2026年5月 合同カンファレンス報告

2026年5月28日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。名古屋大学の大内田隼先生の司会により、専攻医による4例の症例提示と名古屋記念病院よりご講演がありました。

合同カンファレンス記録 (文責:片山雄二郎・横山弘樹)
日時:2026年月5月28日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 徳武克浩 先生

外傷性前脛骨筋腱断裂に対して長趾伸筋腱を用いた腱移植術にて治療した一例

愛知医療センター名古屋第一病院 野崎伸 先生

症例は19歳男性、建築会社に勤務しており特に既往歴を認めない。バイク走行中に自動車に追突して受傷。当院初診時に左下腿遠位前面部に挫創を認め、前脛骨筋腱移行部での断端を確認したため前脛骨筋腱断裂を疑ったが、脳挫傷による意識障害のため身体診察に限界があり診断は困難だった。

創外固定器を用い仮骨延長併用尺骨矯正骨切り術を施行した小児陳旧性橈骨頭脱臼3例

江南厚生病院 三宅駿兵 先生

小児陳旧性橈骨頭脱臼は、疼痛や肘関節可動域制限の原因となる疾患であり、これまで様々な手術方法が報告されている。プレート固定が主流であるが、術中に創外固定を併用した報告もみられる。一方、骨延長を併用し、術後にも創外固定を利用した報告は少ない。

濃化異骨症患者の下肢長管骨骨折に対する治療経験

名古屋大学医学部付属病院 須田燎平 先生

症例は23歳女性で、濃化異骨症の診断を受けていた。姉にも同疾患を認め、幼少期より複数回の骨折歴を有していた。16歳時、左脛骨骨幹部骨折を認めた。受傷1年ほど前に同部位不全骨折を認め、保存加療で一旦骨癒合を得ていたが、同部位で再骨折を来した。

下位腰椎骨粗鬆性椎体骨折の臨床的特徴と保存治療成績

国立長寿医療研究センター 魚見航平 先生

当センターでは、保存療法・疼痛管理・骨粗鬆症治療・リハビリテーションを含めた包括的保存治療を行い、低い手術率での治療を実践している。骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)は胸腰椎移行部に好発するとされる。報告では、胸腰椎移行部骨折が50%以上を占める一方、L4・L5などの下位腰椎OVFは14.4%と比較的少ない。

講演1 利き足が腰椎椎間関節変形をデザインする可能性

中部ろうさい病院 神原俊輔 先生

利き足と腰椎椎間関節変形との関連について検討した。脊椎変性疾患において、日常生活動作や身体使用の偏りが変性進行に影響する可能性に着目し、2023年5月から2024年1月までにミエログラフィーを施行した脊椎手術歴のない109例を対象に解析を行った。利き足は「ボールを蹴る足」、軸足は「階段を登る際や歩行開始時に先に出す足」として評価し、CTを用いて椎間関節変形を判定した。

講演2 Dynamic CT画像を用いた脊椎脊髄の評価

中部ろうさい病院 伊藤圭吾 先生

MRIのみでは説明困難な症例が日常診療で多数存在する。画像技術の進歩によりMPR-CTが発展し、被曝量も1995年頃と比較して約75%低減された。MPR-CTによって矢状断評価や動態評価が容易となり、従来レントゲン機能撮影に依存していた病態評価が、より詳細に可能となった。撮影時には専用マットやタオルを用いて前屈・後屈姿勢を保持して撮影を行っており、頚椎・腰椎それぞれで専用の撮影体位を工夫している。

受賞おめでとうございます

世木直喜先生 Spine Surgery and Related Research – Best Paper Award in 2025

此度、Spine Surgery and Related Research誌のBest Paper Awardを頂戴し、第55回日本脊椎脊髄病学会学術集会で表彰いただきました。ちょうど4年前に世に出た画像評価概念が多くの人に検証されながら様々な方向に発展しておることに感謝するとともに、今後もさらに学術的な興味を解決できる道具となることに期待して研究・実験を次の段階に進めております。ご指導くださる先生方、一緒に議論してくださる多くの先生方に感謝申し上げます。今後もどうぞよろしくお願い申し上げます。

世木直喜

Segi N, Nakashima H, Ito S, et al. Trabecular Bone Remodeling after Lateral Lumbar Interbody Fusion: Indirect Findings for Stress Transmission between Vertebrae after Spinal Fusion Surgery. Spine Surgery and Related Research 2025;9(1):51–60. https://doi.org/10.22603/ssrr.2024-0054

2026年4月 合同カンファレンス報告

2026年4月9日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。名古屋大学の大内田隼先生の司会により、専攻医による4例の症例提示と名古屋記念病院よりご講演がありました。

合同カンファレンス記録 (文責:斎藤雄馬・鏡味佑志朗)
日時:2026年月4月9日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 大内田隼 先生

脛骨コンポーネント沈下を契機に診断された人工膝関節周囲感染の一例

中京病院 嘉本邦生 先生

人工膝関節周囲感染(PJI)は人工膝関節再置換の主要な原因の一つであり、無菌性ゆるみとの鑑別がしばしば困難である。今回、脛骨コンポーネント沈下を契機に診断されたPJIの一例を経験したので報告する。76歳女性。2021年に右変形性膝関節症に対しTKAを施行した。2023年頃より右膝痛を自覚し、2025年に疼痛増悪を認めた。

