2026年4月 合同カンファレンス報告

2026年4月9日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。名古屋大学の大内田隼先生の司会により、専攻医による4例の症例提示と名古屋記念病院よりご講演がありました。

合同カンファレンス記録 (文責:斎藤雄馬・鏡味佑志朗)
日時:2026年月4月9日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 大内田隼 先生

脛骨コンポーネント沈下を契機に診断された人工膝関節周囲感染の一例

中京病院 嘉本邦生 先生

人工膝関節周囲感染(PJI)は人工膝関節再置換の主要な原因の一つであり、無菌性ゆるみとの鑑別がしばしば困難である。今回、脛骨コンポーネント沈下を契機に診断されたPJIの一例を経験したので報告する。76歳女性。2021年に右変形性膝関節症に対しTKAを施行した。2023年頃より右膝痛を自覚し、2025年に疼痛増悪を認めた。

踵骨アキレス腱付着部剥離骨折の治療経験

公立東濃中部医療センター 青木拓巳 先生

踵骨アキレス腱付着部剥離骨折は、骨片による軟部組織損傷やアキレス腱の牽引力による再転位のリスクが高く、再手術を要することも多い骨折である。当院では2020年から2025年の間に5件の手術症例を経験し、そのうち3症例で再手術を要した。そのうち過去の症例の反省点を活かして治療を計画し、良好な経過を得た症例を供覧する。

メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌と真菌による手指蜂窩織炎から毒素ショック症候群に至った一例

名古屋大学医学部附属病院 井上裕太 先生

症例は34歳女性。アトピー素因あり。右環指亀裂性湿疹に対して近医でステロイド含有軟膏が使用されたが腫脹や疼痛が増悪し、膿疱形成されたため当院紹介となった。蜂窩織炎と診断し、創部培養検査を行って抗生剤点滴治療を開始した。

ビスホスホネート製剤を投与中に発生した両側尺骨骨折の一例

浜松医療センター 佐藤圭太朗 先生

本症例は92歳女性。骨粗鬆症に対して長期にわたりビスホスホネート製剤を内服していた。軽微な外傷を契機に右尺骨骨幹部骨折を発症し、観血的整復内固定術を施行した。右側骨折は斜骨折を呈し、外傷性骨折として矛盾しない所見であり、術後は良好な骨癒合を得た。その2年後、明らかな外傷機転なく左尺骨骨幹部骨折を生じた。

講演1 軟骨肉腫の臨床像と治療

名古屋記念病院 小澤英史 先生

軟骨肉腫は骨原発性肉腫の20-30%で稀な疾患であり、四肢の発生が47%と言われている。通常型軟骨肉腫は、中心性(一次性、内軟骨腫からの二次性)、骨軟骨腫からの二次性、骨膜性軟骨肉腫に分類される。

講演2 病的骨折をきたした脛骨線維性異形成の検討

名古屋記念病院 正木咲綾 先生

OFD(骨線維性異形成)は小児期の脛骨や腓骨の皮質に後発する良性腫瘍であるが、病的骨折や変形をきたす症例では手術加療が必要になる。今回OFDによる病的骨折で手術加療を要した症例を報告する。

2026年4月10日 鶴舞整形外科エキスパートセミナーを開催しました

4月10日、中日ビルにおいて鶴舞整形外科エキスパートセミナーを開催いたしました。

まず江南厚生病院 整形外科 高山真央先生から、講演「当院における脊椎手術後感染例の検討」がありました。

講師には、福井大学医学部 器官制御医学講座整形外科学 教授 中嶋秀明先生をお招きし、「脊椎脊髄外科外来を嫌いにならないためにー痛みとしびれで詰まらない保存療法の実践ー」と題してご講演いただきました。中嶋先生には、ヘルニコアの使用方法から、脊椎疾患おける疼痛に対する薬剤選択、使用方法ついてご講演いただき、多くの知見を得ることができました。

多数の先生方にご参加いただき、誠にありがとうございました。

受賞おめでとうございます

斎藤雄馬先生 関節リウマチ患者におけるサルコペニア肥満の特徴―Fairy Study―(第146回中部日本整形外科災害外科学会)

このたび、第146回中部日本整形外科災害外科学会にて、「関節リウマチ患者におけるサルコペニア肥満の特徴―Fairy Study―」の演題で学会奨励賞を受賞いたしました。ご指導を賜りました鈴木先生をはじめ教官の先生方、ならびにFairy Studyレジストリの構築・運営にご尽力くださった先生方に、心より御礼申し上げます。今回の受賞を励みに、今後も臨床研究に一層励んでまいります。

