2025年6月26日 Nagoya Orthopaedics Expert Seminarを開催しました

2025年6月26日、Nagoya Orthopaedics Expert Seminarを開催しました。

まず長野赤十字病院 整形外科 部長 小清水宏行先生から、講演「頚椎~骨盤外傷と向き合う」がありました。
頚椎スクリューではPSが強度が高いが挿入時の安全性に劣る。患者適合型ガイドは導入コストが低いが、緊急手術には使えない。Long LMSはよい選択肢である。
胸腰椎骨折に対しては、近年シャンツスクリューのように矯正力が掛けられるPPSシステムがある。Motion segmentが残せて低侵襲に実施可能。
骨盤輪骨折では、脆弱性骨盤骨折の増加、高エネルギー外傷に対する低侵襲手術などの特徴がある。ASIFは外側大腿皮神経障害などの欠点はあるが早期離床を狙える。

特別講演に佐賀大学医学部 整形外科 教授 森本忠嗣先生をお招きし、「当科におけるHip-spine syndromeの臨床検討と神経障害性疼痛治療」を御講演頂きました。
Primary THAの誤診・診断遅延は5%、その90%以上は腰椎疾患と診断されていた。主訴バイアスに注意。変形性股関節症患者は20~30%腰椎すべり症を認める。
骨盤の形態、脊椎の形態は関連する。亜脱臼股ではPIが増大する、仙腸関節の形態とも関連など。PIの変化も検討する。
腰椎、股関節両方を診察し、見逃しを防ぐ。Patrick signに注意する、腰椎レントゲンに股関節まで写すなど。
佐賀大学整形外科での道のり、team buildingについてもたくさんお話しくださいました。優れた人材の確保は最重要事項。

沢山の参加者の方にご参加頂き誠にありがとうございました。

2025年6月 合同カンファレンス報告

2025年6月19日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。名古屋大学の船橋洋人先生の司会により、専攻医による3例の症例提示と名城病院よりご講演がありました。

合同カンファレンス記録 (文責:鏡味佑志朗・斎藤雄馬)
日時:2025年6月19日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 船橋洋人 先生

外傷後の遅発性血胸の2例

豊橋市民病院 西野入賢 先生

胸部外傷における受傷早期の血胸は一般的だが、受傷後24時間以降に起きる遅発性血胸の頻度は稀であり、致死的になりうる。今回我々は、胸部外傷後に遅発性血胸を生じた2例を経験したため報告する。

中足部骨欠損を伴ったMangled Footの1例

長野赤十字病院 児玉敏宏 先生

Mangled Footの治療原則はAcceptable Foot(歩行時に疼痛のない)を目標とした解剖学的骨再建と軟部組織再建である。症例は50代男性、仕事中に左足部へ約1トンの荷物が落下し受傷。足背動脈損傷,前脛骨筋腱断裂,中間楔状骨を中心としたLisfranc関節開放性脱臼骨折と舟状骨の体外脱転を認めた。

壊死性筋膜炎の抗菌薬治療中に発症した紫斑性皮疹に対し薬疹とIgA血管炎との鑑別を要した1例

知多半島総合医療センター 大口陽平 先生

壊死性筋膜炎に対して抗菌薬治療を行っていた患者に、薬疹と鑑別を要する全身性の皮疹を認めた1例を経験した。

講演1 胸腰椎・腰椎思春期特発性側弯症に対する選択的腰椎固定術の適応と限界

名城病院 町野正明 先生

特発性側弯症の治療においては早期発見が極めて重要であり、学校検診などで用いられる前屈テストが広く知られている。特にrib hump(肋骨隆起)は主弯曲の部位によって出現が異なるため、ウエストラインの左右差を評価することも有用である。

講演2 私の失敗100選

名城病院 小原徹哉 先生

2003年に名城病院へ赴任し22年経過したが、印象に残っているのは、成功した症例ではなく、うまくいかなかった症例であった。今後の脊椎外科を目指す医師のためにも失敗例を共有することが大切であり、今後同様の落とし穴にはまらないようしてもらえたらと考える。失敗を防ぐために、術前の十分な準備期間、そのためのトータルの仕事量の調整、術者、患者、コメディカルのコミュニケーションの問題、各外科医の基本ペースがそれぞれ異なることを理解する。緊張と弛緩のバランスや手術のペース配分といった点が大切である。

2025年6月21日 第51回研究報告会を開催しました

6月21日(土)、第51回名古屋大学整形外科・手の外科研究報告会を開催しました。

9つの大学院生の先生方による研究報告があり、学位論文に向けて活発な議論が行われました。

2025年6月15日 研修医向け整形外科セミナーを開催しました

6月15日(日)、名古屋大学整形外科主催で「研修医向け整形外科セミナー」を開催しました。

本セミナーでは、まず研修医の先生方が救急外来での診療時に役立つ内容として、「見逃しやすい骨折の診断」および「創の縫合と管理の基本」に関する講演を行いました。続いて、「人工骨頭置換術」「人工膝関節置換術」「関節鏡視下手術」「プレートによる骨接合」「ヒップネイル」についての実技ワークショップを実施しました。

