2025年8月19日 Nagoya Orthopaedics Expert Seminarを開催しました

2025年8月19日、Nagoya Orthopaedics Expert Seminarを開催しました。

まず豊田厚生病院 整形外科 藤井論先生先生から、講演「脊椎手術での自己血輸血の活用について」がありました。
側弯症手術は出血が多くなる傾向にあるが、同種血輸血には一定のリスクがある。対策は適切な休薬、自己血輸血、術中体温管理、腹圧の低減、術中回収血、止血用バイポーラを用いた複数人での手術施行、自己フィブリン糊を含む各種止血剤の活用などがある。

特別講演に弘前大学大学院医学研究科 整形外科学講座 准教授 和田簡一郎先生先生をお招きし、「脊椎外傷の予防につなげる一般住民調査と疼痛診療」をご講演いただきました。
農業就労中の外傷は高齢者の受傷が多く、りんご栽培も例外ではない。農作業事故の傾向としては、スプレーヤーなどの機械と樹木・枝に挟まれる、脚立からの転落など。人、物、環境のミスマッチが原因で、予防が大切である。岩木健康増進プロジェクトは約10,000人の地域での観察研究。農業従事者では無症候性の頚椎脊柱管狭窄有病率が高い傾向にあるなど、注意を要する。リンゴ畑での頭部打撲が多い。また、脊椎外傷で問題となるDISH、さらにEarly phase DISHは年齢とともに増加し、DISH脊椎外傷発生予防は未解決課題。DISHが転倒を特に増加させるわけではなかったが、EDISHも含め50歳以上を対象とした啓発活動を検討。物、環境の改善も重要である。

たくさんの方にご参加いただき誠にありがとうございました。

受賞おめでとうございます

本学や関連病院の先生方が賞を頂きました。おめでとうございます。

腫瘍班 酒井智久先生 Best Presentation Award(第58回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会)

この度、2025年7月に奈良コンベンションセンターで開催されました第58回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会で、「病的骨折が大腿骨転移性骨腫瘍患者に与える影響の調査―東海骨軟部腫瘍コンソーシアム多機関研究―」がBest Presentation Awardを頂きました。
平素よりご指導賜っております諸先生方並びに共同研究機関の皆様に厚く御礼申し上げます。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

名古屋大学整形外科 酒井智久

受賞おめでとうございます

本学や関連病院の先生方が賞を頂きました。おめでとうございます。

股関節班 浅井寛之先生 Poster walk special mention(26th EFORT Congress)

このたび、2025年6月11日から13日までフランスのリヨンで開催された26th EFORT Annual Congressにてbest poster presentationとして表彰していただきました。大澤先生をはじめとする先輩方のご指導に感謝いたします。今後とも論文作成、学会発表ともに邁進していきますので、ご指導のほどよろしくお願いいたします。

名古屋大学整形外科 浅井寛之

2025年7月 合同カンファレンス報告

2025年7月10日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。名古屋大学の酒井智久先生の司会により、専攻医による3例の症例提示と大同病院よりご講演がありました。

合同カンファレンス記録 (文責:成瀬啓太・長田直祥)
日時:2025年7月10日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 酒井智久 先生

下腿切断を施行したが救命困難であったVibrio vulnificusによる壊死性筋膜炎の一例

刈谷豊田総合病院 葛西剛史 先生

症例はADL全自立の70代男性。肺癌、食道癌、胃癌の既往はあるが全て寛解しており肝機能障害を認めなかった。X-1日家族で夕食中から左下肢の疼痛の訴えがあった。翌朝より左下肢の色調変化と発熱を認め近医を受診。血圧低下や腎機能の低下を認め手術目的に当院搬送となった。