斎藤雄馬

受賞おめでとうございます

松下雅樹先生 Originality Award優秀賞(第146回中部日本整形外科災害外科学会)

第146回中部日本整形外科災害外科学会で「軟骨無形成症に対する内服薬メクリジンの実用化に向けた基礎研究」がOriginality Award優秀賞を受賞しました。このようなトランスレーショナルリサーチは一人でできる研究ではなく、ご指導いただいた先生方や、共同研究施設の先生方、軟骨無形成症の研究に従事していただいた多くの大学院生のおかげです。これからも本研究を続けていきたいと思いますので、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

松下雅樹

2026年3月11日 名古屋整形外科セミナーを開催しました

3月11日、ミッドランドスクエアにおいて名古屋整形外科セミナーを開催いたしました。

まず刈谷豊田総合病院 整形外科 後藤有輝先生から、講演「PLIF後の固定隣接椎間障害」がありました。
PLIFでは術後中長期の合併症では隣接椎間障害が課題となる。PLIFと同時に頭側椎間にfenestrationまたは部分椎弓切除を行った症例を比較した。椎弓切除の方がfacet温存に優れるため隣接椎間障害の減少に寄与する可能性がある。

講師には、東北大学大学院医学系研究科 整形外科学分野 准教授 橋本功先生をお招きし、「腰曲がり遺伝子の探索~東北6大学多施設共同研究~/大学脊椎外科医、社長はじめました 神経原性疼痛治療薬の話題を交えて」と題してご講演いただきました。
はっきりした要因がなくとも、どうして腰が曲がるのか? 一塩基多型SNPは数百万あり(全塩基対は約30億)、血液型などもSNPの結果である。SNPを網羅的に解析するのがGWAS。多施設研究で検出したSNPに対し、研究中である。
PC使用時の姿勢管理のためのアプリ、背骨計を開発。リアルタイムな姿勢確認、姿勢不良を知らせる。学内ベンチャーはむしろ推奨されており、何らかの知的財産があれば大学が協力してくれる(代表権までがよい。経営権は他の人に任せる)。しかし通常臨床をしながらになるため、自分の時間を削る必要はある。起業は人生の新たな軸としての価値がある。

多数の先生方にご参加いただき、誠にありがとうございました。

2026年2月 合同カンファレンス報告

2026年2月19日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。名古屋大学の杉浦洋貴先生の司会により、専攻医による5例の症例提示と中京病院よりご講演がありました。

合同カンファレンス記録 (文責:清水景太・山田陽太郎)
日時:2026年月2月19日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 杉浦洋貴 先生

変形性股関節症を有する72歳女性に非定型大腿骨転子下骨折および骨幹部骨折を同時に発症した一例

中部労災病院 髙翔一朗 先生

症例は72歳女性で右発育性股関節形成不全由来の右変形性股関節症(股OA)、骨粗鬆症の既往歴があり6年程度アレンドロン酸の内服歴があった。絨毯で足を滑らせての単純転倒にて床に右大腿を打撲した。初診時の身体所見では右大腿の腫脹変形および自発痛・圧痛を認め、右股関節は内転位拘縮があり、右膝関節以遠に運動障害や感覚障害は認めなかった。

Dual Mobility Cupを用いた人工股関節全置換術後の脱臼について

中東遠総合医療センター 渥美元英 先生

Dual Mobility Cup(DMC)は脱臼抵抗性に優れるが、特有の合併症としてインナーヘッドが脱転するIntraprosthetic dislocation(IPD)がある。今回、DMCを用いたTHA後にIPDを来した2例を経験したため、その管理と注意点について報告する。

脛骨骨折骨接合に対する腰椎麻酔後に心停止となった1例

江南厚生病院 高山真央 先生

腰椎麻酔は一般的によく使用される麻酔方法である。その合併症は多様であるが、心停止に至ることもありその頻度は約45000例に1例との報告もある。今回我々は脛骨骨折骨接合に対して、腰椎麻酔施行後に心停止となった1例を報告する。

Van Neck–Odelberg病の3例

浜松医療センター 足立篤哉 先生

Van Neck–Odelberg病は小児の坐骨恥骨結合にみられる発育過程に伴う変化であり、股関節痛や跛行を契機に発見されることがある。その際、疲労骨折や感染、腫瘍などが鑑別となることがある。今回、当院で経験した3例を報告する。

