2022年6月の合同カンファレンスの報告

2022年6月9日(木)、名古屋大学整形外科合同カンファレンスがWebで開催されました。専攻医による3例の症例提示と江南厚生病院から2題の講演がありました。(文責:森田圭則、小澤悠人)

日時:2022年6月9日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 岩月 克之 先生

症例1 腰椎椎間関節近傍嚢腫(lumbar juxta-facet cysts:LJFC)に対する保存療法の有効性について

中部ろうさい病院 伊藤 裕哉 先生
腰椎椎間関節近傍嚢腫(LJFC)では保存治療が行われずに手術が行われることも多い。保存療法を行なった44例を対象としてその有効性について検討した。手術に至らなかった症例は27例(61%)でまずは低侵襲な保存治療を先行した上で治療方針を決定することの重要性が再認識された。

症例2 発作性心房細動加療中に腸腰筋血腫を生じた一例

名古屋大学 寺澤 慧 先生
既往に発作性心房細動あり抗凝固薬内服中に誘因なく右下肢の腫脹と疼痛が出現し、右腸腰筋血腫の診断で入院した。大腿神経麻痺を合併したが保存治療で病状の改善が得られた。腸腰筋血腫は外傷性、特発性のものがあり、特発性は血友病、肝硬変、抗凝固療法を原因とする報告がされている。

症例3  透析アミロイドによる腋窩静脈の狭窄に対して外科的切除により改善した一例

刈谷豊田総合病院 山田 陽太郎 先生
透析歴20年で、右上肢シャント閉塞のため左上肢でのシャント増設を計画したところ、肩関節周囲のアミロイド沈着による腋窩静脈の狭窄と血流途絶が認められた。アミロイドの外科的切除により血流の改善が得られ、左上肢のシャント増設が可能となった。

演題1  コンピュータ支援脊椎手術 -ナビからロボまで-

江南厚生病院 都島 幹人 先生
脊椎手術においてはナビゲーション手術が発展しており、合併症回避や低侵襲手術において有用である。また、ガイド機能付きナビゲーションシステムであるロボット支援手術も導入されてきている。ナビゲーション、ロボットそれぞれの仕組みを正しく理解し、解剖学的知識の獲得と手術手技の習得をすることが習熟に重要である。

演題2 転位型大腿骨頸部骨折に対する人工股関節置換術

江南厚生病院 大倉 俊昭 先生
転位型大腿骨頸部骨折においてはTHA、HA、骨接合、保存的治療がある。高齢者では人工物置換が骨接合より良好な成績である。またHAよりもTHAでは機能scoreや痛みが少ないが、脱臼などの合併症は多い。活動性が高く、認知症がなく、麻酔のリスクが少ない患者にはDAAによるTHAを行い良好な成績を納めている。

2022年5月の合同カンファレンスの報告

2022年5月26日(木)、名古屋大学整形外科合同カンファレンスがWebで開催されました。専攻医による4例の症例提示と重工記念病院から2題の講演がありました。(文責:川島至、藤井整)

日時:2022年5月26日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 小嶋 俊久 先生

症例1 歯突起偽腫瘍に対して経硬膜的に腫瘍切除を施行した2例

日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 渡邊 隆太郎 先生
脊髄症を伴う歯突起偽腫瘍の2例に対して、後方固定は施行せず、椎弓切除+偽腫瘍切除を施行した。術後神経症状は改善し、偽腫瘍の再発や環軸椎の不安定性増悪は認めず経過している。

症例2 デクスメデトミジンによる鎮静下での鎖骨抜釘中に一時心停止となった健常若年成人の一例

西尾市民病院 内藤 健太 先生
右鎖骨骨幹部骨折後の患者にデクスメデトミジン(DEX)による鎮静を併用し、伝達麻酔+局所麻酔による抜釘術を施行した。術中に徐脈が生じその後に心停止となり、DEXの中止と硫酸アトロピンを投与して心拍再開と血圧上昇を認めた。DEXによる心停止の報告は散見され、使用する際は注意が必要である。

