2025年1月21日、名古屋大学医学部附属病院 基礎研究棟にて名古屋整形外科セミナーを開催しました。
講師には福島県立医科大学医学部 整形外科学講座主任教授 松本 嘉寛先生をお招きし、「Biologyの視点から考える整形外科疾患の診断と治療」を御講演頂きました。
脊椎脊髄外科専門医と骨軟部腫瘍専門医のダブルライセンスである松本先生の広い視点から、基礎から臨床に渡るご講演を頂き、大変深い知見を得ることができました。
沢山の参加者の方にご参加頂き誠にありがとうございました。
2024年12月17日 名古屋整形外科セミナーを開催しました
2024年12月17日、「名古屋整形外科セミナー」がMIDLAND HALLにてハイブリッド形式で開催されました。本セミナーでは、整形外科領域における最新の知見を共有するため、2つの講演が行われました。
まず、同門の重工大須病院 関節鏡センターの川村佑介先生より、「当院における変形性膝関節症の治療方針と膝周囲骨切り術について」と題した講演が行われ、膝関節疾患に対する治療戦略についてご講演いただきました。
続いて、埼玉医科大学総合医療センター 整形外科の乾洋教授による特別講演「術後疼痛症例から学ぶ理想的な人工膝関節手術 ~基本に忠実に、かつ時代に取り残されないように~」が行われました。術後疼痛の原因とその対策、最新の人工膝関節手術のアプローチについて、貴重な知見を共有していただきました。
当日は会場・オンラインともに多くの参加者が集まり、活発な意見交換が行われました。本セミナーを通じて、膝関節治療のさらなる発展につながる有意義な時間となりました。
受賞おめでとうございます
本学や関連病院の先生方が賞を頂きました。おめでとうございます。
股関節班 船橋洋人先生 若手研究者奨励賞(第55回日本人工関節学会)
この度、第55回日本人工関節学会において第4回若手研究者奨励賞を受賞いたしました。本受賞に際し、名古屋大学の多くの先生方にご協力いただきましたこと、心より感謝申し上げます。特に、股関節班の竹上先生、大澤先生には熱心にご指導いただき、そのお力添えの賜物と存じます。今後も、この賞に恥じぬよう、臨床・研究に一層精進してまいります。
名古屋大学整形外科 船橋洋人
Global Spine Journal – Best Paper Award 2024
この度、Best Paper Award 2024を受賞しました。筆頭著者としてお礼申し上げます。この名誉は、JASA(Japan Association of Spine surgeons with Ambition)の多施設研究に携わられたたくさんの先生方全員のものであります。日本からの多施設研究が注目に値すると認めてもらえてとてもうれしく感じます。人数が多いために全員の名前が載らないことだけが残念です。引き続きよろしくお願いいたします。
名古屋大学整形外科 世木直喜
2025年1月14日 名古屋整形外科セミナーを開催しました
2025年1月14日に名古屋整形外科セミナーを開催しました。
一般講演として「スポーツ復帰を早める工夫 ー膝疾患を中心にー」と題して、総合上飯田第一病院スポーツ・関節鏡センター長 小田智之先生には、日ごろ病院やスポーツ現場で行っている、スポーツに関連する膝の治療、それに対する取り組みについてご講演していただきました。
特別講演として「人工関節に(できるだけ)頼らない変形性膝関節症 に対する神経障害性疼痛コントロール」と題して、大阪医科薬科大学医学部整形外科学教室 教授 大槻周平先生にご講演をいただきました。変形性膝関節症に対する保存療法、手術療法、大学での取り組みなどをわかりやすくご解説頂きました。印象的であったのは、脛骨遠位粗面下骨切り術におけるヒンジフラクチャーなどの注意点やその対策のための工夫についてのお話でした。特に筋交いスクリューと称された方法は、非侵襲的かつ簡易的に固定力増強が可能と考えられ、明日からの私たちの治療に取り入れることができるよい手法だと、非常に感銘を受けました。
現地、Web共に多くの先生方にご参加いただき誠にありがとうございました。
2024年12月3日 名古屋整形外科セミナーを開催しました
2024年12月3日 「名古屋整形外科セミナー」 が開催されましたのでご報告申し上げます。
演者:三重大学医学部 整形外科学 教授 長谷川 正裕 先生
演題:「変形性股・膝関節症と神経障害性疼痛」
長谷川先生には、変形性股関節症や変形性膝関節症(OA)を中心に、神経障害性疼痛の病態や診断、治療方針に関する最新の知見を示していただきました。特に、TKA(人工膝関節置換術)と神経障害性疼痛の関係、またロボット支援手術とマニュアル手術との比較研究を含む最先端の研究成果が紹介され、大変興味深い内容となりました。