ネコ咬傷後に生じたPasteurella multocida感染症による手背の重症軟部組織感染症・皮膚潰瘍に対して前外側大腿遊離皮弁術を行い治療した一例

東農厚生病院 宮川昂己 先生

症例は66歳男性。自宅で飼育していたネコに右母指を咬まれ、受傷15時間後に発熱と手背腫脹を主訴に救急搬送された。蜂窩織炎の診断で救急科に入院となり、入院時よりSBT/ABPCにて抗菌薬治療を開始した。入院2日目にはショックバイタルを呈し、敗血症性ショックと診断されICU管理となった。

上前腸骨棘裂離骨折に対し観血的治療を行った一例

名古屋大学医学部付属病院 若山貴洋 先生

上前腸骨棘裂離骨折は股関節骨盤外傷の中で思春期に好発する比較的稀な外傷である。従来は保存療法が行われることが多いが、早期スポーツ復帰を目指し、観血的治療を行い、良好な転機を得た一例を経験したので報告する。

講演1 当院医おける大腿骨近位部骨折に対する治療と骨粗鬆症治療への取り組み

大同病院 佐野敦郎 先生

大腿骨近位部骨折の治療には手術療法と保存療法がある。手術療法としてはTHA(人工股関節全置換術)を含む手術が選択されることが多く、特に活動性の高い大腿骨頸部骨折で麻酔リスクが低い患者には、ガイドライン上でも手術が推奨されている。近年は骨粗鬆症(OP)による大腿骨近位部骨折も年々増加している。

講演2 橈骨遠位端骨折の治療選択

大同病院 篠原孝明 先生

大同病院の橈骨遠位端骨折(DRF)治療に関して紹介する。XpでDRFと診断した場合、まず伝達麻酔を行い、透視下で骨折の徒手整復を実施する。その後、骨折およびDRUJ(遠位橈尺関節)の不安定性を評価し、健側のXpも撮影する。整復後は必ずCT撮影を行い、その結果をもとに治療方針(ギプス固定、ピンニング、プレート固定、創外固定など)を検討する。

2025年6月26日 Nagoya Orthopaedics Expert Seminarを開催しました

2025年6月26日、Nagoya Orthopaedics Expert Seminarを開催しました。

まず長野赤十字病院 整形外科 部長 小清水宏行先生から、講演「頚椎~骨盤外傷と向き合う」がありました。
頚椎スクリューではPSが強度が高いが挿入時の安全性に劣る。患者適合型ガイドは導入コストが低いが、緊急手術には使えない。Long LMSはよい選択肢である。
胸腰椎骨折に対しては、近年シャンツスクリューのように矯正力が掛けられるPPSシステムがある。Motion segmentが残せて低侵襲に実施可能。
骨盤輪骨折では、脆弱性骨盤骨折の増加、高エネルギー外傷に対する低侵襲手術などの特徴がある。ASIFは外側大腿皮神経障害などの欠点はあるが早期離床を狙える。

特別講演に佐賀大学医学部 整形外科 教授 森本忠嗣先生をお招きし、「当科におけるHip-spine syndromeの臨床検討と神経障害性疼痛治療」を御講演頂きました。
Primary THAの誤診・診断遅延は5%、その90%以上は腰椎疾患と診断されていた。主訴バイアスに注意。変形性股関節症患者は20~30%腰椎すべり症を認める。
骨盤の形態、脊椎の形態は関連する。亜脱臼股ではPIが増大する、仙腸関節の形態とも関連など。PIの変化も検討する。
腰椎、股関節両方を診察し、見逃しを防ぐ。Patrick signに注意する、腰椎レントゲンに股関節まで写すなど。
佐賀大学整形外科での道のり、team buildingについてもたくさんお話しくださいました。優れた人材の確保は最重要事項。

沢山の参加者の方にご参加頂き誠にありがとうございました。

2025年6月 合同カンファレンス報告

2025年6月19日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。名古屋大学の船橋洋人先生の司会により、専攻医による3例の症例提示と名城病院よりご講演がありました。

合同カンファレンス記録 (文責:鏡味佑志朗・斎藤雄馬)
日時:2025年6月19日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 船橋洋人 先生