症例3  上腕骨内側上顆骨片の関節内嵌入を伴った肘関節脱臼の一例

中京病院 横山 弘樹 先生
内側上顆骨片の嵌入を伴う肘関節脱臼を受傷した思春期男子に対して、骨片をCCS固定し、外側側副靭帯の縫合を実施して良好な成績を得た。易脱臼性やROM制限などを認める際には骨片の関節内への嵌入を疑いCT撮影を行うことが有用である。

症例4 人工膝関節置換術後の膝蓋骨骨折に対して人工靱帯を使用した一例

東海中央病院 杉本 拓也 先生
左変形性膝関節症に対する人工膝関節置換術の術後1年7か月後に転倒受傷し、左膝蓋骨骨折を認めた。Ortiguera and Berry分類のType2と判断し、テンションバンド固定に加え、Leeds-Keio人工靱帯を大腿四頭筋腱後方から脛骨粗面に固定し補強した。

演題1  膝OA治療の最新ストラテジー ~当院における再生医療への取り組み~

重工記念病院 川村 佑介 先生
膝OAに対して変形が軽度であれば保存治療や関節鏡手術、中等度であれば膝周囲骨切り術、高度であれば人工関節手術を考慮している。これらに加えて第三の治療として再生医療にも積極的に取り組んでいる。膝OA手術には年齢だけでなく、重症度や活動性を考慮して適応を考え、再生医療も膝OAの症状緩和に非常に有効である。

演題2 ACL再建術の成績向上を目指して~当院での試み~

重工記念病院 宮本 健太郎 先生
ACL再建術において再断裂を防ぐために追加を検討すべき手技を述べた。まずはRamp lesionであり、損傷を見逃さないのと強固に修復することが重要である。また、MCL不全がある症例ではMCL再建を行う。最後に、Antero-lateral ligament再建/Lateral Extra-Articular Tenodesis補強術についても、不安定性が高度であれば検討が必要である。

4月の合同カンファレンスの報告

2022年4月14日、名古屋大学整形外科合同カンファレンスがWebで開催されました。若手整形外科医による4例の症例提示とあいち小児保健医療総合センターから2題の講演がありました。

(文責:小杉山裕亘、宮入祐一)


日時:2022年4月14日(木)18:30~

場所:Web開催

司会:名古屋大学 三島 健一 先生

 

症例1 骨腫瘍との鑑別を要した足部結核性骨髄炎の2

岡崎市民病院 北出 怜司 先生

画像検査で中足骨や足根骨に広範囲な骨破壊像を認めた2症例を経験した。悪性骨腫瘍を念頭に組織検査と培養検査施行し、組織は慢性骨髄炎の所見だったが培養で結核菌が同定され結核性骨髄炎と診断された。日本は結核蔓延国であり、非典型的な骨破壊像を呈する骨病変の診断に際しては結核性骨髄炎の可能性を考慮に入れる必要がある。

 

症例2 脊椎術中に深部静脈血栓症を発症した一例

刈谷豊田総合病院 大島 和馬 先生

頸椎弓形成術および胸椎椎弓切除術を施行し、術直後に左総腸骨静脈より遠位の静脈血栓を認めた。IVCフィルター留置、抗凝固薬で良好な転帰となった。脊椎手術における抗凝固薬の使用は硬膜外血腫などのリスクを伴うが、本症例では発生しなかった。出血コントロールがついていれば抗血栓薬の投与を検討してもよい。

 

症例3 肘頭骨折に対するTension band wiring法において鋼線の設置位置が臨床成績に与える影響

名古屋大学 金子 怜奈 先生

Tension band and wiring(TBW)法を施行した肘頭骨折のwire positionが臨床成績に与える影響を検討した。肘頭から刺入したwireが遠位前方の対側皮質を貫いている症例をT群、尺骨髄内に留置した症例をI群として検討した結果、I群で有意に偽関節が多かった。Wireのpositionが骨癒合に影響する可能性がある。

 

