2025年4月 合同カンファレンス報告

2025年4月10日(木)、合同カンファレンスをweb開催しましたので、ご報告いたします。名古屋大学の坂口健史先生の司会により、専攻医による3例の症例提示と東農厚生病院よりご講演がありました。

合同カンファレンス記録 (文責:斎藤祐樹・片山雄二郎)
日時:2025年4月10日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 坂口健史 先生

症例1 バイルベアリングTKA術後のSpinoutによる脛骨後方脱臼に対し、脊麻下で徒手整復が得られた一例

中部労災病院 朴井秀亜 先生

症例は62歳女性で3ヶ月前に右TKA施行している。ベッドから起床動作時に右膝痛を発症し、以後膝関節腫脹・屈曲拘縮あるため当院救急外来を受診した。レントゲン・CT検査の結果、モバイルベアリングのSpinoutによる脛骨後方脱臼と診断した。

症例2 骨折を伴わない肩関節脱臼に動脈損傷を合併した1例

中部労災病院 整形外科 金子京平 先生

症例は81歳女性で既往に大動脈弁狭窄症があり、ワルファリン,アスピリンを内服していた。右肩を下にして転倒して受傷し,右肩関節痛を訴え,同日受診した.初診時、レントゲン検査にて右肩関節前方脱臼の診断となり,FARES法にて,無麻酔下で,3回目で整復に成功した.

症例3 診断に難渋し生検術にて確定診断を行った神経根腫瘍の1例

安城更生病院 佐藤香織 先生

症例は83歳女性、左足趾の感覚鈍麻が出現、徐々に膝まで拡大し左下垂足・歩行障害が出現となり当院紹介となった。当院初診時の身体所見では左大腿外側~下腿外側に疼痛あり、左下肢筋力低下を認めた。

講演1  膝伸展機構損傷

東農厚生病院 大間知孝顕 先生

東農厚生病院での過去13年における膝伸展機構損傷の症例を報告する。症例1は20歳男性で単車自損事故にて左膝部を受傷した。症例2は56歳の男性で転倒し左膝部を受傷し、当院へ再紹介となった。画像所見で明らかに膝蓋骨高位を認め、MRIでは膝蓋靭帯断裂を認めた。症例3は26歳の男性でサーフボードの角で打撲し、疼痛によるスポーツが困難なため、当院紹介となった。

講演2 膝の痛みと静脈瘤

東農厚生病院 岸本烈純 先生

先行研究で静脈瘤の有病率は膝関節症で高いことが明らかになっている。静脈瘤の治療後に膝関節痛の改善があるなど少数で報告されている。今回の研究では97例の膝OA患者の静脈瘤有病率を評価し、年齢を問わず60%以上の有病率を認め、膝OAをもつ女性の有病率67%であった。

ご挨拶 若尾典充

名整会会員各位

謹啓

今年も桜の花が満開になりつつあります。
名整会会員の皆様におかれましては御清栄のこととお慶び申し上げます。

このたび 令和7年4月1日付にて愛知医科大学整形外科学教室の特任教授に就任いたしました。
これまでのご指導に心から感謝申し上げます。

時代の移り変わりを日々肌で感じておりますが、これから整形外科を志す若い医師をいかに成功に導くことができるかを最大のテーマに日々生きて参ります。
肩の力を抜いて、人が集まってくるような空気を高橋教授とともに醸し出していきたいと思います。
今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう 何卒よろしくお願い申し上げます
略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます

謹白

令和7年4月2日 愛知医科大学整形外科 若尾典充

ご挨拶 竹上靖彦

名整会会員各位

私儀

このたび令和7年4月1日付で名古屋大学大学院医学系研究科総合保健学専攻バイオメディカルイメージング情報科学 教授に就任することになりました竹上靖彦です。これまで長きにわたり名整会の諸先生方には温かいご指導を賜り、心より感謝申し上げます。

新たな職務におきましては、東郷町検診や八雲健診などの住民健診事業を通じた健康寿命の延伸に関する研究に取り組んでまいる所存でございます。特にAIシステムを活用した早期疾患検出や予防医学の発展に注力するとともに、将来の医療を担う理学療法専攻学生の教育にも力を尽くしてまいります。

整形外科での臨床経験を礎としながら、予防医学と健康科学の分野における新たな知見の創出と人材育成に励む所存でございます。引き続き医学部医学科との学術的交流を大切にし、地域住民の健康増進に貢献できる研究を進めてまいりたいと存じます。 浅学非才の身ではございますが、これまで賜りましたご厚情にお応えできますよう精進してまいります。今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