大腿回旋動脈からの出血により術中IVRを要したTHAの1例

安城更生病院 伊藤大貴 先生

血管損傷は人工股関節全置換術(THA)における稀な合併症である。今回、後方アプローチTHAの術中に外側大腿回旋動脈損傷による大量出血を来たし、術中IVR(Interventional Radiology)により止血し得た1例を報告する。

講演1 Diabetic hand syndromeの治療・管理について

中京病院 浅野研一 先生

Diabetic hand syndrome(糖尿病手症候群)では、ばね指、手根管症候群、デュプイトラン拘縮を発症しやすいことが報告されている。Limited joint mobilityという概念があり、Prayer sign(祈り手サイン)などが特徴的である。

講演2 女医のトリセツ〜各種報告と私見から

中京病院 馬淵まりえ 先生

全国の女性医師の比率は24.4%である一方、中京病院は31.7%である。診療科でいうと循環器内科・外科以外の内科は女性医師がいる。整形外科は8人中3人である。初期研修医でも女性が増えている。来年度の初期研修医は13人中8人が女性で、女性研修医の進路として外科系が増えている。

2026年2月24日 名古屋整形外科セミナーを開催しました

2月24日、ミッドランドスクエアにおいて名古屋整形外科セミナーを開催いたしました。

まず国立長寿医療研究センター 整形外科 魚見航平先生から、講演「神経障害性疼痛とサルコペニア」がありました。

講師には、岩手医科大学医学部整形外科学講座教授の角谷 賢一朗先生 をお招きし、「脊椎転移の集学的治療~神経障害性疼痛治療薬の活用~」と題してご講演いただきました。角谷先生には、転移性脊椎腫瘍に対する豊富な手術症例に基づくエビデンスや神経障害性疼痛への向き合い方についてご講演いただき、多くの知見を得ることができました。当日は多数の先生方にご参加いただき、誠にありがとうございました。

2026年2月17日 Nagoya Orthopaedics Expert Seminarを開催しました

2月17日、Nagoya Orthopaedics Expert Seminarを開催しました。

まず、豊田厚生病院 整形外科に研修でいらしている笹尾 真司先生から、「外傷脊椎手術における『最適解』を探る」をご講演いただきました。
信州大学医学部附属病院は長野県唯一の高度救命救急センター。ウインタースポーツによる脊椎脊髄損傷は多い。頚髄損傷は二次障害を防ぐ必要がある。患者ごとの背景を病態に応じて最適解を考える。

講師には、秋田大学 保健学専攻理学療法学講座 教授 本郷道生先生をお招きし、「脊柱変形の保存療法(背筋力の重要性) ~痛みと変形の改善を目指して~」と題してご講演いただきました。高齢者脊柱変形の保存療法は重要。手術は変形や疼痛の改善に有効ではあるが、合併症の危険性は依然高く、固定術に伴うADL障害もある。保存治療は介入の定量的定義がないことが課題。脊柱後弯は背筋運動により改善しうることがわかったため、背筋力強化が保存治療の中心となりうる。また、骨密度は変化しないが、椎体骨折を低減できる可能性がある。活動性が低い高齢者への介入をどうするかが今後の課題として残る。

多数の先生方にご参加いただき、誠にありがとうございました。

2026年2月3日 Nagoya Orthopaedics Expert Seminarを開催しました

2月3日、Nagoya Orthopaedics Expert Seminarを開催しました。
一般講演では、刈谷豊田総合病院 手外科・四肢外傷外科 部長の夏目唯弘先生をお招きし、「手外科医が担う関節リウマチ診療:診断から薬物治療・手術まで」と題して、リウマチおよび手外科の専門医としての視点から、的確な診断と薬物治療の面白さ、ならびに適切な外科的介入の重要性についてご講演いただきました。
また特別講演では、京都府立医科大学大学院医学研究科 運動器機能再生外科学(整形外科学教室)准教授の小田 良先生をお招きし、「リウマチ整形外科医による変形と神経障害性疼痛のマネージメント」と題してご講演を賜りました。
基礎研究については、人工神経導管を用いた末梢神経欠損モデルにおいて、再生軸索や筋萎縮抑制を指標とした治療効果の検証から、Diffusion Tensor Imaging(DTI)を用いた評価、さらには細胞が有するサーカディアンリズムに関する知見に至るまで、幅広い研究領域にわたる示唆をいただきました。
臨床面では、関節リウマチ手の変形に関するコホート研究をはじめ、変形と機能障害の進行機序や術式選択の考え方について詳説いただきました。特に、Type I母指変形の機能をTerrono分類で横断的に評価し、尺側偏位に対する新しい関節温存術の治療成績を提示いただいた点は大変示唆に富み、非常に勉強になりました。