症例4 インプラント周囲非定型骨折の一例

安城更生病院 桑原 悠太郎 先生

好酸球性肺炎に対してPSL、アレンドロン酸を使用中に転倒しTHA周囲骨折を受傷した症例を経験した。インプラント遠位部での横骨折、外側皮質に肥厚を伴う” Beak sign” を認めた。非定型骨折のため骨接合術後、LIPUSおよびロモソズマブを使用し良好な成績を得た。

 

演題1 年齢別小児健診異常の診かた

北村 暁子 先生

出生時検診により内反足や多合指などの疾患が紹介される多い。3-4ヶ月検診によりDDH、1歳6ヶ月検診では内反膝、歩容異常、歩行開始後のDDHがよく紹介される。また、3歳児検診では外反膝m学校検診では、側弯、こどもロコモ、オーバーユース、神経筋疾患が紹介されることが多く、年齢ごとに検診で指摘されやすい疾患を知っておくことが大切である。

 

演題2 びまん性の疼痛を訴える小児-症例報告-

鬼頭 浩史 先生

小児のびまん性疼痛を主訴に受診された症例についてご講演された。壊血病は易出血性、歯肉出血、下肢痛が特徴で、ビタミンC補充療法によって改善した。里吉病は有痛性筋痙攣、脱毛、下痢が特徴で、小児期発症は成長障害を認める。治療はステロイドやジアゼパムなどの対象療法である。低ホスフォファターゼ症の確定診断はALPL遺伝子診断で、ALP補充療法を行う。一般的には成長痛、関節痛、繊維筋痛症、JIA、SLE、白血病などが鑑別に挙がる。

2月の合同カンファレンスの報告

2022年2月17日、名古屋大学整形外科合同カンファレンスがWebで開催されました。若手整形外科医による4例の症例提示とトヨタ記念病院から2題の講演がありました。

(文責:川島至、福井順)


日時:2022年2月17日(木)18:30~

場所:Web開催

司会:名古屋大学 安藤 圭 先生

 

症例1 電撃傷による肩関節脱臼骨折の一例

碧南市民病院 矢野 心平 先生

電撃傷による左肩前方脱臼・大結節骨折・腱板損傷に対し、鏡視下全周性関節唇縫合、開創し大結節骨接合および腱板縫合を行った。電撃傷性肩関節損傷には熱傷による骨軟部組織脆弱性を伴い、受傷後早期の組織整復が必要とされる。本症例でも早期の観血的整復を実施し、良好な短期予後を得た。

 

症例2 頚椎人工椎間板置換術後血腫により気道閉塞を来した一例

中部ろうさい病院 小倉 啓介 先生

頸椎人工椎間板置換術後、術後ドレーン抜去後に血腫による起動閉塞をきたし手術による血腫除去を行った。ドレーン抜去後の血腫の報告はなく、当院では術後定期的に頚周囲径を測定しており早期発見の一助となると考えられる。

 

症例3 脛骨遠位骨端線損傷後に長母趾伸筋の拘縮を発症した一例

名古屋大学 岩瀬 賢哉 先生

脛骨遠位骨端線損傷を認め、受傷後3日目に経皮的鋼線刺入術を施行した。術後足関節底屈位で母趾が伸展し、底屈制限が見られ、MRIより前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋腱の癒着が原因と考えられた。ハイドロリリースとリハビリテーションにより改善を認めた。

 

症例4 当院で経験したMorel-Lavallee病変の7例

津島市民病院 等々力 一徳 先生

Morel-Lavallee病変(以下MLL)は急性期では血腫との鑑別を要する。MLLは外傷に伴い比較的遭遇する疾患であるが、創部感染や皮膚壊死等にて治療に難渋することが多々あるため適切な処置を行う必要があると考える。

 