さらに、住民検診における股・膝関節OAの実態調査や、hip-spine症候群へのアプローチ、ナビゲーションシステムを併用した手術やロボット手術など、多岐にわたるトピックスをわかりやすく解説いただきました。長谷川先生ご自身ならびに同門の先生方が蓄積してこられたエビデンスをもとにした具体的なデータは、関節専門医のみならず、オンラインで参加された専門外の先生方にとっても大いに参考となるものでした。
ポータブルナビやCTベースのナビゲーションシステムにおける安全性・教育的意義に関する取り組みや、将来的なHoloナビ開発の展望など、手術手技の発展と安全管理を両立させるうえで重要な視点も示され、大変有意義なご講演となりました。
2025年2月27日 名古屋整形外科セミナーを開催しました
2025年2月27日(木)に名古屋整形外科セミナーを開催しました。
一般講演
『骨軟部感染症治療update CLAPのevidenceとexperience』
愛知医科大学 整形外科 講師 藤原祐樹先生
CLAPは骨軟部感染症に対して有用な治療法であるが、臨床研究の難しさがゆえにevidenceが不十分であるという問題点をご指摘いただきました。またご自身のCLAP症例100例の解析から、有効性と安全性(特に高齢者では抗菌薬による急性腎障害に注意)をお示しいただきました。
特別講演
『第1部:疼痛発生からみた脆弱性骨盤骨折の診断と治療
第2部:東京における大学病院での外傷センター設立と現状』
帝京大学医学部整形外科学講座/帝京大学医学部附属病院外傷センター 教授 鈴木卓先生
脆弱性骨盤骨折の診断と治療について、豊富な症例とともに分かりやすく解説していただきました。鼡径部痛や下肢の疼痛、しびれを訴える高齢者では、必要に応じてCTやMRI検査を行い、腰椎、股関節だけではなく骨盤も評価することが大切です。脆弱性骨盤骨折に対してはまず保存的治療を行い、1~2週間の床上安静でも症状が強い場合は再度画像評価を行い手術も検討します。また、帝京大学外傷センターの立ち上げから日本有数の施設になるまでのご苦労と現状についてご紹介いただきました。
整形外科だけではなく救急科からも沢山の先生方にご参加いただき、誠にありがとうございました。
末筆ではございますが、名古屋大学の卒業生である鈴木先生の益々のご活躍をお祈り申し上げます。
2025年2月 合同カンファレンス報告
2025年2月13日(木)、合同カンファレンスをweb開催しました。
合同カンファレンス記録 (文責:杉浦喬也・吉田和樹)
日時:2025年2月13日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 世木直喜 先生
症例1 若年者における結核性骨髄炎に対して抗菌薬含有骨セメント(ALAC)を使用し奏功した一例
中東遠総合医療センター 北澤謙太朗 先生
症例はアトピー性皮膚炎の既往を持つ21歳日本人男性。父が2016年に肺結核として診断され、接触者検診で患者本人の陰性が確認されていた。
症例2 隣接椎間の除圧様式がPLIF後の固定隣接椎間障害に及ぼす影響
刈谷豊田総合病院 後藤有輝 先生
腰椎後方椎体間固定術(以下PLIF)の隣接椎間の狭窄に対する追加除圧様式に関して一定の見解は得られていない。本研究の目的は1椎間PLIFを行う際の上位隣接椎間の除圧の有無、および除圧様式が固定隣接椎間障害(以下ASD)の発生に与える影響を明らかにすることである。
症例3 末期変形性股関節症に合併した大腿骨近位部骨折の治療戦略
名古屋大学医学部附属病院 高橋伸平 先生
末期変形性股関節症に合併した大腿骨近位部骨折は比較的稀であり、その治療として一期的人工股関節全置換術(THA)を行うか、骨接合を行うかについては明確なコンセンサスが存在しない。
講演1 当院の椎体形成術と外視鏡の紹介
刈谷豊田総合病院 両角正義 先生
刈谷豊田総合病院は737床の刈谷市とトヨタグループの病院で、若手の代謝が激しい病院である。手術件数は年2000件前後、病院全体の3割が整形外科手術である。脊椎外科は400件程度、5年目以下の若手の執刀も100件程度と増えており、若手の脊椎関連の学会発表も積極的に行っている。椎体形成術BKPは2012年に開始以降、近年は年100件程度、累計900件以上行っている。
講演2 AMIS-THAという選択肢 〜お一人様THAのすゝめ〜
刈谷豊田総合病院 舟橋康治 先生
人工関節手術は全国的に増加している。当院においてもTHAの手術数は増加しており近年ではAMIS―THAを行っている。優位性としては入院期間やリハビリ期間の短縮・組織のダメージが少ない。出血もほとんどなく二時間程度で手術を行えており組織温存もできるため脱臼リスクも少ない 皮切は8cm程度であり低侵襲である。
