2026年2月 合同カンファレンス報告

2026年2月19日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。名古屋大学の杉浦洋貴先生の司会により、専攻医による5例の症例提示と中京病院よりご講演がありました。

合同カンファレンス記録 (文責:清水景太・山田陽太郎)
日時:2026年月2月19日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 杉浦洋貴 先生

変形性股関節症を有する72歳女性に非定型大腿骨転子下骨折および骨幹部骨折を同時に発症した一例

中部労災病院 髙翔一朗 先生

症例は72歳女性で右発育性股関節形成不全由来の右変形性股関節症(股OA)、骨粗鬆症の既往歴があり6年程度アレンドロン酸の内服歴があった。絨毯で足を滑らせての単純転倒にて床に右大腿を打撲した。初診時の身体所見では右大腿の腫脹変形および自発痛・圧痛を認め、右股関節は内転位拘縮があり、右膝関節以遠に運動障害や感覚障害は認めなかった。

Dual Mobility Cupを用いた人工股関節全置換術後の脱臼について

中東遠総合医療センター 渥美元英 先生

Dual Mobility Cup(DMC)は脱臼抵抗性に優れるが、特有の合併症としてインナーヘッドが脱転するIntraprosthetic dislocation(IPD)がある。今回、DMCを用いたTHA後にIPDを来した2例を経験したため、その管理と注意点について報告する。

脛骨骨折骨接合に対する腰椎麻酔後に心停止となった1例

江南厚生病院 高山真央 先生

腰椎麻酔は一般的によく使用される麻酔方法である。その合併症は多様であるが、心停止に至ることもありその頻度は約45000例に1例との報告もある。今回我々は脛骨骨折骨接合に対して、腰椎麻酔施行後に心停止となった1例を報告する。

Van Neck–Odelberg病の3例

浜松医療センター 足立篤哉 先生

Van Neck–Odelberg病は小児の坐骨恥骨結合にみられる発育過程に伴う変化であり、股関節痛や跛行を契機に発見されることがある。その際、疲労骨折や感染、腫瘍などが鑑別となることがある。今回、当院で経験した3例を報告する。

大腿回旋動脈からの出血により術中IVRを要したTHAの1例

安城更生病院 伊藤大貴 先生

血管損傷は人工股関節全置換術(THA)における稀な合併症である。今回、後方アプローチTHAの術中に外側大腿回旋動脈損傷による大量出血を来たし、術中IVR(Interventional Radiology)により止血し得た1例を報告する。

講演1 Diabetic hand syndromeの治療・管理について

中京病院 浅野研一 先生

Diabetic hand syndrome(糖尿病手症候群)では、ばね指、手根管症候群、デュプイトラン拘縮を発症しやすいことが報告されている。Limited joint mobilityという概念があり、Prayer sign(祈り手サイン)などが特徴的である。

講演2 女医のトリセツ〜各種報告と私見から

中京病院 馬淵まりえ 先生

全国の女性医師の比率は24.4%である一方、中京病院は31.7%である。診療科でいうと循環器内科・外科以外の内科は女性医師がいる。整形外科は8人中3人である。初期研修医でも女性が増えている。来年度の初期研修医は13人中8人が女性で、女性研修医の進路として外科系が増えている。

2026年2月24日 名古屋整形外科セミナーを開催しました

2月24日、ミッドランドスクエアにおいて名古屋整形外科セミナーを開催いたしました。

まず国立長寿医療研究センター 整形外科 魚見航平先生から、講演「神経障害性疼痛とサルコペニア」がありました。

講師には、岩手医科大学医学部整形外科学講座教授の角谷 賢一朗先生 をお招きし、「脊椎転移の集学的治療~神経障害性疼痛治療薬の活用~」と題してご講演いただきました。角谷先生には、転移性脊椎腫瘍に対する豊富な手術症例に基づくエビデンスや神経障害性疼痛への向き合い方についてご講演いただき、多くの知見を得ることができました。当日は多数の先生方にご参加いただき、誠にありがとうございました。