演題1 足部・足関節の鏡視下手術

トヨタ記念病院 高橋 達也 先生

前方アプローチ手術として、変形性足関節症に対する鏡視下足関節固定術、距骨骨軟骨損傷に対する経内果的骨釘固定術(+逆行性ドリリング)など、脛腓関節損傷に対する鏡視下での評価を行いながらのSuture button固定などを行っている。後方アプローチ手術として後方インピンジメントなどに対して手術を行っているが、脂肪体を傷つけない、PTFLを可及的温存、FHLの腱鞘切開の実施、PIMLに対して必要時滑膜切除の実施などに留意している。

 

演題2 関節鏡視下バンカート修復術-コンタクトスポーツへの対処も含め-

トヨタ記念病院 酒井 忠博 先生

肩関節脱臼の保存治療効果は限定的である。手術では主に関節鏡下Bankart repairを行うが、Rotator Interval Closure 、HAGL Lesion repair、Remplissage法など追加処置もある。Glenoidの骨欠損が多きい場合やコンタクトスポーツ選手は骨移植の考慮も必要。鏡視下Bristow Bankart(ASBB)を行っており現在のところラグビー選手の再脱臼はなく、鏡視下Bankart repairを行うにあたりいろいろな追加手技を習得する必要ある。

1月の合同カンファレンスの報告

2022年1月20日、名古屋大学整形外科合同カンファレンスがWebで開催されました。若手整形外科医による3例の症例提示と静岡済生会総合病院から2題の講演がありました。

(文責:紀平大介、佐藤良)


日時:2022年1月20日(木)18:30~

場所:Web開催

司会:名古屋大学 栗本 秀 先生

 

症例提示

症例1 腸骨骨髄炎と腸腰筋膿瘍を合併した化膿性仙腸関節炎の一例

日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院 伊藤 文宙 先生

3週間前から左腰部痛を自覚し症状改善しなかった。CRP 高値で精査したところ仙腸関節に骨びらんを伴い液体貯留、骨髄炎、腸骨筋膿瘍を認め緊急ドレナージ術を施行した。若年女性の仙腸関節部痛と発熱を認めた場合には本疾患が鑑別に挙げられる。

 

症例2 上肢に生じた壊死性筋膜炎5例の治療経験

豊橋市民病院 松野 優司 先生

上肢壊死性筋膜炎5例を経験した。Vibrio vulnificus 感染で上肢切断した1例は髄膜炎で死亡し、1例で高度な運動機能障害が残存したが、3例では患肢温存し運動機能は改善した。LRINEC scoreは迅速な外科的治療の判断に有用な指標となった。

 

症例3 受傷後早期に脂肪塞栓症を合併した大腿骨骨幹部骨折の一例

西尾市民病院 伊藤 里奈 先生

右大腿骨骨幹部骨折受傷後に脂肪塞栓症と診断した症例を経験した。受傷後5日目にプレート固定による骨接合を行い全身状態は改善した。脂肪塞栓自体に対しての根本治療はなく、可及的早期に骨折部の安定化を図ることが推奨されている。

 

演題1 骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)治療の変遷 ~専門外の先生方に向けて~

静岡済生会総合病院  伊藤 英人 先生

OVFに3割に背部痛が残存し、3%が遅発性神経障害を有するため手術適応の検討は重要である。最近は、早期BKPを行う方針で自宅退院率、入院日数の減少、形態的にも楔状化率の改善が期待できる。画像評価で圧壊リスクを評価して手術適応を検討する必要がある。

 

演題2  関節リウマチにおける伸筋腱断裂の治療

静岡済生会総合病院 矢崎 尚哉 先生

関節リウマチの伸筋腱断裂を認めた症例を対象とし、良好な術後成績を報告された。RAにおける伸筋腱断裂の手術方法はEIP腱を併用した腱移行と隣接した腱への腱移行があるがどちらの有用性が高いかはまだ定かではない。断裂した腱本数が多いほど治療成績が低下する。後療法は作業療法士と連携が重要である。

12月の合同カンファレンスの報告

2021年12月16日、名古屋大学整形外科合同カンファレンスがWebで開催されました。若手整形外科医による3例の症例提示とあさひ病院から2題の講演がありました。


日時:2021年12月16日(木)18:30~

場所:Web開催

司会:名古屋大学 山本美知郎 先生

 