外傷後の遅発性血胸の2例

豊橋市民病院 西野入賢 先生

胸部外傷における受傷早期の血胸は一般的だが、受傷後24時間以降に起きる遅発性血胸の頻度は稀であり、致死的になりうる。今回我々は、胸部外傷後に遅発性血胸を生じた2例を経験したため報告する。

中足部骨欠損を伴ったMangled Footの1例

長野赤十字病院 児玉敏宏 先生

Mangled Footの治療原則はAcceptable Foot(歩行時に疼痛のない)を目標とした解剖学的骨再建と軟部組織再建である。症例は50代男性、仕事中に左足部へ約1トンの荷物が落下し受傷。足背動脈損傷,前脛骨筋腱断裂,中間楔状骨を中心としたLisfranc関節開放性脱臼骨折と舟状骨の体外脱転を認めた。

壊死性筋膜炎の抗菌薬治療中に発症した紫斑性皮疹に対し薬疹とIgA血管炎との鑑別を要した1例

知多半島総合医療センター 大口陽平 先生

壊死性筋膜炎に対して抗菌薬治療を行っていた患者に、薬疹と鑑別を要する全身性の皮疹を認めた1例を経験した。

講演1 胸腰椎・腰椎思春期特発性側弯症に対する選択的腰椎固定術の適応と限界

名城病院 町野正明 先生

特発性側弯症の治療においては早期発見が極めて重要であり、学校検診などで用いられる前屈テストが広く知られている。特にrib hump(肋骨隆起)は主弯曲の部位によって出現が異なるため、ウエストラインの左右差を評価することも有用である。

講演2 私の失敗100選

名城病院 小原徹哉 先生

2003年に名城病院へ赴任し22年経過したが、印象に残っているのは、成功した症例ではなく、うまくいかなかった症例であった。今後の脊椎外科を目指す医師のためにも失敗例を共有することが大切であり、今後同様の落とし穴にはまらないようしてもらえたらと考える。失敗を防ぐために、術前の十分な準備期間、そのためのトータルの仕事量の調整、術者、患者、コメディカルのコミュニケーションの問題、各外科医の基本ペースがそれぞれ異なることを理解する。緊張と弛緩のバランスや手術のペース配分といった点が大切である。

2025年6月21日 第51回研究報告会を開催しました

6月21日(土)、第51回名古屋大学整形外科・手の外科研究報告会を開催しました。

9つの大学院生の先生方による研究報告があり、学位論文に向けて活発な議論が行われました。

2025年6月15日 研修医向け整形外科セミナーを開催しました

6月15日(日)、名古屋大学整形外科主催で「研修医向け整形外科セミナー」を開催しました。

本セミナーでは、まず研修医の先生方が救急外来での診療時に役立つ内容として、「見逃しやすい骨折の診断」および「創の縫合と管理の基本」に関する講演を行いました。続いて、「人工骨頭置換術」「人工膝関節置換術」「関節鏡視下手術」「プレートによる骨接合」「ヒップネイル」についての実技ワークショップを実施しました。

ワークショップでは、模擬骨を用いて実際の手技を体験していただき、整形外科への関心を深めてもらう良い機会となりました。

当日は関連病院の研修医を中心に17名の方にご参加いただき、盛況のうちに終了いたしました。ご参加くださった皆様、ご協力いただいた先生方、また後援いただいた名整会に心より感謝申し上げます。

2025年6月15日 第四回名古屋大学スポーツ整形外科セミナーを開催しました

2025年6月15日、名古屋大学・鶴友会館にて「第四回スポーツ整形外科セミナー」を開催いたしました。
今回は、スポーツドクターによる講演とアスリートによる特別講演の二部構成で、医療とスポーツの現場を多角的な視点から紹介する内容となりました。

第一部では、やまが整形外科 院長であり、Jリーグ・FC岐阜のチームドクターとしてもご活躍の山賀篤 先生にご登壇いただきました。
スポーツドクターを目指すまでの道のりや、実際の業務内容、医療とスポーツ現場をつなぐ立場としての経験について、臨場感あふれるエピソードとともにご紹介いただきました。