ワークショップでは、模擬骨を用いて実際の手技を体験していただき、整形外科への関心を深めてもらう良い機会となりました。

当日は関連病院の研修医を中心に17名の方にご参加いただき、盛況のうちに終了いたしました。ご参加くださった皆様、ご協力いただいた先生方、また後援いただいた名整会に心より感謝申し上げます。

2025年6月15日 第四回名古屋大学スポーツ整形外科セミナーを開催しました

2025年6月15日、名古屋大学・鶴友会館にて「第四回スポーツ整形外科セミナー」を開催いたしました。
今回は、スポーツドクターによる講演とアスリートによる特別講演の二部構成で、医療とスポーツの現場を多角的な視点から紹介する内容となりました。

第一部では、やまが整形外科 院長であり、Jリーグ・FC岐阜のチームドクターとしてもご活躍の山賀篤 先生にご登壇いただきました。
スポーツドクターを目指すまでの道のりや、実際の業務内容、医療とスポーツ現場をつなぐ立場としての経験について、臨場感あふれるエピソードとともにご紹介いただきました。

第二部では、特別講演として、元サッカー日本代表であり、名古屋グランパスやセレッソ大阪などで活躍された柿谷曜一朗氏をお迎えしました。
事前に寄せられた質問をもとに、
– サッカー選手とケガ
– サッカーとメディカル
– サッカー、人生
– 名古屋グランパス
という4つのテーマに沿って、選手としての裏話やメディカル・トレーナーとの印象的なエピソードを交えながら、率直かつ温かみのある語り口でお話しいただきました。
実体験に裏打ちされた内容は、将来スポーツ医学に関わることを志す参加者にとって、大いに参考となるものでした。

当日は終始あたたかく、活気ある雰囲気に包まれ、非常に満足度の高いセミナーとなりました。
今後も本セミナーでは、スポーツと医療をつなぐ実践的な学びと交流の場を提供し続けてまいります。

2025年5月 合同カンファレンス報告

2025年5月15日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。名古屋大学の大内田隼先生の司会により、専攻医による4例の症例提示と中津川市民病院よりご講演がありました。

合同カンファレンス記録 (文責:清水景太・長谷康弘)
日時:2025年5月15日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 大内田隼 先生

症例1 脊椎手術中の頭蓋骨骨折を契機に診断された多発性骨髄腫の1例

総合上飯田第一病院 岩永康介 先生

症例は77歳男性。歩行障害と巧緻運動障害を主訴に頚椎症性脊髄症と診断され、椎弓形成術を予定された。手術時、クランプ式頭蓋固定器による固定時に愛護的操作にもかかわらずヘッドピンの過剰な刺入と固定力低下があり、マスク型固定へ変更し手術を施行した。

症例2 肺癌の転移性脊椎腫瘍を疑ったが結核性脊椎炎だった1例

豊田厚生病院 田島美咲 先生

結核性脊椎炎は全結核患者の約5%に発症すると言われている。結核菌は椎体終板に血行性感染し、前方の骨皮質に浸潤する為、初期の椎間板腔は保たれると報告されている。今回、肺癌の転移性脊椎腫瘍を疑い、胸椎後方徐圧固定術を施工したが、結核性脊椎炎であった一例を経験したので報告する。

症例3 当院のCarpenter法の治療経験ー従来のサークラージコンプレッションワイヤリングとCarpenter法との比較ー

岐阜県立多治見病院 富田剛之將 先生

膝蓋骨骨折は全骨折の約1%を占め、その多くは立位からの転倒により発生する。従来はKirschner鋼線を用いたサークラージコンプレッションワイヤリング(CCW)が標準術式であったが、近年当院ではCCS固定をもちいたCarpenter法による骨接合をおこなっている。本研究では、当院におけるCCWとCCS(カニューレスクリュー)2本にワイヤーを通す“Carpenter法”との臨床成績を後ろ向きに検討した。

症例4 大腿骨骨幹部骨折に対する鋼線牽引の際のピン刺入が原因となったHeat necrosisの1例

名古屋大学病院 加藤健太郎 先生

症例は16歳男性で特記すべき既往歴認めない。ハンドボール中のジャンプ着地動作にて、右大腿骨骨幹部骨折を受傷した。同日中に近位脛骨に鋼線牽引を施行したが、皮質骨が硬く、Kワイヤーの刺入に1分以上を要した。

講演 中津川市民病院の現状

中津川市民病院 丸山浩司 先生

中津川市は、人口74532人(2024年1月1日)で65歳以上の高齢者率が33.5%(全国平均29.3%)。平成17年に合併し岐阜県で6番目の面積となった。周辺に大病院がない環境であり、3次救急は県立多治見病院に搬送しているが、中津川市民病院から救急車で45分程度かかる。病床数は316床だが、看護師不足のため、実稼働266床である。整形外科常勤は5人ではあるが、非常勤の先生にも来ていただいており手術申込数は近年増加中で1年1000件程度である。