症例1 非骨化性線維腫(NOF)による病的骨折の一例

名古屋記念病院 長田 直大 先生

NOFによる病的骨折に対し、掻把・人工骨移植とプレート固定を行った。NOFは骨折型により保存治療も選択されるが、本症例は大きな転位を有するNOFの病的骨折であり、術中迅速診断、掻把・人工骨移植、プレート固定を行うことで良好な骨癒合を得られた。

 

症例2 化膿性汗腺炎の2例

半田市立半田病院 森浦 哲平 先生

臀部に瘻孔が多発し排膿を認め、部位や皮膚所見より化膿性汗腺炎と診断し外科的切除、術後局所陰圧療法、植皮にて完治した。左大腿骨頸部骨折に合併した化膿性汗腺炎も経験し、骨折に対しては人工骨頭挿入術を行いいづれの経過も良好であった。

 

症例3 閉鎖性大腿骨骨折に大腿動脈解離を合併した一例

大同病院 嵯峨 咲 先生

飛び降りにより多発外傷受傷し、同日緊急手術で創外固定を施行した。帰室後に時間経過してから大腿動脈解離が発覚した。解離部にステント留置を行い血流は再開したが、血流再開後にコンパートメント症候群を合併した。複数回手術により創部は閉鎖した。

 

演題1 高位脛骨骨切り術 OWDTOかHCHTOか ー自験例から、トラブル回避のためにー

あさひ病院 山本 隆一郎 先生

変形性膝関節症に対する骨切り術については、軽度~中等度内反膝に対してはOWDTO(開大型粗面骨切り術)、中等度内反膝に対してはHCHTO(ハイブリッド閉鎖式高位脛骨骨切り術)があり、OWDTOとHCHTOは適応が重複している。第1選択はOWDTOではあるが、HCHTOの適応について説明された。

 

演題2 運動器疾患に対する体外衝撃波療法の有用性

あさひ病院 岩堀 祐介 先生

体外衝撃波療法(ESWT)の治療効果としては、除痛、組織修復再生、筋緊張の緩和、関節拘縮、可動域改善がある。外側上顆炎、上腕二頭筋長頭腱腱鞘炎、ばね指、石灰沈着性腱炎、感染性偽関節など様々な疾患に対して使用されており効果的である。スポーツ選手がオンシーズン中にプレーを行いながら治療を併用できることがメリットとして挙げられる。

10月の合同カンファレンスの報告

2021年10月28日、名古屋大学整形外科合同カンファレンスがWebで開催されました。若手整形外科医による4例の症例提示と市立四日市病院から2題の講演がありました。(文責:前田真崇、小杉山裕亘)


日時:2021年10月28日(木)18:30~

場所:Web開催

司会:名古屋大学 関 泰輔 先生

 

症例1 Th12-L1化膿性脊椎炎に対する椎間板生検、ドレナージの安全性及び有効性の検討

中部労災病院 城 宏彰 先生

Th12-L1化膿性脊椎炎を後ろ向きに調査し、透視下経皮的生検及びドレナージの安全性を解剖学的に検討した。生検及びドレナージの際のSafety angleで穿刺を行えばTh12-L1椎間板生検及びドレナージは安全に施行できることが示唆された。

 

症例2 脛骨近位骨端線損傷の一例

大同病院 森崎 栄紀 先生

脛骨近位骨端線損傷Watson-Jones分類Ⅳ型Salter-HarrisⅡ型と診断し観血的整復および内固定を施行した。治療法としてギプス固定、経皮鋼線固定、スクリュー固定の報告がある。本症例は高度の不安定性を認めたためスクリュー固定を行った。

 

症例3 Guyon管外のガングリオンにより尺骨神経深枝麻痺を来した一例

大同病院 成瀬 啓太 先生

数カ月前からの左手脱力を主訴に受診。尺骨神経はGuyon管以遠で浅枝と深枝に分岐するため、障害部位により様々な臨床症状を呈する。詳細な理学的所見をとることにより診断でき、顕微鏡下に神経剥離およびガングリオン摘出を行い症状は改善した。