第二部では、特別講演として、元サッカー日本代表であり、名古屋グランパスやセレッソ大阪などで活躍された柿谷曜一朗氏をお迎えしました。
事前に寄せられた質問をもとに、
– サッカー選手とケガ
– サッカーとメディカル
– サッカー、人生
– 名古屋グランパス
という4つのテーマに沿って、選手としての裏話やメディカル・トレーナーとの印象的なエピソードを交えながら、率直かつ温かみのある語り口でお話しいただきました。
実体験に裏打ちされた内容は、将来スポーツ医学に関わることを志す参加者にとって、大いに参考となるものでした。

当日は終始あたたかく、活気ある雰囲気に包まれ、非常に満足度の高いセミナーとなりました。
今後も本セミナーでは、スポーツと医療をつなぐ実践的な学びと交流の場を提供し続けてまいります。

2025年5月 合同カンファレンス報告

2025年5月15日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。名古屋大学の大内田隼先生の司会により、専攻医による4例の症例提示と中津川市民病院よりご講演がありました。

合同カンファレンス記録 (文責:清水景太・長谷康弘)
日時:2025年5月15日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 大内田隼 先生

症例1 脊椎手術中の頭蓋骨骨折を契機に診断された多発性骨髄腫の1例

総合上飯田第一病院 岩永康介 先生

症例は77歳男性。歩行障害と巧緻運動障害を主訴に頚椎症性脊髄症と診断され、椎弓形成術を予定された。手術時、クランプ式頭蓋固定器による固定時に愛護的操作にもかかわらずヘッドピンの過剰な刺入と固定力低下があり、マスク型固定へ変更し手術を施行した。

症例2 肺癌の転移性脊椎腫瘍を疑ったが結核性脊椎炎だった1例

豊田厚生病院 田島美咲 先生

結核性脊椎炎は全結核患者の約5%に発症すると言われている。結核菌は椎体終板に血行性感染し、前方の骨皮質に浸潤する為、初期の椎間板腔は保たれると報告されている。今回、肺癌の転移性脊椎腫瘍を疑い、胸椎後方徐圧固定術を施工したが、結核性脊椎炎であった一例を経験したので報告する。

症例3 当院のCarpenter法の治療経験ー従来のサークラージコンプレッションワイヤリングとCarpenter法との比較ー

岐阜県立多治見病院 富田剛之將 先生

膝蓋骨骨折は全骨折の約1%を占め、その多くは立位からの転倒により発生する。従来はKirschner鋼線を用いたサークラージコンプレッションワイヤリング(CCW)が標準術式であったが、近年当院ではCCS固定をもちいたCarpenter法による骨接合をおこなっている。本研究では、当院におけるCCWとCCS(カニューレスクリュー)2本にワイヤーを通す“Carpenter法”との臨床成績を後ろ向きに検討した。

症例4 大腿骨骨幹部骨折に対する鋼線牽引の際のピン刺入が原因となったHeat necrosisの1例

名古屋大学病院 加藤健太郎 先生

症例は16歳男性で特記すべき既往歴認めない。ハンドボール中のジャンプ着地動作にて、右大腿骨骨幹部骨折を受傷した。同日中に近位脛骨に鋼線牽引を施行したが、皮質骨が硬く、Kワイヤーの刺入に1分以上を要した。

講演 中津川市民病院の現状

中津川市民病院 丸山浩司 先生

中津川市は、人口74532人(2024年1月1日)で65歳以上の高齢者率が33.5%(全国平均29.3%)。平成17年に合併し岐阜県で6番目の面積となった。周辺に大病院がない環境であり、3次救急は県立多治見病院に搬送しているが、中津川市民病院から救急車で45分程度かかる。病床数は316床だが、看護師不足のため、実稼働266床である。整形外科常勤は5人ではあるが、非常勤の先生にも来ていただいており手術申込数は近年増加中で1年1000件程度である。