的考察と多くの経験を交えて、幅広くご教授頂きました。

Webと現地ともに沢山の方にご参加頂き誠に有難うございました。

2023年8月29日 鶴舞整形外科エキスパートセミナーを開催しました

2023年8月29日、鶴舞整形外科エキスパートセミナーを開催しました。

同門の富田浩之先生から講演「脊椎手術支援ロボットMazorX(R)の使用経験」がありました。
脊椎手術の画像支援器機は、術前画像から術中画像を用いたナビゲーションシステムへ進化し、ロボットはその次の第5世代と呼ばれる。日本では3機種が使用可能。特有の問題点はskiving、ボーンマウントの問題などに注意が必要。ドリルの改良などによって精度は向上。特徴と優位性を理解し、脊椎手術治療の質的向上に努める。

講師には岩手医科大学医学部 整形外科学講座 教授 土井田稔先生をお招きし、ご講演「病態から考える腰部脊柱管狭窄症の治療戦略-薬物療法から手術まで-」を賜りました。
腰部脊柱管狭窄症は有病率約10%のcommon diseaseである。間欠性跛行の客観的評価のため加速度センサーによる歩行解析:術後、歩行による体幹のブレは減少し、JOAスコア改善率やODIとの相関がある。なぜ黄色靱帯は肥厚するのか?:動物実験でもメカニカルストレスの関与あり。肥厚した黄色靱帯には炎症細胞も認められ、TGF-βやコラーゲン産生増加が関連している可能性。薬物療法:腰部脊柱管狭窄症、慢性疼痛についてガイドラインが発刊されており、エビデンスを参考に様々の治療を検討する。手術療法:除圧と固定。低侵襲手術はガイドラインでも比較的推奨されている。除圧か固定かの議論は、病態を考慮して適応決定するのがよい。長範囲固定ではアライメント評価も重要。

現地、Webともに沢山の参加者の方にご参加いただき誠にありがとうございました。

2023年8月22日 Tsurumai Orthopaedics Expert Seminarを開催しました

2023年8月22日、Tsurumai Orthopaedics Expert Seminarを開催しました。

同門の大石遼太郎先生から講演「地域住民検診から考えるフレイル対策」がありました。
フレイルは整形外科領域のあらゆる部位の手術アウトカムに負の影響を及ぼすことが明らかとなっており、整形外科医が認識しておくべき状態である。フレイルの介入には多因子運動プログラムによる運動介入が有効であるが、その具体的な介入内容については一定の見解がなくさらなる研究が必要である。

講師には国際医療福祉大学医学部整形外科学 教授 八木満先生をお招きし、ご講演「国際的な医療福祉における脊椎疾患の疾病負担の現状~疼痛や障害を有する患者に対する診断と治療のイノベーションに向けて~」を賜りました。
日本は超高齢社会をリードし、長期間の介護を要する人口が増大している。世界の疾病負担の解析では、障害調整生存年の観点から、運動器疾患は障害共存年数の主な原因となっている。ガーナ共和国での医療経験。AI補助による診断:腰部脊柱管狭窄症に対する除圧術後の治療成績や、成人脊柱変形に対する術後合併症リスクをAIで予測。正確な診断のためのイメージング手法:Time-SLIP MRIによる脳脊髄液の解析や、立位CTなど。脊椎固定術後のインプラント関連合併症の予測と予防における全身有限要素モデルを用いた解析。リアルハプティクス技術を手術機械に搭載し、さらなるロボティクスの発展を目指す研究など。

現地、Webともに沢山の参加者の方にご参加いただき誠にありがとうございました。

2023年7月 合同カンファレンス報告

2023年7月20日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。
名古屋大学の伊藤定之先生の司会により、専攻医による4例の症例提示と東京新宿メディカルセンターよりご講演がありました。

合同カンファレンス記録 (文責:斉藤祐樹、杉本遼介)
日時:2023年7月20日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 伊藤定之 先生

症例1 大腿骨転子部骨折術中の整復操作により大腿外側回旋動脈枝損傷した一例

中部労災病院 若山貴洋 先生

症例2 若年アスリートの鎖骨骨幹部骨折に対してアナトミカルロッキングプレートによる骨接合術を施行し癒合後早期に競技復帰した5例

トヨタ記念病院 武内優子 先生

症例3  スリット入り人口神経で治療した部分神経損傷の3例

名古屋掖済会病院 高見英巨 先生

症例4上腕骨遠位端骨折に対するdouble-plating固定法の臨床成績の比較-他施設共同研究(TRON Study)-

中京病院 整形外科 横山弘樹先生

演題1 My Life and Clinical Practice in Kagurazaka

東京新宿メディカルセンター 土谷早穂 先生

演題2 Rotator Cuff Tears: Who Should We Operate On?