 

症例4 砕石位術後に生じたWell-leg compartment syndromeの一例

名古屋第一赤十字病院 藤田 友樹 先生

5時間以上の砕石位での手術後に両下腿痛発症しcompartmentと診断された。発症から4時間後に両下腿減張切開を施行した。手術時間が4時間以上・砕石位等が危険因子であり早期の診断と対応が必要である。

 

演題1 Wide awake surgeryによる手外科手術

市立四日市病院 川本 祐也 先生

Wide awake surgeryは覚醒下に知覚神経のみに局所麻酔を作用させて行う手術である。局所麻酔中毒を予防できるという利点がある一方で深部操作の麻酔効果は不確実、長時間効きにくいといったデメリットもある。筋腱断裂、ばね指、腱剥離、外傷等にWide awake surgeryは有用と考える。

 

演題2 医原性神経損傷 -トラブルにならないために-

市立四日市病院 奥井 伸幸 先生

末梢神経障害は様々な医療行為によって生じる。トラブルにならないためには、起きやすい場所に手技を行わない、しなければならない場合は他の選択肢を考慮したができなかった理由を記載する必要がある。神経損傷が起こりうる可能性を説明し、放散痛などの異常があれば中止し、しっかり説明しfollowすることが重要である。

9月の合同カンファレンスの報告

2021年9月16日、名古屋大学整形外科合同カンファレンスがWebで開催されました。若手整形外科医による4例の症例提示と上飯田第一病院から2題の講演がありました。(文責:長谷川純也、森田圭則)


日時:2021年9月16日(木)18:30~

場所:Web開催

司会:名古屋大学 平岩 秀樹 先生

 

症例提示

症例1 思春期に発症した化膿性外閉鎖筋炎の一例

市立四日市病院 黒川 輝樹 先生

17歳男性の化膿性外閉鎖筋炎に対して保存治療を行った症例を経験した。股関節痛と発熱を生じ、MRIで外閉鎖筋の腫大を認め血液培養からMSSAが検出された。抗菌薬投与で治癒が得られた。化膿性閉鎖筋炎は平均年齢8.3歳と報告されており本例は比較的稀であると考えられる。

 

症例2 手指皮膚欠損に対してPerifascial areolar tissue(PAT)を用いて治療した3

豊橋市民病院 倉橋 真吾 先生

骨や腱が露出した創部においては、一般的に局所皮弁や遊離皮弁などが行われるが、perifascial areolar tisuue(PAT)移植による創閉鎖法も選択肢の1つとして考えられる。PAT移植は手技が簡便であり、皮弁より低侵襲である。また、患者は早期リハビリ開始が可能である。

 

症例3 高齢者の橈骨遠位端骨折の掌側ロッキングプレート固定における人工骨移植の効果-TRON study-

名古屋大学 森 悠祐 先生

多施設共同研究により高齢者頭骨遠位端骨折の手術治療における人工骨移植の効果について検討した。掌側ロッキングプレート単独の症例と人工骨を併用した症例の比較で、骨癒合、Implant Failure、整復位など臨床成績およびX線学的評価に有意な差はみられなかった。

 

症例4 トファシチニブ投与中にTKA施行した1

江南厚生病院 柘植 峻 先生

MTX10mg/週+TOF10mg/日で加療しているRA患者に対して、TOFを一時休薬してTKAを施行したが、術後縫合不全により創部デブリードメン+再縫合処置を要した。本症例では、幸い創部は治癒し感染徴候ないことを確認してからTOF投与を再開した。感染に関して、今後はとくに注意深く観察していく必要がある。

 