踵骨アキレス腱付着部剥離骨折の治療経験

公立東濃中部医療センター 青木拓巳 先生

踵骨アキレス腱付着部剥離骨折は、骨片による軟部組織損傷やアキレス腱の牽引力による再転位のリスクが高く、再手術を要することも多い骨折である。当院では2020年から2025年の間に5件の手術症例を経験し、そのうち3症例で再手術を要した。そのうち過去の症例の反省点を活かして治療を計画し、良好な経過を得た症例を供覧する。

メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌と真菌による手指蜂窩織炎から毒素ショック症候群に至った一例

名古屋大学医学部附属病院 井上裕太 先生

症例は34歳女性。アトピー素因あり。右環指亀裂性湿疹に対して近医でステロイド含有軟膏が使用されたが腫脹や疼痛が増悪し、膿疱形成されたため当院紹介となった。蜂窩織炎と診断し、創部培養検査を行って抗生剤点滴治療を開始した。

ビスホスホネート製剤を投与中に発生した両側尺骨骨折の一例

浜松医療センター 佐藤圭太朗 先生

本症例は92歳女性。骨粗鬆症に対して長期にわたりビスホスホネート製剤を内服していた。軽微な外傷を契機に右尺骨骨幹部骨折を発症し、観血的整復内固定術を施行した。右側骨折は斜骨折を呈し、外傷性骨折として矛盾しない所見であり、術後は良好な骨癒合を得た。その2年後、明らかな外傷機転なく左尺骨骨幹部骨折を生じた。

講演1 軟骨肉腫の臨床像と治療

名古屋記念病院 小澤英史 先生

軟骨肉腫は骨原発性肉腫の20-30%で稀な疾患であり、四肢の発生が47%と言われている。通常型軟骨肉腫は、中心性(一次性、内軟骨腫からの二次性)、骨軟骨腫からの二次性、骨膜性軟骨肉腫に分類される。

講演2 病的骨折をきたした脛骨線維性異形成の検討

名古屋記念病院 正木咲綾 先生

OFD(骨線維性異形成)は小児期の脛骨や腓骨の皮質に後発する良性腫瘍であるが、病的骨折や変形をきたす症例では手術加療が必要になる。今回OFDによる病的骨折で手術加療を要した症例を報告する。

2026年4月10日 鶴舞整形外科エキスパートセミナーを開催しました

4月10日、中日ビルにおいて鶴舞整形外科エキスパートセミナーを開催いたしました。

まず江南厚生病院 整形外科 高山真央先生から、講演「当院における脊椎手術後感染例の検討」がありました。

講師には、福井大学医学部 器官制御医学講座整形外科学 教授 中嶋秀明先生をお招きし、「脊椎脊髄外科外来を嫌いにならないためにー痛みとしびれで詰まらない保存療法の実践ー」と題してご講演いただきました。中嶋先生には、ヘルニコアの使用方法から、脊椎疾患おける疼痛に対する薬剤選択、使用方法ついてご講演いただき、多くの知見を得ることができました。

多数の先生方にご参加いただき、誠にありがとうございました。

受賞おめでとうございます

斎藤雄馬先生 関節リウマチ患者におけるサルコペニア肥満の特徴―Fairy Study―(第146回中部日本整形外科災害外科学会)

このたび、第146回中部日本整形外科災害外科学会にて、「関節リウマチ患者におけるサルコペニア肥満の特徴―Fairy Study―」の演題で学会奨励賞を受賞いたしました。ご指導を賜りました鈴木先生をはじめ教官の先生方、ならびにFairy Studyレジストリの構築・運営にご尽力くださった先生方に、心より御礼申し上げます。今回の受賞を励みに、今後も臨床研究に一層励んでまいります。

斎藤雄馬

受賞おめでとうございます

松下雅樹先生 Originality Award優秀賞(第146回中部日本整形外科災害外科学会)

第146回中部日本整形外科災害外科学会で「軟骨無形成症に対する内服薬メクリジンの実用化に向けた基礎研究」がOriginality Award優秀賞を受賞しました。このようなトランスレーショナルリサーチは一人でできる研究ではなく、ご指導いただいた先生方や、共同研究施設の先生方、軟骨無形成症の研究に従事していただいた多くの大学院生のおかげです。これからも本研究を続けていきたいと思いますので、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

松下雅樹

2026年3月11日 名古屋整形外科セミナーを開催しました

3月11日、ミッドランドスクエアにおいて名古屋整形外科セミナーを開催いたしました。

まず刈谷豊田総合病院 整形外科 後藤有輝先生から、講演「PLIF後の固定隣接椎間障害」がありました。
PLIFでは術後中長期の合併症では隣接椎間障害が課題となる。PLIFと同時に頭側椎間にfenestrationまたは部分椎弓切除を行った症例を比較した。椎弓切除の方がfacet温存に優れるため隣接椎間障害の減少に寄与する可能性がある。