東京新宿メディカルセンター 土谷早穂 先生

演題3 大腿骨頸部骨折に対する人工股関節置換術(THA)

東京新宿メディカルセンター 小松大悟先生

2023年7月6日 名古屋整形外科セミナーを開催しました

2023年7月6日、鶴舞整形外科エキスパートセミナーを開催しました。

同門の山内一平先生から講演「腰仙椎部に注目した特発性側弯症」がありました。
特発性側彎症の自然史として、背部痛や、死亡率の上昇など長期的にいくつかの問題があると考えられている。手術治療の長期成績にもいくつかの制限がある。側弯と仙骨の関係。仙骨はバリエーションが豊富。AIS患者はS1椎体そのものの楔状化がみられる。また、腰仙椎移行椎LSTVが存在すると、Lenke type 5Cの患者は術後L4 tiltが残存しやすい。

講師には富山大学医学部整形外科 教授 川口善治先生をお招きし、ご講演「脊柱靭帯骨化症の病態・治療と神経障害性疼痛マネジメント」を賜りました。
靱帯骨化症の病因は? 適切な治療は? OPLLガイドラインは主にbackground questionから構成されており、まだエビデンスが不足している。GWAS研究からは6つの遺伝子が同定された。バイオマーカーの研究では高感度CRP、Pi、FGF23、Periostinなど。DISHは臨床的問題が大きいが、理解は進んでいない。DISH連結がフラットな症例では高感度CRPが高く、炎症を示唆している。頚椎椎弓形成術の長期成績は、OPLLの伸展の影響を受ける。前方からの圧迫は前方除圧固定。後方固定によるアライメント矯正が前方圧迫を解除できることもある。3Dプリントモデルを使用した頚椎へのスクリュー挿入などにより、安全性の向上を図る。研究の姿勢として、新規性の追求と愚直なる継続。

現地、Webともに沢山の参加者の方にご参加いただき誠にありがとうございました。

2023年6月27日 鶴舞整形外科エキスパートセミナーを開催しました

2023年6月27日、鶴舞整形外科エキスパートセミナーをMIDLAND HALLとWebのハイブリッドで開催しました。

同門の大田恭太郎先生から「様々な変性後側弯症症例に対する当院での手術strategy」として、変性後側弯症のさまざまな症例に対する手術治療について実例を挙げながら、アライメントなどについて基本的な事柄や応用例、ピットフォールについての講演がありました。

講師には和歌山県立医科大学整形外科学講座 教授 山田宏先生をお招きし、ご講演「脊椎脊髄疾患の治療選択と神経障害性疼痛管理 成人脊柱変形手術後に生じる隣接関節障害(Adjacent Joint Disease: AJD)-新たな疾患概念の提唱-」を賜りました。
腰曲がりに対する長範囲固定はたいへん喜ばれる手術であるが、立位、歩行に適した姿勢を作る一方で座位や臥位に対しては不利な点があり、潜在的な問題をもっている。腰仙椎の固定によって、隣接関節である仙腸関節、股関節は影響を受け、負担が増加する。近年汎用されているS2AIスクリューは強固な固定力を持つ反面、変形性股関節症の発症や悪化はS2AIスクリューにゆるみを認めた症例の方が少なかった。術後の仙腸関節痛は夜間痛が特徴で、ブロックが有効。リハビリテーション部門との協力も重要で、術前リハビリテーションの力が大きい。合併症低減、入院期間短縮などの効果がみられてきている。

現地、Webともに沢山の参加者の方にご参加いただき誠にありがとうございました。