演題1 スポーツ分野の治療から予防まで 青少年のサッカー・野球選手から学んだこと

上飯田第一病院  小田 智之 先生

青少年のサッカー選手の怪我には前十字靭帯損傷、足関節捻挫、Jones骨折などがある。また野球選手には上腕骨骨端線離開、肘内側上顆障害、上腕骨小頭離断性骨軟骨炎がある。足関節捻挫の予防のため、バランス機能トレーニングや内在筋トレーニングを施行している。投球障害の原因としてはオーバーユース、コンディショニング不良、投球フォーム不良が挙げられる。投球フォームをハイスピードカメラで撮影し、角度を測る、AIで判定するなどのツールを開発中である。

 

演題2 腰椎椎間板ヘルニア内視鏡手術の初歩

上飯田第一病院  飛田 哲朗 先生 先生

腰椎椎間板ヘルニアの内視鏡手術は主にMicro Endoscopic Discectomy (MED) とFull Endoscopic Lumbar Discectomy (FELD)に分けられる。MEDは18mmの円筒を用い、FELDでは7-8mm程度のスコープを用い、脱出髄核に到達し摘出する。Open手術と比較して小さな創、少ない出血量、短い入院期間、局所麻酔下手術可能、高い手術点数などの利点がある。

7月の合同カンファレンスの報告

2021年7月29日、名古屋大学整形外科合同カンファレンスがWebで開催されました。若手整形外科医による3例の症例提示と岡崎市民病院から2題の講演がありました。

(文責:福井順、栗山香菜恵)


日時:2021年7月29日(木)18:30~

場所:Web開催

司会:名古屋大学 建部 将広 先生

 

症例提示

症例1 人工股関節感染に対して大腿骨ステムを温存し2期的人工関節再置換を行った一例

江南厚生病院 中島 良 先生

セメントレス人工股関節置換術後に慢性人工関節感染が疑われ、二期的人工関節再置換を行った症例を経験した。診断翌日に人工関節抜去および抗生剤含有セメントを充填し、6週間抗生剤点滴後に2週間内服を行い、術後8週で人工関節再置換を行った。今後も慎重に長期経過を見る必要がある。

 

症例2 胸椎硬膜外に発生したmetaplastic meningiomaの一例

安城更生病院 鏡味 佑志朗 先生

T8-9硬膜外発生のmetaplastic meningiomaに対して手術を行った症例を経験した。下肢近位筋の軽度筋力低下と歩行困難があり、腫瘍切除、T7.10 partial laminectomy、T8.9 total laminectomyを行った。metaplastic meningiomaの頻度は髄膜腫の1-5%と非常に稀である。

 

症例3 四肢銃創にて死亡した一例

名古屋医療センター 家崎 雄介 先生

右鼠径部と左手部への銃創に対し治療を行った症例を経験した。バイタル測定困難な状態で搬送され、2回の心停止からのROSCを繰り返し、Resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta (REBOA)およびInterventional Radiology (IVR)施行したが、下肢阻血となり股関節離断術を行った。

 

演題1 知っておきたい整形外科感染症について

岡崎市民病院  加藤 大三 先生

腸腰筋膿瘍や化膿性脊椎炎は、起因菌同定率は高く来院したらまずドレナージ、穿刺を試み抗酸菌も含めた培養検査を行う。MSSAが多いが嫌気性菌、連鎖球菌も多い。CEZ単剤ではカバーできないことが多い。SSI予防には基本的な感染対策を図る。術前に改善可能な患者要因は改善を図る。周術期抗菌薬は、通常の予定手術はCEZで十分、執刀直前に終了、3時間ごとに追加投与を行う。術後抗生剤投与は必要とされない。

 

演題2 岡崎市民病院での骨軟部腫瘍診療

岡崎市民病院  山田 健志 先生

左乳がん術後40年以上経過して発症した脊椎および恥骨骨転移という高齢者の症例に対し予後予測に基づき手術を行い術後1年以上在宅生存することができた症例を提示された。四肢長管骨転移性骨腫瘍に関しては、手術適応や術式の決定には骨折リスク評価や予後予測などの指標を参考に積極的に行うべきであることを講演された。