竹上靖彦

2025年1月21日 名古屋整形外科セミナーを開催しました

2025年1月21日、名古屋大学医学部附属病院 基礎研究棟にて名古屋整形外科セミナーを開催しました。
講師には福島県立医科大学医学部 整形外科学講座主任教授 松本 嘉寛先生をお招きし、「Biologyの視点から考える整形外科疾患の診断と治療」を御講演頂きました。
脊椎脊髄外科専門医と骨軟部腫瘍専門医のダブルライセンスである松本先生の広い視点から、基礎から臨床に渡るご講演を頂き、大変深い知見を得ることができました。
沢山の参加者の方にご参加頂き誠にありがとうございました。

2024年12月17日 名古屋整形外科セミナーを開催しました

2024年12月17日、「名古屋整形外科セミナー」がMIDLAND HALLにてハイブリッド形式で開催されました。本セミナーでは、整形外科領域における最新の知見を共有するため、2つの講演が行われました。

まず、同門の重工大須病院 関節鏡センターの川村佑介先生より、「当院における変形性膝関節症の治療方針と膝周囲骨切り術について」と題した講演が行われ、膝関節疾患に対する治療戦略についてご講演いただきました。

続いて、埼玉医科大学総合医療センター 整形外科の乾洋教授による特別講演「術後疼痛症例から学ぶ理想的な人工膝関節手術 ~基本に忠実に、かつ時代に取り残されないように~」が行われました。術後疼痛の原因とその対策、最新の人工膝関節手術のアプローチについて、貴重な知見を共有していただきました。

当日は会場・オンラインともに多くの参加者が集まり、活発な意見交換が行われました。本セミナーを通じて、膝関節治療のさらなる発展につながる有意義な時間となりました。

受賞おめでとうございます

本学や関連病院の先生方が賞を頂きました。おめでとうございます。

股関節班 船橋洋人先生 若手研究者奨励賞(第55回日本人工関節学会)

この度、第55回日本人工関節学会において第4回若手研究者奨励賞を受賞いたしました。本受賞に際し、名古屋大学の多くの先生方にご協力いただきましたこと、心より感謝申し上げます。特に、股関節班の竹上先生、大澤先生には熱心にご指導いただき、そのお力添えの賜物と存じます。今後も、この賞に恥じぬよう、臨床・研究に一層精進してまいります。

名古屋大学整形外科 船橋洋人

Global Spine Journal – Best Paper Award 2024

この度、Best Paper Award 2024を受賞しました。筆頭著者としてお礼申し上げます。この名誉は、JASA(Japan Association of Spine surgeons with Ambition)の多施設研究に携わられたたくさんの先生方全員のものであります。日本からの多施設研究が注目に値すると認めてもらえてとてもうれしく感じます。人数が多いために全員の名前が載らないことだけが残念です。引き続きよろしくお願いいたします。

名古屋大学整形外科 世木直喜

2025年1月14日 名古屋整形外科セミナーを開催しました

2025年1月14日に名古屋整形外科セミナーを開催しました。

一般講演として「スポーツ復帰を早める工夫 ー膝疾患を中心にー」と題して、総合上飯田第一病院スポーツ・関節鏡センター長 小田智之先生には、日ごろ病院やスポーツ現場で行っている、スポーツに関連する膝の治療、それに対する取り組みについてご講演していただきました。
特別講演として「人工関節に(できるだけ)頼らない変形性膝関節症 に対する神経障害性疼痛コントロール」と題して、大阪医科薬科大学医学部整形外科学教室 教授 大槻周平先生にご講演をいただきました。変形性膝関節症に対する保存療法、手術療法、大学での取り組みなどをわかりやすくご解説頂きました。印象的であったのは、脛骨遠位粗面下骨切り術におけるヒンジフラクチャーなどの注意点やその対策のための工夫についてのお話でした。特に筋交いスクリューと称された方法は、非侵襲的かつ簡易的に固定力増強が可能と考えられ、明日からの私たちの治療に取り入れることができるよい手法だと、非常に感銘を受けました。

現地、Web共に多くの先生方にご参加いただき誠にありがとうございました。

2024年12月3日 名古屋整形外科セミナーを開催しました

2024年12月3日  「名古屋整形外科セミナー」 が開催されましたのでご報告申し上げます。

演者:三重大学医学部 整形外科学 教授 長谷川 正裕 先生
演題:「変形性股・膝関節症と神経障害性疼痛」

長谷川先生には、変形性股関節症や変形性膝関節症(OA)を中心に、神経障害性疼痛の病態や診断、治療方針に関する最新の知見を示していただきました。特に、TKA(人工膝関節置換術)と神経障害性疼痛の関係、またロボット支援手術とマニュアル手術との比較研究を含む最先端の研究成果が紹介され、大変興味深い内容となりました。
さらに、住民検診における股・膝関節OAの実態調査や、hip-spine症候群へのアプローチ、ナビゲーションシステムを併用した手術やロボット手術など、多岐にわたるトピックスをわかりやすく解説いただきました。長谷川先生ご自身ならびに同門の先生方が蓄積してこられたエビデンスをもとにした具体的なデータは、関節専門医のみならず、オンラインで参加された専門外の先生方にとっても大いに参考となるものでした。