2026年2月17日 Nagoya Orthopaedics Expert Seminarを開催しました

2月17日、Nagoya Orthopaedics Expert Seminarを開催しました。

まず、豊田厚生病院 整形外科に研修でいらしている笹尾 真司先生から、「外傷脊椎手術における『最適解』を探る」をご講演いただきました。
信州大学医学部附属病院は長野県唯一の高度救命救急センター。ウインタースポーツによる脊椎脊髄損傷は多い。頚髄損傷は二次障害を防ぐ必要がある。患者ごとの背景を病態に応じて最適解を考える。

講師には、秋田大学 保健学専攻理学療法学講座 教授 本郷道生先生をお招きし、「脊柱変形の保存療法(背筋力の重要性) ~痛みと変形の改善を目指して~」と題してご講演いただきました。高齢者脊柱変形の保存療法は重要。手術は変形や疼痛の改善に有効ではあるが、合併症の危険性は依然高く、固定術に伴うADL障害もある。保存治療は介入の定量的定義がないことが課題。脊柱後弯は背筋運動により改善しうることがわかったため、背筋力強化が保存治療の中心となりうる。また、骨密度は変化しないが、椎体骨折を低減できる可能性がある。活動性が低い高齢者への介入をどうするかが今後の課題として残る。

多数の先生方にご参加いただき、誠にありがとうございました。

2026年2月3日 Nagoya Orthopaedics Expert Seminarを開催しました

2月3日、Nagoya Orthopaedics Expert Seminarを開催しました。
一般講演では、刈谷豊田総合病院 手外科・四肢外傷外科 部長の夏目唯弘先生をお招きし、「手外科医が担う関節リウマチ診療:診断から薬物治療・手術まで」と題して、リウマチおよび手外科の専門医としての視点から、的確な診断と薬物治療の面白さ、ならびに適切な外科的介入の重要性についてご講演いただきました。
また特別講演では、京都府立医科大学大学院医学研究科 運動器機能再生外科学(整形外科学教室)准教授の小田 良先生をお招きし、「リウマチ整形外科医による変形と神経障害性疼痛のマネージメント」と題してご講演を賜りました。
基礎研究については、人工神経導管を用いた末梢神経欠損モデルにおいて、再生軸索や筋萎縮抑制を指標とした治療効果の検証から、Diffusion Tensor Imaging(DTI)を用いた評価、さらには細胞が有するサーカディアンリズムに関する知見に至るまで、幅広い研究領域にわたる示唆をいただきました。
臨床面では、関節リウマチ手の変形に関するコホート研究をはじめ、変形と機能障害の進行機序や術式選択の考え方について詳説いただきました。特に、Type I母指変形の機能をTerrono分類で横断的に評価し、尺側偏位に対する新しい関節温存術の治療成績を提示いただいた点は大変示唆に富み、非常に勉強になりました。

2026年1月30日 鶴舞整形外科エキスパートセミナーを開催しました

1月30日、ミッドランドホールにおいて鶴舞整形外科エキスパートセミナーを開催いたしました。

まず犬山中央病院 整形外科 佐藤有真先生から、パーキンソン病を持つ患者へのBKP、BKP後の椎体同士に挟まれたサンドイッチ椎体などやや特殊な症例に対するBKPの経験などについて、講演「BKP high-volume centerで学んだこと」がありました。

講師には、和歌山県立医科大学 整形外科学講座 准教授 岩崎博先生をお招きし、「脊椎エコーのすべて 第Zero版 ~神経障害性疼痛治療に使ってみませんか~」と題してご講演いただきました。エコーは腰臀部痛、頚部神経根症の診断や治療に非常に有用なツールである。ただし、問診と身体所見による症候学が大切。仙腸関節障害の診断・治療、脊椎疾患に関連する股関節症状の診断、外側障害の治療などさまざまに活用できる。頚椎ではC7は前結節を欠くことに注意して高位を同定。エコーがあれば診察室ですぐにひどい痛みの治療が可能であるほか、高位診断を確定できる。「脊椎エコーのすべて」必携。