講師には、東北大学大学院医学系研究科 整形外科学分野 准教授 橋本功先生をお招きし、「腰曲がり遺伝子の探索~東北6大学多施設共同研究~/大学脊椎外科医、社長はじめました 神経原性疼痛治療薬の話題を交えて」と題してご講演いただきました。
はっきりした要因がなくとも、どうして腰が曲がるのか? 一塩基多型SNPは数百万あり(全塩基対は約30億)、血液型などもSNPの結果である。SNPを網羅的に解析するのがGWAS。多施設研究で検出したSNPに対し、研究中である。
PC使用時の姿勢管理のためのアプリ、背骨計を開発。リアルタイムな姿勢確認、姿勢不良を知らせる。学内ベンチャーはむしろ推奨されており、何らかの知的財産があれば大学が協力してくれる(代表権までがよい。経営権は他の人に任せる)。しかし通常臨床をしながらになるため、自分の時間を削る必要はある。起業は人生の新たな軸としての価値がある。

多数の先生方にご参加いただき、誠にありがとうございました。

2026年2月 合同カンファレンス報告

2026年2月19日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。名古屋大学の杉浦洋貴先生の司会により、専攻医による5例の症例提示と中京病院よりご講演がありました。

合同カンファレンス記録 (文責:清水景太・山田陽太郎)
日時:2026年月2月19日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 杉浦洋貴 先生

変形性股関節症を有する72歳女性に非定型大腿骨転子下骨折および骨幹部骨折を同時に発症した一例

中部労災病院 髙翔一朗 先生

症例は72歳女性で右発育性股関節形成不全由来の右変形性股関節症(股OA)、骨粗鬆症の既往歴があり6年程度アレンドロン酸の内服歴があった。絨毯で足を滑らせての単純転倒にて床に右大腿を打撲した。初診時の身体所見では右大腿の腫脹変形および自発痛・圧痛を認め、右股関節は内転位拘縮があり、右膝関節以遠に運動障害や感覚障害は認めなかった。

Dual Mobility Cupを用いた人工股関節全置換術後の脱臼について

中東遠総合医療センター 渥美元英 先生

Dual Mobility Cup(DMC)は脱臼抵抗性に優れるが、特有の合併症としてインナーヘッドが脱転するIntraprosthetic dislocation(IPD)がある。今回、DMCを用いたTHA後にIPDを来した2例を経験したため、その管理と注意点について報告する。

脛骨骨折骨接合に対する腰椎麻酔後に心停止となった1例

江南厚生病院 高山真央 先生

腰椎麻酔は一般的によく使用される麻酔方法である。その合併症は多様であるが、心停止に至ることもありその頻度は約45000例に1例との報告もある。今回我々は脛骨骨折骨接合に対して、腰椎麻酔施行後に心停止となった1例を報告する。

Van Neck–Odelberg病の3例

浜松医療センター 足立篤哉 先生

Van Neck–Odelberg病は小児の坐骨恥骨結合にみられる発育過程に伴う変化であり、股関節痛や跛行を契機に発見されることがある。その際、疲労骨折や感染、腫瘍などが鑑別となることがある。今回、当院で経験した3例を報告する。

大腿回旋動脈からの出血により術中IVRを要したTHAの1例

安城更生病院 伊藤大貴 先生

血管損傷は人工股関節全置換術(THA)における稀な合併症である。今回、後方アプローチTHAの術中に外側大腿回旋動脈損傷による大量出血を来たし、術中IVR(Interventional Radiology)により止血し得た1例を報告する。

講演1 Diabetic hand syndromeの治療・管理について

中京病院 浅野研一 先生

Diabetic hand syndrome(糖尿病手症候群)では、ばね指、手根管症候群、デュプイトラン拘縮を発症しやすいことが報告されている。Limited joint mobilityという概念があり、Prayer sign(祈り手サイン)などが特徴的である。

講演2 女医のトリセツ〜各種報告と私見から

中京病院 馬淵まりえ 先生

全国の女性医師の比率は24.4%である一方、中京病院は31.7%である。診療科でいうと循環器内科・外科以外の内科は女性医師がいる。整形外科は8人中3人である。初期研修医でも女性が増えている。来年度の初期研修医は13人中8人が女性で、女性研修医の進路として外科系が増えている。

2026年2月24日 名古屋整形外科セミナーを開催しました

2月24日、ミッドランドスクエアにおいて名古屋整形外科セミナーを開催いたしました。

まず国立長寿医療研究センター 整形外科 魚見航平先生から、講演「神経障害性疼痛とサルコペニア」がありました。

講師には、岩手医科大学医学部整形外科学講座教授の角谷 賢一朗先生 をお招きし、「脊椎転移の集学的治療~神経障害性疼痛治療薬の活用~」と題してご講演いただきました。角谷先生には、転移性脊椎腫瘍に対する豊富な手術症例に基づくエビデンスや神経障害性疼痛への向き合い方についてご講演いただき、多くの知見を得ることができました。当日は多数の先生方にご参加いただき、誠にありがとうございました。