2025年4月 合同カンファレンス報告

2025年4月10日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。名古屋大学の坂口健史先生の司会により、専攻医による3例の症例提示と東農厚生病院よりご講演がありました。

合同カンファレンス記録 (文責:斎藤祐樹・片山雄二郎)
日時:2025年4月10日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 坂口健史 先生

症例1 バイルベアリングTKA術後のSpinoutによる脛骨後方脱臼に対し、脊麻下で徒手整復が得られた一例

中部労災病院 朴井秀亜 先生

症例は62歳女性で3ヶ月前に右TKA施行している。ベッドから起床動作時に右膝痛を発症し、以後膝関節腫脹・屈曲拘縮あるため当院救急外来を受診した。レントゲン・CT検査の結果、モバイルベアリングのSpinoutによる脛骨後方脱臼と診断した。

症例2 骨折を伴わない肩関節脱臼に動脈損傷を合併した1例

中部労災病院 整形外科 金子京平 先生

症例は81歳女性で既往に大動脈弁狭窄症があり、ワルファリン,アスピリンを内服していた。右肩を下にして転倒して受傷し,右肩関節痛を訴え,同日受診した.初診時、レントゲン検査にて右肩関節前方脱臼の診断となり,FARES法にて,無麻酔下で,3回目で整復に成功した.

症例3 診断に難渋し生検術にて確定診断を行った神経根腫瘍の1例

安城更生病院 佐藤香織 先生

症例は83歳女性、左足趾の感覚鈍麻が出現、徐々に膝まで拡大し左下垂足・歩行障害が出現となり当院紹介となった。当院初診時の身体所見では左大腿外側~下腿外側に疼痛あり、左下肢筋力低下を認めた。

講演1  膝伸展機構損傷

東農厚生病院 大間知孝顕 先生

東農厚生病院での過去13年における膝伸展機構損傷の症例を報告する。症例1は20歳男性で単車自損事故にて左膝部を受傷した。症例2は56歳の男性で転倒し左膝部を受傷し、当院へ再紹介となった。画像所見で明らかに膝蓋骨高位を認め、MRIでは膝蓋靭帯断裂を認めた。症例3は26歳の男性でサーフボードの角で打撲し、疼痛によるスポーツが困難なため、当院紹介となった。

講演2 膝の痛みと静脈瘤

東農厚生病院 岸本烈純 先生

先行研究で静脈瘤の有病率は膝関節症で高いことが明らかになっている。静脈瘤の治療後に膝関節痛の改善があるなど少数で報告されている。今回の研究では97例の膝OA患者の静脈瘤有病率を評価し、年齢を問わず60%以上の有病率を認め、膝OAをもつ女性の有病率67%であった。

ご挨拶 若尾典充

名整会会員各位

謹啓

今年も桜の花が満開になりつつあります。
名整会会員の皆様におかれましては御清栄のこととお慶び申し上げます。

このたび 令和7年4月1日付にて愛知医科大学整形外科学教室の特任教授に就任いたしました。
これまでのご指導に心から感謝申し上げます。

時代の移り変わりを日々肌で感じておりますが、これから整形外科を志す若い医師をいかに成功に導くことができるかを最大のテーマに日々生きて参ります。
肩の力を抜いて、人が集まってくるような空気を高橋教授とともに醸し出していきたいと思います。
今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう 何卒よろしくお願い申し上げます
略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます

謹白

令和7年4月2日 愛知医科大学整形外科 若尾典充

ご挨拶 竹上靖彦

名整会会員各位

私儀

このたび令和7年4月1日付で名古屋大学大学院医学系研究科総合保健学専攻バイオメディカルイメージング情報科学 教授に就任することになりました竹上靖彦です。これまで長きにわたり名整会の諸先生方には温かいご指導を賜り、心より感謝申し上げます。

新たな職務におきましては、東郷町検診や八雲健診などの住民健診事業を通じた健康寿命の延伸に関する研究に取り組んでまいる所存でございます。特にAIシステムを活用した早期疾患検出や予防医学の発展に注力するとともに、将来の医療を担う理学療法専攻学生の教育にも力を尽くしてまいります。

整形外科での臨床経験を礎としながら、予防医学と健康科学の分野における新たな知見の創出と人材育成に励む所存でございます。引き続き医学部医学科との学術的交流を大切にし、地域住民の健康増進に貢献できる研究を進めてまいりたいと存じます。 浅学非才の身ではございますが、これまで賜りましたご厚情にお応えできますよう精進してまいります。今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

竹上靖彦

2025年1月21日 名古屋整形外科セミナーを開催しました

2025年1月21日、名古屋大学医学部附属病院 基礎研究棟にて名古屋整形外科セミナーを開催しました。
講師には福島県立医科大学医学部 整形外科学講座主任教授 松本 嘉寛先生をお招きし、「Biologyの視点から考える整形外科疾患の診断と治療」を御講演頂きました。
脊椎脊髄外科専門医と骨軟部腫瘍専門医のダブルライセンスである松本先生の広い視点から、基礎から臨床に渡るご講演を頂き、大変深い知見を得ることができました。
沢山の参加者の方にご参加頂き誠にありがとうございました。