多数の先生方にご参加いただき、誠にありがとうございました。

2026年1月29日 名古屋整形外科セミナーを開催しました

1月29日、中日ビルにおいて名古屋整形外科セミナーを開催いたしました。

まず安城更生病院 整形外科 伊藤大貴先生から、講演「胸椎-骨盤固定における上位固定端ごとの合併症率の検討」がありました。

講師には、京都府立医科大学大学院医学研究科 運動器機能再生外科学(整形外科学教室) 准教授の長江将輝先生をお招きし、「低侵襲脊椎手術から見えてきた神経障害性疼痛の知見」と題してご講演いただきました。長江先生には、豊富な手術経験に基づく低侵襲手術の長期成績や、神経障害性疼痛への向き合い方についてご講演いただき、多くの知見を得ることができました。多数の先生方にご参加いただき、誠にありがとうございました。

2026年1月 合同カンファレンス報告

2026年1月15日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。名古屋大学の佐伯岳紀人先生の司会により、専攻医による3例の症例提示と中日病院よりご講演がありました。

合同カンファレンス記録 (文責:長谷康弘・柘植峻)
日時:2026年月1月15日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 佐伯岳紀 先生

人工関節周囲非定型骨折の1例

豊橋市民病院 北澤秀平 先生
大腿骨非定型骨折(AFF)の骨折形態を伴う人工関節周囲骨折(PFF)である人工関節周囲非定型骨折(APFF)は治療が困難であるが報告が少ない。今回我々はAPFFと診断した1例を経験した。

肩甲骨骨折にて骨接合を要した一例

長野赤十字病院 稲垣智也 先生
症例は36歳、男性。歩行中、後方より時速50 kmで走行中の軽トラックに衝突され受傷した。単純X線およびCTにて右肩甲骨骨折を認めた。

大腿骨転子部骨折術後破綻例に対して横どめスクリュー機構をもつセメントレスステムで加療した一例

JA愛知厚生連渥美病院 下田敦宏 先生
症例は69歳女性、転倒して右股関節痛を自覚、前医に搬送された。併存症は両側変形性膝関節症、糖尿病、心房細動であった。右大腿骨転子部骨折と診断され、受傷後3日に骨接合術(Synthes TFNA)が施行された。

講演1 当院における舟状骨偽関節手術の骨癒合率ー手術的加療にて骨癒合が得られなかった場合のサルベージ手術についてもー

中日病院 西塚隆伸 先生

舟状骨偽関節とSNAC wristについて。舟状骨の血流は乏しく、遠位からの逆行性流入となる。腰部骨折が65%と最も多く、治療は安定型であれば6週のギプス固定が原則だが、早期社会復帰希望される場合や不安定型は手術適応となる。受傷後に見逃されている場合や保存で癒合が見られない場合は偽関節のリスクやhumpback変形、DISI変形など手関節全体の問題となる。

講演2  プロアスリートの中手骨骨幹部骨折の競技特性―BPS modelを踏まえた治療、復帰過程―

中日病院 中尾悦宏 先生

スポーツ外傷では競技の特徴や競技特性を理解した上で判断する必要がある。さらに、選手のレベルや置かれている環境、主力か控えか、復帰期限、契約、チーム事情といった背景が治療目標を大きく左右する。したがって、スポーツ医療では多角的視点が必須となる。このような状況で重要となる概念がBPSモデルである。BPSモデルとはBio・Psycho・Socialを包括的に考える枠組みである。

2025年12月3日 名古屋整形外科セミナーを開催しました

12月3日、ミッドランドホールにおいて名古屋整形外科セミナーを開催いたしました。

講師には、自治医科大学附属さいたま医療センター整形外科教授の秋山達先生をお招きし、「がんロコモにおける神経障害性疼痛診療の重要性 ―腫瘍整形外科学的集学的マネージメントの観点から―」と題してご講演いただきました。