ポータブルナビやCTベースのナビゲーションシステムにおける安全性・教育的意義に関する取り組みや、将来的なHoloナビ開発の展望など、手術手技の発展と安全管理を両立させるうえで重要な視点も示され、大変有意義なご講演となりました。

2025年2月27日 名古屋整形外科セミナーを開催しました

2025年2月27日(木)に名古屋整形外科セミナーを開催しました。

一般講演
『骨軟部感染症治療update CLAPのevidenceとexperience』
愛知医科大学 整形外科 講師 藤原祐樹先生

CLAPは骨軟部感染症に対して有用な治療法であるが、臨床研究の難しさがゆえにevidenceが不十分であるという問題点をご指摘いただきました。またご自身のCLAP症例100例の解析から、有効性と安全性(特に高齢者では抗菌薬による急性腎障害に注意)をお示しいただきました。

特別講演
『第1部:疼痛発生からみた脆弱性骨盤骨折の診断と治療
第2部:東京における大学病院での外傷センター設立と現状』
帝京大学医学部整形外科学講座/帝京大学医学部附属病院外傷センター 教授 鈴木卓先生

脆弱性骨盤骨折の診断と治療について、豊富な症例とともに分かりやすく解説していただきました。鼡径部痛や下肢の疼痛、しびれを訴える高齢者では、必要に応じてCTやMRI検査を行い、腰椎、股関節だけではなく骨盤も評価することが大切です。脆弱性骨盤骨折に対してはまず保存的治療を行い、1~2週間の床上安静でも症状が強い場合は再度画像評価を行い手術も検討します。また、帝京大学外傷センターの立ち上げから日本有数の施設になるまでのご苦労と現状についてご紹介いただきました。

整形外科だけではなく救急科からも沢山の先生方にご参加いただき、誠にありがとうございました。
末筆ではございますが、名古屋大学の卒業生である鈴木先生の益々のご活躍をお祈り申し上げます。

2025年2月 合同カンファレンス報告

2025年2月13日(木)、合同カンファレンスをweb開催しました。

合同カンファレンス記録 (文責:杉浦喬也・吉田和樹)
日時:2025年2月13日(木)18:30~
場所:Web開催
司会:名古屋大学 世木直喜 先生

症例1 若年者における結核性骨髄炎に対して抗菌薬含有骨セメント(ALAC)を使用し奏功した一例

中東遠総合医療センター 北澤謙太朗 先生

症例はアトピー性皮膚炎の既往を持つ21歳日本人男性。父が2016年に肺結核として診断され、接触者検診で患者本人の陰性が確認されていた。

症例2 隣接椎間の除圧様式がPLIF後の固定隣接椎間障害に及ぼす影響

刈谷豊田総合病院 後藤有輝 先生

腰椎後方椎体間固定術(以下PLIF)の隣接椎間の狭窄に対する追加除圧様式に関して一定の見解は得られていない。本研究の目的は1椎間PLIFを行う際の上位隣接椎間の除圧の有無、および除圧様式が固定隣接椎間障害(以下ASD)の発生に与える影響を明らかにすることである。

症例3 末期変形性股関節症に合併した大腿骨近位部骨折の治療戦略

名古屋大学医学部附属病院 高橋伸平 先生

末期変形性股関節症に合併した大腿骨近位部骨折は比較的稀であり、その治療として一期的人工股関節全置換術(THA)を行うか、骨接合を行うかについては明確なコンセンサスが存在しない。

講演1 当院の椎体形成術と外視鏡の紹介

刈谷豊田総合病院 両角正義 先生

刈谷豊田総合病院は737床の刈谷市とトヨタグループの病院で、若手の代謝が激しい病院である。手術件数は年2000件前後、病院全体の3割が整形外科手術である。脊椎外科は400件程度、5年目以下の若手の執刀も100件程度と増えており、若手の脊椎関連の学会発表も積極的に行っている。椎体形成術BKPは2012年に開始以降、近年は年100件程度、累計900件以上行っている。

講演2 AMIS-THAという選択肢 〜お一人様THAのすゝめ〜

刈谷豊田総合病院 舟橋康治 先生

人工関節手術は全国的に増加している。当院においてもTHAの手術数は増加しており近年ではAMIS―THAを行っている。優位性としては入院期間やリハビリ期間の短縮・組織のダメージが少ない。出血もほとんどなく二時間程度で手術を行えており組織温存もできるため脱臼リスクも少ない 皮切は8cm程度であり低侵襲である。