2025年2月20日 名古屋整形外科セミナーを開催しました
2024年12月13日、名古屋整形外科セミナーを開催しました。
まず、江南厚生病院 整形外科 大山博己先生先生から、講演「骨粗鬆症性椎体骨折に対する治療戦略とその長期成績」がありました。
経皮的椎体形成が適応できない症例では前後合併手術を考慮しているが、手術侵襲が問題になる場合は椎体形成と後方固定を組み合わせた手術を行っている。前後合併手術では、間接除圧も可能である。骨セメント補強スクリューは粗鬆骨でも固定性の向上が期待できるが、セメント漏出が問題となることがある。
そして特別講演講師に福島県立医科大学医学部 整形外科学講座 准教授 二階堂琢也先生をお招きし、ご講演「腰部脊柱管狭窄症の診断と治療―新たなエビデンス:MiroTAS試験も含めて―」を賜りました。
日本の腰部脊柱管狭窄(症)の有病割合は5.7%以上である。治療アウトカムの向上のためには、入院による歩行負荷試験、立位伸展負荷試験と、精神医学的評価が重要。歩行負荷試験は10分くらい一緒に歩き、症状の変化を観察する。歩行によってより上位の症状が出現することが確認できる症例や、腱反射が変化する症例もある。精神医学的評価はBS-POP(特に治療者用)を活用し、特に神経根型では手術適応も含め検討する。BS-POPの結果は患者満足度にも影響する。また、脊椎疾患に特化したSpine PainDETECTを開発。膝関節内側部の痛みのうち腰部神経根症は6%存在し、殿部痛のうち股関節障害が含まれていることもあり、これらの弁別にSpine PainDETECTが有用である。心理社会的疼痛は修飾子で、近年痛覚変調性疼痛が注目されている。現行ガイドラインではガバペンチンのエビデンスは少ないが、腰部脊柱管狭窄に対しNSAIDsにミロガバリンを上乗せする効果をRCTで実証した。
多数の先生方にご参加いただきましたことに深謝申し上げます。
2025年1月28日 名古屋整形外科セミナーを開催しました
2025年1月28日に名古屋整形外科セミナーを開催しました。
講師には聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 病院長 原口 直樹先生をお招きし、「変形性足関節症に対する関節温存手術 ~神経障害性疼痛診療~」と題してご講演を賜りました。
変形性足関節症を考える上での下肢アライメントの重要性、また関節温存手術についてわかりやすくご解説いただきました。また日常診療でも活用できるレントゲン撮影方法を用いて、膝関節や股関節への影響についてもお示ししていただき、今後の診療に役立つ貴重な御講演でした。沢山の方にご参加いただき誠にありがとうございました。
2025年1月22日 名古屋整形外科セミナーを開催しました
2025年1月22日、名古屋整形外科セミナーを開催しました。
まず、中東遠総合医療センター 整形外科 医長 大島和馬先生から、講演「地域住民におけるびまん性特発性脊椎骨増殖症(DISH)の特徴」がありました。
DISHは1976年に定義された脊椎の強直をきたす病態で、軽微な転倒でも偽関節や脊髄損傷のリスクとなるほか、粗鬆骨であることも問題である。地域住民検診でDISHの特徴を調査した。DISHは高齢、男性、BMI高値が関連し、QOLの低下との関連があったほか、男性ではDISHとロコモの関連も認められた。
特別講演講師に大阪公立大学大学院医学研究科 整形外科学 教授 寺井秀富先生をお招きし、ご講演「脊椎疾患に伴う疼痛と手術治療戦略」を賜りました。
脊椎疾患の治療対象は、痛み、機能、形状である。痛みに着目すると、疾患によっては侵害受容性、神経障害性、痛覚変調性疼痛にまたがっている。骨粗鬆症性椎体骨折では、様々な病態があるためそれぞれに対する手術治療も様々存在する。まずは椎体形成術単独の適応を考え、順に検討する。前方固定は開創器の改良などによって近年手術侵襲が低減した。Revisionにimpaction bone graftingを応用する工夫も行っている。頚椎症性神経根症は典型的な神経障害性疼痛で、投薬はガイドラインを参考に行う。頚椎は腰椎と異なって椎間孔部に黄色靱帯が存在せず、手術時は注意が必要である。腰部脊柱管狭窄症では、静的圧迫×動的圧迫+炎症の結果が神経障害となると考えるとわかりやすく、静的圧迫または動的圧迫ゼロを目指す。BESS/UBEは視野がよく、また椎間関節温存に優れ、良好な成績が得られる。疼痛の原因を知って、必要最小限の手術を行うことが重要である。
多数の先生方にご参加いただきましたことに深謝申し上げます。