秋山先生には、豊富な手術経験に基づく骨盤手術の実際や、神経障害性疼痛への向き合い方についてご講演いただき、多くの知見を得ることができました。当日は多数の先生方にご参加いただき、誠にありがとうございました。

2025年12月 合同カンファレンス報告

2025年12月11日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。
名古屋大学の鈴木望人先生の司会により、専攻医による4例の症例提示と中東遠総合医療センターよりご講演がありました。

合同カンファレンス記録 (文責:松浦唯・舘寛人)
日時:2025年月12月11日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 鈴木望人 先生

急性感染性電撃性紫斑病による四肢末梢壊死に対して再建術を施行した1例

日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 早稲倉崚真 先生

急性感染性電撃性紫斑病(AIPF)は急速に進行する播種性血管内凝固と多臓器不全を特徴とし、致死率が極めて高い病態である。敗血症コントロールと抗凝固療法が治療の主体。本症例は、前胸部壊死性筋膜炎とG群溶連菌による劇症型菌血症から敗血症性ショックを呈し、AIPFに伴う対称性四肢壊死(SPG)を発症した71歳男性である。

足関節インプラント周囲骨折に対して順行性髄内釘を用いて距腿関節固定を実施した1例

日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 坂田裕 先生

本症例は、SOTOS症候群を基礎疾患にもつ22歳男性であり、外傷エピソードなく右足関節の腫脹を自覚して当院を受診した。初診時のX線では脛骨遠位部骨折(AO分類43-A)および腓骨骨折を認め、明らかな外傷歴がない点から、基礎疾患に伴う骨質不良やCharcot関節様変化の関与が示唆された。

手術加療を要した腓骨骨幹部偽関節の一例

久美愛厚生病院 永金宗臣 先生

腓骨骨幹部骨折は脛骨骨折に合併して生じることが多く、単独での骨折は比較的稀である。また安定性が得られやすく、保存療法にて治癒することが多い。今回、手術を行った腓骨偽関節の一例を経験したので報告する。症例は64歳男性。スキーで転倒し受傷、近医にて左腓骨骨幹部骨折と診断され保存的に加療された。

高度不安定性を伴う脛骨高原骨折に対して予防的CLAPを併用し段階的内固定を行った一例

名古屋医療センター 武藤聡志 先生

本症例は、7mの高さの木から転落した48歳男性であり、搬送時より右膝周囲に高度な腫脹と変形を認めた。既往に特記すべき事項はなかった。X線・CT により、Schatzker VI 型、AO 41C3.3 に分類される高エネルギー外傷に伴う脛骨高原骨折と診断された。

講演1 感染性偽関節の再建はじめました

中東遠総合医療センター 仲野隆彦 先生

2025年7月から当院の「手外科センター」は「手外科・外傷再建センター」として再編される。従来の手外科に加え、重度四肢外傷や骨盤・寛骨臼骨折など高度外傷に対応する体制を強化するためである。重度外傷再建はこの数十年で大きく進歩し、1986年の Godina による早期デブリドマンと72時間以内の軟部再建、2000年の Gopal の “Fix & Flap” が基盤となってきた。本講義では、感染性偽関節の概念、診断基準、治療原則、再建方法を症例とともに解説する。

講演2 思ったよりも役に立つ ガラパゴス的手指外傷治療

中東遠総合医療センター 石井久雄 先生

今回は私が行っている指尖部切断に対する graft-on-flap 法に焦点を当てる。年齢分布を見ると、小児例が中心で、基節骨骨折は10歳以降に多く、中節骨骨折はより低年齢にもみられる。年齢による損傷形態の違いは治療選択に影響する。graft-on-flap 法は松井らが1995年に原法を報告し、平瀬らが2003年に命名した。再接着が困難な症例、特に爪床損傷を伴う指尖部外傷に対する再建法として定着した。かつては断端形成を主体とし、掌側V-Y皮弁も併用していたが、oblique triangular flap を用いることで整容性と長さの回復が改善し、再建の幅が広がった。