6月の合同カンファレンスの報告

2021年6月17日、名古屋大学整形外科合同カンファレンスがWebで開催されました。若手整形外科医による4例の症例提示と中部労災病院から2題の講演がありました。

(文責:加藤友規、浅見雄太)


日時:2021年6月17日(木)18:30~

場所:Web開催

司会:名古屋大学 今釜 史郎 先生

 

症例提示

症例1 示指floid reactive periostitisの一例

名古屋第一赤十字病院 黒川 寛 先生

示指基節骨尺側に径22mmの腫脹、発赤を認め受診された。Xp、CTでは皮質骨の破壊と周囲の増骨性変化を認め、MRIではT1強調像で軽度低信号、T2強調像で高信号の腫瘤を認めた。切除生検を施行したところ悪性所見は見られず、florid reactive periostitis(FRP)と診断された。この疾患の存在を知っておくことが重要である。

 

症例2 中手骨底部骨折を伴う第5CM関節掌側脱臼の一例

安生更生病院 大鹿 泰崇 先生

左手第5CM関節の掌側脱臼および、中手骨底部の粉砕骨折を認める症例を経験した。受傷後1週で橈骨より骨移植を行った上で第5中手骨から有鉤骨にかけてbridge plateにて固定を行った。術後1週より手指自動運動開始、術後6週より手指他動運動を開始、術後12週でプレートを抜釘し、full grip可能となり良好な可動域が得られた。

 

症例3 踵骨骨折術前に深部静脈血栓を認めIVCフィルターを留置した症例を経験して

浜松医療センター 杉本 遼介 先生

左踵骨骨折、第4腰椎椎体骨折を受傷し、踵骨骨折に対しては待機的手術、腰椎椎体骨折に対しては外固定による保存的治療となった。踵骨の手術前日の下肢静脈エコー検査にて左膝窩静脈に浮遊性の血栓を認めた。血管外科にコンサルトし、手術延期、IVCフィルター施行したうえでの手術予定となった。IVCフィルターの挿入は侵襲性の伴う処置であるが、肺塞栓症は時に致命的であり、リスクの高いDVT症例においてその恩恵は大きいと考える。

 

症例4 ステム周囲骨折骨接合術後の感染性骨癒合不全に対してセメントロングスペーサーを用いて感染および骨癒合不全を制御した一例

名古屋第二赤十字病院 坂東 皓介 先生

ステム周囲骨折VancouverB1に対してプレートにて骨接合後6カ月で瘻孔形成と排膿を認めた。骨折部は癒合を認められなかったため、デブリードメントしたがその術後10ヵ月後に再度、瘻孔形成と排膿を認めたため人工関節、プレートを全抜去した。手製の抗生剤含有セメントロングスペーサーを挿入した。術後3ヶ月で感染は沈静化し、骨癒合不全部も転位を認めなかったため、セメントロングステムを用いた人工関節再置換術を施行し再燃を認めず、骨癒合を認めた。

 

演題1 脱臼しない人工股関節への試み

中部労災病院  笠井 健広 先生

中部労災病院では関節外科で年間約200件の手術を行っており人工股関節に関してはALS approachで行っている。利点としては脱臼が少なく、感染しにくい、脚長を合わせやすいこと、欠点としては難易度が高い、learning curveがあることなどが挙げられる。脱臼しないためには正確なインプラント設置、大径骨頭、前方側方進入などが挙げられる。

 

演題2 脊椎脊髄損傷・入門~初級:若手Drおよび脊椎班以外の先生方へ

中部労災病院 松本 智宏 先生

高齢者のlow energyの脊髄損傷が増加している。まず一般外傷と同じく、全身状態の安定化を図ることが重要である。C6が残存していると手関節背屈が可能となるので、自動車の運転ができるかどうかの指標になる。C4以上であれば横隔神経麻痺となり呼吸管理が重要である。脊髄ショック離脱の目安は球海綿体反射(BCR)の回復が指標になる。最近ではSLIC scale、TLICS scale、TL AOSISなどの分類が脊損センターでは良く使用されている。